176 / 302
第三章 桜野学園編
第七話 後説 お義父さん待望のご対面
しおりを挟む
縁とスファーリアはロビーへと戻って来た、他のメンバーはロールを続けている様だ。
炎龍は区切りがいい所でログアウトするとメールが来た。
「お疲れ様、縁君」
「お疲れ様、スファーリアさん」
「一ついいかしら縁君」
「お、どうした?」
スファーリアはニヤリと笑う。
「この戦争が終わったら旅行ロールしてみない?」
「おお、旅行!」
「現実ではちょっと難しくても、ゲーム内なら出来るでしょ?」
「なら現実でも自社コラボ飲食店に行ってみるか」
「ああ、ゲーム内での自分の料理を再現している人達とか?」
「そうそう、まあ行けたとしても近場だが」
「フッ……道民の近場は近場じゃないよ」
「まあ確かに、しかしこれで楽しみが出来たな」
「うむ、早速帰って近場でどんな店があるか調べよう」
「いやいや、お義理さんとの食事は?」
「嬉しくてつい」
「まあわかるけども、ログアウトして準備しようか」
「あいよ」
長谷川と荒野原はゲームんらログアウトする。
荒野原の父親は別の施設で遊んでいるらしく、こちらに合流する様だ。
しばらくロビーで待っていると、スーツ姿のキリッとした紳士が入って来た。
一言で言えば仕事が出来るジェントルマン、といった印象だ。
「初めまして長谷川さん、娘がお世話になっております、父の荒野原広と言います」
「終さんとお付き合しています、長谷川羽島です、よろしくお願いいたします」
長谷川と広はお互いに深々と頭を下げた。
「お父さん、何処の店行くの?」
「ああ、私が何時も使っている店だよ」
「料亭じゃん」
「りょ! 料亭!?」
慌てて自分の姿を見た、何度見てもジャージだ。
「俺の普段着ジャージですみません」
「終、あそこは日本庭園がある居酒屋だ」
「え? あれが?」
「うむ、まあ一見さんお断りではあるがな、長谷川君、服装は気にしなくていい、行ってみようじゃないか」
「え……あ、はい」
そんなこんなでタクシーで目的地の場所へ。
着いたのは立派な門構え、明らかに料亭だ。
「荒野原様、お待ちしていました」
「「「いらっしゃいませ」」」
「お部屋にご案内します」
従業員挨拶からの部屋案内、明らかにVIP待遇だ。
店内の内装にもお金がかかっていそうだ。
部屋に案内されるとこれまた豪華。
掛け軸や壺、座椅子や机も高級感を放っている。
「いや……料亭やん」
「違うぞ長谷川君、居酒屋だ」
「ええ……」
3人はとりあえず座椅子に座った。
長谷川の隣に荒野原、正面に広である。
「して長谷川君、食事を始める前に父として君に言っておきたい事が有る」
「お父さん、変な事を言ったら張り倒すからね?」
「いや何、親として当然の心配だ」
ジッと長谷川を見定め様に見る広。
「長谷川君、結婚報告の前に妊娠報告だけは止めてくれよ?」
その問いに長谷川よりも早く、荒野原が平然と答えた。
「あ、お父さんそれなら大丈夫、私が説明した方がいいね」
「ふむ」
「私の方が我慢出来ずに、寝込みを襲おうとしたら怒られたから」
「……お前は母さんに似たか」
何やら思う所があるらしく、広は深いため息をした。
「言われたのは、自分も同じ気持ちだが順番がある事、今は2人で結婚生活出来るのかの準備期間である事、結婚の挨拶の事、親になる覚悟が今は無い事」
「なるほど、2人で色々と話し合ったんだね?」
「うん、長谷川君は間違いなくいい男、お父さんの親友の息子さんなんだから信じて」
「もちろん信じたい気持ちはあるが……なんと言えばいいか、多分、寂しいのだろうな」
父親として娘に好きな人が出来た、嬉しいとは感じるが同時に、寂しさに襲われたのだろう。
広は寂しさを振り払うように首を降り、笑って2人を見た。
「いやいや、寂しがってはいられんか……将来孫が産まれるだろうからな」
「お父さん、気持ちが早い」
「お前の成長も早かったな……産まれた時を昨日の様に思い出す」
「泣くなら結婚式にして」
「長谷川君、娘をよろしくお願いいたします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします、お義父さん」
お互いに軽く頭を下げた。
「時間をとらせてすまなかったね、ご飯にしようか」
広はいきなり両手を軽く2回叩く。
すると、食前酒と前菜が運ばれてきた。
「え?」
長谷川は頭が追い付かないでいると、荒野原が口を開いた。
「ああ、リアルで手を叩いて料理が出るってまず無いでしょ? ここのお店ってそういうのに答えてくれるのよ」
「ほ、ほう」
「まあお父さんが投資家で、ここの開店に投資したらし……お父さんこう見えても、ふざけたがりなの」
「ああ……父さんと気が合う人だもんな」
「いやいや、僕は面白い事にお金を使いたいだけだよ? ああ、長谷川君、アレルギーや苦手な食べ物はあるかい?」
「いえ、特にありません」
「おおそうか、ここの料理は美味いぞ? ささ、食べて食べて」
「はい」
目の前にあるのは明らかに料亭で出される様な前菜。
長谷川はおそるおそる口へと運ぶ。
「おお……う、美味い……なんじゃこりゃ」
「それは良かった良かった」
「あ、お父さん」
「どうした?」
「これから始まる戦争ロールが終わったら、ゲーム内で旅行をしようかと」
「……なるほど、リアルで旅行はするのかな?」
「まずは近場からね、飲食店とか、自作コラボしている所から」
「遠出する時はいいなさい」
「その時はお願いね」
「ああ」
「あ、お義父さん、お酒を注ぎます」
「おお、すまないね」
結婚報告に近い様な食事会はまだまだ始まったばかり。
広は終始ご機嫌で、長谷川を気に入っている様だった。
荒野原も何時も通りお酒を飲みまくる。
長谷川はこの人達との縁を守っていこうと決めたのだった。
炎龍は区切りがいい所でログアウトするとメールが来た。
「お疲れ様、縁君」
「お疲れ様、スファーリアさん」
「一ついいかしら縁君」
「お、どうした?」
スファーリアはニヤリと笑う。
「この戦争が終わったら旅行ロールしてみない?」
「おお、旅行!」
「現実ではちょっと難しくても、ゲーム内なら出来るでしょ?」
「なら現実でも自社コラボ飲食店に行ってみるか」
「ああ、ゲーム内での自分の料理を再現している人達とか?」
「そうそう、まあ行けたとしても近場だが」
「フッ……道民の近場は近場じゃないよ」
「まあ確かに、しかしこれで楽しみが出来たな」
「うむ、早速帰って近場でどんな店があるか調べよう」
「いやいや、お義理さんとの食事は?」
「嬉しくてつい」
「まあわかるけども、ログアウトして準備しようか」
「あいよ」
長谷川と荒野原はゲームんらログアウトする。
荒野原の父親は別の施設で遊んでいるらしく、こちらに合流する様だ。
しばらくロビーで待っていると、スーツ姿のキリッとした紳士が入って来た。
一言で言えば仕事が出来るジェントルマン、といった印象だ。
「初めまして長谷川さん、娘がお世話になっております、父の荒野原広と言います」
「終さんとお付き合しています、長谷川羽島です、よろしくお願いいたします」
長谷川と広はお互いに深々と頭を下げた。
「お父さん、何処の店行くの?」
「ああ、私が何時も使っている店だよ」
「料亭じゃん」
「りょ! 料亭!?」
慌てて自分の姿を見た、何度見てもジャージだ。
「俺の普段着ジャージですみません」
「終、あそこは日本庭園がある居酒屋だ」
「え? あれが?」
「うむ、まあ一見さんお断りではあるがな、長谷川君、服装は気にしなくていい、行ってみようじゃないか」
「え……あ、はい」
そんなこんなでタクシーで目的地の場所へ。
着いたのは立派な門構え、明らかに料亭だ。
「荒野原様、お待ちしていました」
「「「いらっしゃいませ」」」
「お部屋にご案内します」
従業員挨拶からの部屋案内、明らかにVIP待遇だ。
店内の内装にもお金がかかっていそうだ。
部屋に案内されるとこれまた豪華。
掛け軸や壺、座椅子や机も高級感を放っている。
「いや……料亭やん」
「違うぞ長谷川君、居酒屋だ」
「ええ……」
3人はとりあえず座椅子に座った。
長谷川の隣に荒野原、正面に広である。
「して長谷川君、食事を始める前に父として君に言っておきたい事が有る」
「お父さん、変な事を言ったら張り倒すからね?」
「いや何、親として当然の心配だ」
ジッと長谷川を見定め様に見る広。
「長谷川君、結婚報告の前に妊娠報告だけは止めてくれよ?」
その問いに長谷川よりも早く、荒野原が平然と答えた。
「あ、お父さんそれなら大丈夫、私が説明した方がいいね」
「ふむ」
「私の方が我慢出来ずに、寝込みを襲おうとしたら怒られたから」
「……お前は母さんに似たか」
何やら思う所があるらしく、広は深いため息をした。
「言われたのは、自分も同じ気持ちだが順番がある事、今は2人で結婚生活出来るのかの準備期間である事、結婚の挨拶の事、親になる覚悟が今は無い事」
「なるほど、2人で色々と話し合ったんだね?」
「うん、長谷川君は間違いなくいい男、お父さんの親友の息子さんなんだから信じて」
「もちろん信じたい気持ちはあるが……なんと言えばいいか、多分、寂しいのだろうな」
父親として娘に好きな人が出来た、嬉しいとは感じるが同時に、寂しさに襲われたのだろう。
広は寂しさを振り払うように首を降り、笑って2人を見た。
「いやいや、寂しがってはいられんか……将来孫が産まれるだろうからな」
「お父さん、気持ちが早い」
「お前の成長も早かったな……産まれた時を昨日の様に思い出す」
「泣くなら結婚式にして」
「長谷川君、娘をよろしくお願いいたします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします、お義父さん」
お互いに軽く頭を下げた。
「時間をとらせてすまなかったね、ご飯にしようか」
広はいきなり両手を軽く2回叩く。
すると、食前酒と前菜が運ばれてきた。
「え?」
長谷川は頭が追い付かないでいると、荒野原が口を開いた。
「ああ、リアルで手を叩いて料理が出るってまず無いでしょ? ここのお店ってそういうのに答えてくれるのよ」
「ほ、ほう」
「まあお父さんが投資家で、ここの開店に投資したらし……お父さんこう見えても、ふざけたがりなの」
「ああ……父さんと気が合う人だもんな」
「いやいや、僕は面白い事にお金を使いたいだけだよ? ああ、長谷川君、アレルギーや苦手な食べ物はあるかい?」
「いえ、特にありません」
「おおそうか、ここの料理は美味いぞ? ささ、食べて食べて」
「はい」
目の前にあるのは明らかに料亭で出される様な前菜。
長谷川はおそるおそる口へと運ぶ。
「おお……う、美味い……なんじゃこりゃ」
「それは良かった良かった」
「あ、お父さん」
「どうした?」
「これから始まる戦争ロールが終わったら、ゲーム内で旅行をしようかと」
「……なるほど、リアルで旅行はするのかな?」
「まずは近場からね、飲食店とか、自作コラボしている所から」
「遠出する時はいいなさい」
「その時はお願いね」
「ああ」
「あ、お義父さん、お酒を注ぎます」
「おお、すまないね」
結婚報告に近い様な食事会はまだまだ始まったばかり。
広は終始ご機嫌で、長谷川を気に入っている様だった。
荒野原も何時も通りお酒を飲みまくる。
長谷川はこの人達との縁を守っていこうと決めたのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
クロノスの子供達
絃屋さん
SF
時空調整官ゴーフルは、作業中にクロノスの時空嵐に巻き込まれ若返り退行してしまう。
その日を境に、妹や友人からも子供扱される屈辱の日々を送るはめに……。
さらに、時の砂に関する重要機密を狙う謎の組織に狙われるなど災難が続くのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~
黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる