VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義

第九話 演目 感性がまともな転生者

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 縁達は光に包まれて、神社へと転移してきた。

「失敗した」
「何を?」
「生徒達をちゃんと褒めなかった」
「ふむ」
「俺の武道の師から、お前が他人に何か言うときは、失敗より成功が大きかった場合、ちゃんと褒めろってね」
「あら、いい言葉、失敗ばかり攻めても成長しない、何処がいいか言わないと」
「どうも失敗ばかりの方に目がいってしまう、褒める所はもっとあったのに」
「それは次に生かしましょ」
「ああ」
「お待たせいたしました、お兄様、お姉様」
「……」

 スッと現れた絆はウサミミカチューシャを外していて。
 隣には叢雲と呼ばれていた異世界転生が隣に居た。
 叢雲は到着するなり土下座をした!

「俺を速く殺してくれ! 頼む! アイツに見つかる! 殺してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 突然叢雲は大泣きし始めた。
 縁はウサミミカチューシャを外す。
 スファーリアはトライアングルとビーダーを召喚する。

「スファーリアさん」
「わかってる」

 スファーリアはビーダーでトライアングルを軽く叩いた。
 すると優しい音が辺りに響く。

「……へ?」

 叢雲の涙がピタッと止まり、不思議そうな顔をしていた。 

「貴方の心を平常心にした、何故死にたいのかちゃんと話して?」
「え? ええ?」

 土下座を止めて、自分に何が起きたのかまだ理解出来ずに、自分の身体を触っている。 

「縁君、この人制裁した2人と違ってまともな音をしている」
「確か……叢雲だったか? 何で死にたいか理由を話してくれ」
「わかった、最初からがいいか?」
「ああ」
「まず、俺は……いや、俺達は『神の手違いで死に、この世界に来た』」
「横槍ごめんなさい、貴方のお仲間の2人は殺したわ」
「やはりそうなったか」
「それだけ、続けて」
「俺達の世界で流行っていた『異世界転生』まんまだった、どんな内容か知ってるか?」
「ええ、知ってる」
「だったら話が早い、俺達3人は、異世界転生が本当に有るんだと喜んだよ」

 語る叢雲の顔は、その時が一番楽しかった様な顔をしていた。

「お詫びと称して色々と力を貰った俺達は、異世界転生テンプレの行動をした」
「テンプレ?」
「国を統治したり、悪い奴を倒したり、色々としたいたが……俺は違和感に気付いたんだ」
「それは?」
「創作物の異世界転生の様に……『俺達に都合のいいようにしかならない』って事だ、生きていれば、必ず何かしらの悪い事は絶対出る、だがそれが無かったんだ」
「それで貴方はどうしたの?」
「春樹とヤマトに注意をした、だがあの2人は、昔から調子に乗る所があってな、俺の声はもう届かなかった」

 それを語る叢雲の表情は後悔しているようだった。

「俺は本当に自分にとって、都合のいいようになるのか確認の為に、酷い事をした」
「酷い事?」
「意味も無く、自分を慕っている人を殴った」
「どうなったの?」
「俺が悪いって事にはならなかった、そこで確信したよ、今居る環境が可笑しいってな」

 今度は怒りをあらわにしだした。

「周りに相談出来ない俺は、隠れてこの現状から助かる方法を探した」
「ふむ」
「それしか助かる方法が見つからなかった、周りはまともじゃないし、相談も出来ない、タダで死ぬのはムカつくから、俺をここに連れて来た神も道連れにしようとな」
「結果、絆ちゃん達に殺される事か」
「調べた時に読んだ本で、昔、人間と戦争した不幸の神を知った、その神を倒す計画をヤマトと春樹に話してその気にさせ、俺をここに連れて来た神もな」
「なるほど、でも何で絆ちゃん達?」
「不思議と何とかしてくれそうな……そんな感覚になったんだ」
「……お兄様、私、恥ずかしいですわ」

 絆が静かに泣き始めた。

「不幸を警告する神として、出会った時にこの方の不幸を察知できませんでした」
「俺もだ、あの神とは何度も会っていたのに、完全に消せなかった、すまない」

 縁と絆は叢雲に対して深々と頭を下げた。

「謝罪はいい、俺を殺してくれればな」
「そんな事は2人はしない」
「はっ!? いや、殺される理由は十分だろ!? あんた達の神社ぶっ壊して、色々と迷惑かけて!」
「その認識が出来てる時点で、貴方の感覚は普通、他の2人はみたく、イキリチラシ野郎だったら死んでいたけど」

 スファーリアがそう説明すると、叢雲の顔は沈んだ。

「詰めが甘かったか……いやいや! 何で怒らないんだよ!」
「その話を聞いたら、怒る理由が無くなったからだ」
「お、可笑しいだろ! 俺は殺される為にここまで来たんだ!」
「縁君、絆ちゃん、この人殺す理由ある?」
「それしか手段が無かった人間に、追い打ちは出来ない」
「そうですわね、聞く限り自殺も出来なかったと推測できますわ」
「俺にどうしろと!」

 自分の考えた通りにならないからか、叢雲は地面を叩いた!

「私達に選択肢を委ねるなら、貴方を生かします」
「その神が居なくなればいいんだろ? てか、そいつが元凶だし」
「じゃあそういう事で」
「まっ――」

 叢雲が何か言いかけた時に、これでもかと聞き覚えの声が響いて来た。

「……くっくっく」
「あら、まだ強者感をだしてるんですの?」
「何ををこそこそしてると思ったら……死にたいか? ならそうするがいい」
「あらあらまあまあ、遺言にしては花が無いですわね?」
「ワシはもう隠居するでな、これで最後じゃ」
「逃げれると思ってるのか?」
「フン、いくら――」
「来いよ、名も無き神」

 縁は一本締めをするように大きく手を叩いた!

「な、何!?」

 すると首に縄でもかけられたかの様に、隷属の神がどこからともなく転がってきて、地面に這いつくばっている。

「その程度で隠れてたのか? 俺は縁結びの神だぞ?」
「縁君、絆ちゃん、私に任せてくれないかしら?」
「お任せいたしますわ」
「おい、私は縁君達の様には優しくないぞ?」

 その顔はこれから起こる絶滅を、我慢出来ない顔をしている。
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