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第三章 桜野学園編
第三話 後説 変身ヒーローのお知らせ
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「ふぅ……まさか一本槍君が斬銀さんの技を使うとは」
長谷川はログアウトした。
ささっと身支度を済ませて、ロビーで荒野原と合流する。
「お疲れ様長谷川君」
「お疲れ様荒野原さん」
「さ、今日も打ち上げいくよ」
「気合い入ってるな」
「そりゃあ久しぶりだから」
恋人だからと四六時中一緒に居るわけではない。
それぞれの用事や友人関係だったりあるからだ。
2人にとっては久しぶりの飲み会。
ただ一週間も経たずに久しぶりはどうか。
そんな訳で何時もの居酒屋に行き、何時もの席に通された。
テキトーに注文して、一通り揃ったら2人で乾杯。
反省会のスタートだ。
「そうそう、一本槍君が斬銀さんの技を使ったのビックリしたよ」
「ああ~あれね、弟にロール中チャットでちょちょいとやり取りしてたんだけど」
「うん」
「ロビーで知り合ったらしい、んで話している内に私達の知り合いだと知ったとさ」
「なるほどな、って事は斬銀さんに修行付けてもらうのは確定か?」
「そこまでは聞いて無いけど、多分やるんじゃない?」
「おお~面白くなってきたじゃねーか」
「弟にチャットで隠し玉の必殺技使っていいか? ってきてさ」
「確かにあれは隠し玉だったな、てか風月に怪我させるのスゲーよ」
「え? そう?」
「俺の知る限りだと今まで無傷だったが」
「何言ってんの、知らない所で風月ちゃんは怪我だらけだよ」
「例えば?」
「界牙流の修行」
「それしかないよな?」
「大切な人は守りたいからね~ひょっひょっひょ」
荒野原は豪快にピッチャーで、ノンアルコールカクテルをラッパ飲み。
上機嫌で長谷川をちょいちょいと叩く。
自分で言ってて恥ずかしくなったのだろう。
「ああそうだ、その場のノリでやったけど、縁の力ってあんな感じでいいの?」
「あんな感じ」
「いまいちピンと来ない」
「神の力は理解できないのさ」
「それっぽい事言っちゃって~……あ! あの力を最大に引き出す方法は? 今回はお試しみたいなもんでしょ?」
「縁が一時的に死んで、結びに憑依する」
「……聞き捨てならねぇぞ?」
荒野原は凄い剣幕で長谷川を見る。
ピッチャーを少々雑にテーブルに置いた。
「まあ聞いてくれ、縁を殺せるってなると相当の実力者だろう」
「確かに」
「そして縁は結びの愛が有れば時間がかかっても死なないのさ、神様だからな」
「確実にそいつぶっ殺せそうだな……ん?」
長谷川は荒野原の睨みに怯まず、淡々と説明していく。
そして荒野原は何かに気付いたようだ。
「それって一心同体? 声とか2人分?」
「声2人分はセリフ決めなきゃ難しそうだな、一心同体であってる」
「なるほどなるほど、縁と結びが合わさって『縁結び』になるのですな?」
「ああ……深く考えてなかったけど、縁と結びで縁結びになるのか」
「おお! これは強そうな神様ですな!」
「ノリノリだね」
「これは時間かけて案を練ろうよ、面白そうじゃん」
「そうする――」
長谷川のスマホがなった、荒野原は出でいいよと言う。
「はい、長谷川です……ああ、兄さん……はぁ!? いや、どうしてそうなった」
「お、なんだなんだ?」
「……ああ……ほう……それは構わないけど……ああ、帰ったら連絡する」
通話が終わった長谷川は神妙な顔をしている。
「何々、聞いてもいいお話?」
「……縁が一時的に変身ヒーローになるかもしれません」
「おお! 変身!」
荒野原はノリノリで特撮ヒーローに有りそうな変身ポーズした。
「でも何でそんな事に?」
「山本明さんて覚えてる?」
「ああ、あの伝説のケーキを持って来た親戚の人でしょ」
「そうそう、その人はゲーム内にタベリアって街を統治しているんだ」
「ああ、何か記憶の片隅にある……そして?」
「その街が地下帝国の襲撃を受けたんだ」
「地下帝国……ああ! 桜野学園を襲ったあの集団!」
縁とスファーリアが学園を守っていた時に突如きた地下帝国。
その時撃退したのが、砂時計で擬態をする砂煙正吾というキャラクターだった。
「そうそう、その時に砂時計で変身……いや擬態か、していた男キャラクター居ただろ?」
「ああ、居た居た、私は直接関係無いけど、普通科の生徒だったよね」
「うん、そのキャラクターのパワーアップアイテムを渡してほしいと」
「ファ!? 何で!? ってあれ? 渡すだけなら縁変身しなくてもよくね?」
「詳しくは聞いて無いけど、兄さんが『お前変身するかもな』みたいな事を言ってたから」
「ああ~可能性があるってだけのお話ね、でも何でそんな事に?」
「覚えてるかな? 学園が襲われた時に、縁は白い砂時計を彼に渡したんだよ」
「確か縁の力が宿ったものだっけ?」
「うん……実はアレ即興だったんだよ、やっていいかの確認はチャットしたけども」
「即興かい! ……それがあったから縁に白羽の矢がたったと?」
「そうらしい」
「ああ~縁なら適任かも」
「そう?」
「神からの施しだ、とか言って渡しそう」
「いや、縁はそんな性格じゃないから」
「でも面白そうな立ち位置だね~何時も不意に現れて、パワーアップアイテムを渡す神様」
「あ!?」
「どうしたよ!?」
長谷川は何かに気付いて大声を出した。
荒野原も同じ様にノリノリで驚く。
「確か砂時計の設定は、他者との縁だったり絆を力にしていた気がする」
「おおう!? いや、縁超適任やん!」
「どうパワーアップするのかの、詳細は聞いて無いけどな」
「それ私も参加させて、生で見たい」
「見る気満々だな」
「変身ものっていいじゃん」
「まあ一度は憧れる」
「変身を祝して飲むぞ」
「パワーアップアイテム渡すだけなんだが」
「変身するかもしれないんでしょ?」
「話決まったら連絡するよ」
「楽しみにしとるね~」
その後反省会も程々に2人は帰った。
長谷川は自宅に帰り、山本に連絡して打ち合わせをする。
結果として、変身する方向で決まったのだった。
長谷川はログアウトした。
ささっと身支度を済ませて、ロビーで荒野原と合流する。
「お疲れ様長谷川君」
「お疲れ様荒野原さん」
「さ、今日も打ち上げいくよ」
「気合い入ってるな」
「そりゃあ久しぶりだから」
恋人だからと四六時中一緒に居るわけではない。
それぞれの用事や友人関係だったりあるからだ。
2人にとっては久しぶりの飲み会。
ただ一週間も経たずに久しぶりはどうか。
そんな訳で何時もの居酒屋に行き、何時もの席に通された。
テキトーに注文して、一通り揃ったら2人で乾杯。
反省会のスタートだ。
「そうそう、一本槍君が斬銀さんの技を使ったのビックリしたよ」
「ああ~あれね、弟にロール中チャットでちょちょいとやり取りしてたんだけど」
「うん」
「ロビーで知り合ったらしい、んで話している内に私達の知り合いだと知ったとさ」
「なるほどな、って事は斬銀さんに修行付けてもらうのは確定か?」
「そこまでは聞いて無いけど、多分やるんじゃない?」
「おお~面白くなってきたじゃねーか」
「弟にチャットで隠し玉の必殺技使っていいか? ってきてさ」
「確かにあれは隠し玉だったな、てか風月に怪我させるのスゲーよ」
「え? そう?」
「俺の知る限りだと今まで無傷だったが」
「何言ってんの、知らない所で風月ちゃんは怪我だらけだよ」
「例えば?」
「界牙流の修行」
「それしかないよな?」
「大切な人は守りたいからね~ひょっひょっひょ」
荒野原は豪快にピッチャーで、ノンアルコールカクテルをラッパ飲み。
上機嫌で長谷川をちょいちょいと叩く。
自分で言ってて恥ずかしくなったのだろう。
「ああそうだ、その場のノリでやったけど、縁の力ってあんな感じでいいの?」
「あんな感じ」
「いまいちピンと来ない」
「神の力は理解できないのさ」
「それっぽい事言っちゃって~……あ! あの力を最大に引き出す方法は? 今回はお試しみたいなもんでしょ?」
「縁が一時的に死んで、結びに憑依する」
「……聞き捨てならねぇぞ?」
荒野原は凄い剣幕で長谷川を見る。
ピッチャーを少々雑にテーブルに置いた。
「まあ聞いてくれ、縁を殺せるってなると相当の実力者だろう」
「確かに」
「そして縁は結びの愛が有れば時間がかかっても死なないのさ、神様だからな」
「確実にそいつぶっ殺せそうだな……ん?」
長谷川は荒野原の睨みに怯まず、淡々と説明していく。
そして荒野原は何かに気付いたようだ。
「それって一心同体? 声とか2人分?」
「声2人分はセリフ決めなきゃ難しそうだな、一心同体であってる」
「なるほどなるほど、縁と結びが合わさって『縁結び』になるのですな?」
「ああ……深く考えてなかったけど、縁と結びで縁結びになるのか」
「おお! これは強そうな神様ですな!」
「ノリノリだね」
「これは時間かけて案を練ろうよ、面白そうじゃん」
「そうする――」
長谷川のスマホがなった、荒野原は出でいいよと言う。
「はい、長谷川です……ああ、兄さん……はぁ!? いや、どうしてそうなった」
「お、なんだなんだ?」
「……ああ……ほう……それは構わないけど……ああ、帰ったら連絡する」
通話が終わった長谷川は神妙な顔をしている。
「何々、聞いてもいいお話?」
「……縁が一時的に変身ヒーローになるかもしれません」
「おお! 変身!」
荒野原はノリノリで特撮ヒーローに有りそうな変身ポーズした。
「でも何でそんな事に?」
「山本明さんて覚えてる?」
「ああ、あの伝説のケーキを持って来た親戚の人でしょ」
「そうそう、その人はゲーム内にタベリアって街を統治しているんだ」
「ああ、何か記憶の片隅にある……そして?」
「その街が地下帝国の襲撃を受けたんだ」
「地下帝国……ああ! 桜野学園を襲ったあの集団!」
縁とスファーリアが学園を守っていた時に突如きた地下帝国。
その時撃退したのが、砂時計で擬態をする砂煙正吾というキャラクターだった。
「そうそう、その時に砂時計で変身……いや擬態か、していた男キャラクター居ただろ?」
「ああ、居た居た、私は直接関係無いけど、普通科の生徒だったよね」
「うん、そのキャラクターのパワーアップアイテムを渡してほしいと」
「ファ!? 何で!? ってあれ? 渡すだけなら縁変身しなくてもよくね?」
「詳しくは聞いて無いけど、兄さんが『お前変身するかもな』みたいな事を言ってたから」
「ああ~可能性があるってだけのお話ね、でも何でそんな事に?」
「覚えてるかな? 学園が襲われた時に、縁は白い砂時計を彼に渡したんだよ」
「確か縁の力が宿ったものだっけ?」
「うん……実はアレ即興だったんだよ、やっていいかの確認はチャットしたけども」
「即興かい! ……それがあったから縁に白羽の矢がたったと?」
「そうらしい」
「ああ~縁なら適任かも」
「そう?」
「神からの施しだ、とか言って渡しそう」
「いや、縁はそんな性格じゃないから」
「でも面白そうな立ち位置だね~何時も不意に現れて、パワーアップアイテムを渡す神様」
「あ!?」
「どうしたよ!?」
長谷川は何かに気付いて大声を出した。
荒野原も同じ様にノリノリで驚く。
「確か砂時計の設定は、他者との縁だったり絆を力にしていた気がする」
「おおう!? いや、縁超適任やん!」
「どうパワーアップするのかの、詳細は聞いて無いけどな」
「それ私も参加させて、生で見たい」
「見る気満々だな」
「変身ものっていいじゃん」
「まあ一度は憧れる」
「変身を祝して飲むぞ」
「パワーアップアイテム渡すだけなんだが」
「変身するかもしれないんでしょ?」
「話決まったら連絡するよ」
「楽しみにしとるね~」
その後反省会も程々に2人は帰った。
長谷川は自宅に帰り、山本に連絡して打ち合わせをする。
結果として、変身する方向で決まったのだった。
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