VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義

第七話 演目 約束と予期せぬ出来事

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 過去の父の旋を待つ事数分、血相を変えて走ってやって来た!

「あ、お父さんだ!」
「縁、何があったんだ!?」

 縁はスファーリアにアイコンタクトを送る。

「絆ちゃん、音楽は好き?」
「うん、絆はこれでも神様だから、音楽とは深い関わりがあるんだよ!」

 スファーリアに慣れたのか、少々小生意気な事を言っている。
 が、本人はよくわかってはいないだろう。

「私、音楽の先生をしているの」
「音楽の……先生!?」

 絆は目を輝かせてスファーリアを見ている。
 スファーリアはマラカスを召喚して、絆に渡した。

「これなーに?」
「絆を奏でるマラカス、マラカスっていう楽器ね」
「絆? 私と同じ名前だ!」

 マラカスを受け取った絆は、しっかりと握りしめて振った。
 シャッシャッと、楽しそうな音が鳴る。

「面白い!」
「いい音よ絆ちゃん」
「褒められた~」

 和気あいあいとしている2人から離れて、縁と旋は話していた。

「父さん、絆が通っている学校は大丈夫なのか?」
「ああ、教職員のほとんどが俺の古い知り合いで、訳ありの子供達を熱心に教育してる奴らだ」
「て事は、外部の人間の仕業か」
「何があったんだ?」
「絆の筆箱が盗まれた様だ、生徒か教職員に変装したかは知らんが……絆を殺す為にここまでするか」
「……縁、俺は親としてお前に、人は殺すなって言ったんだよな?」
「ああ、俺が子供の時にね」
「お前、今子供は居るか?」
「居ないよ」
「将来授かる予定は有るか?」
「そうなったらいいね」
「親はな、大切な子供の為なら何だってするんだ、容赦するなよ」

 旋は自分の心意気を託す様に縁の肩に手を置いた。

「ああ」
「安心しきってた、出掛けるんじゃなかったぜ」
「用事?」
「ちょいとお祝いの品を手渡しにな、ま、その話は置いといて……絆を助けてくれてありがとうな」
「いいよ、ここで助けてなかったら、間違いなく道を外れていた」
「どういう事だ」
「そこの伸びてる男を見てみ」

 旋は縁に首を掴まれた男を調べた。

「確実殺す気で首を絞めてるな」
「道を外れなくてよかったよ」 
「こりゃ途中で止められたな? じゃなきゃ生きてるはずがない」
「スファーリアさんに止められた」
「絆の前だからか」
「ここに誘い込んだ元凶は絶滅させるとさ」
「ドレミドさんに連絡したって事か?」
「ああ」
「正直助かる、敵が多すぎるんだよ」

 縁はその言葉を聞いて、改めて自分と絆が迷惑の原因と自覚した。

「……ありがとう、父さん」
「いいんだ、原因は俺にもあるからな」
「え? そうなの?」
「神様と結婚しちまったからな……それ相応の事が有るとは覚悟していたが」
「予想を上回ってた?」
「ああ、ただお前や絆がそれを気にする事じゃない」

 旋は自信に満ちた目で縁を見た。

「産まれた可愛い子供を守るだけだ、お前を見る限り、絆も未来では幸せになるんだろな」
「今更だけど、父さんって驚かないよね、未来の息子が来ても」
「はっはっは、縁考えてみろ? 神と結婚した男だぞ? 不思議な出来事は沢山経験している」
「あーそれを言われると納得する」

 過去の父と雑談をしていると、スファーリアがアイコンタクトを送って来て、縁は頷いた。
 スファーリアも頷いて縁に近寄ってきた。

「縁君、そろそろ帰りましょう? 私達に出来ることはしたし」
「ああ」
「お姉ちゃんもう帰るの? もっと一緒に居たい」
「また会いましょうね、約束」
「あ! 絆お姉ちゃんの学校に行きたい!」
「私の学校は大人が入る学校だから、貴女が大きくなったら来なさい、待ってる」
「本当? 約束ね! あ、このマラカス返すね!」
「あ、それと今日会ったのは、この時代のお兄ちゃんには秘密ね?」

 マラカスを受け取りながらそう言う。

「どうして?」
「お兄ちゃんが恥ずかしがるからよ」
「そうなの? お兄ちゃん?」
「ああ、秘密にしてもらえるかい?」
「じゃあお姉ちゃん、絆、約束守るから、お姉ちゃんも守ってね!?」
「もちろんよ」
「じゃあゆびきり~」

 スファーリアと絆は、笑いながらゆびきりをした。

「またね、絆ちゃん」
「うん、またね!」

 縁とスファーリアは光に包まれて消える。

 小さい部屋に大きな古ぼけている鏡、そこで絆は過去に行った縁達を待っていた。

「そろそろ帰ってくるかしら?」

 鏡の前に光に包まれながら縁達が現れた。

「お帰りなさい、お兄様、お姉様」
「ただいま、絆ちゃん」
「お姉様、私、待ってる間思い出した事がありまして」
「私がついさっきしてきた約束かな?」
「ええ、私からしたら10年以上たってますが」
「学校に入学する?」
「ええ、私、思春期はまともな学園生活を送れませんでしたので」
「私の学科は戦闘科だけどいい? まあ座学も有るけども」
「もちろんです、あの時の筋肉ムキムキに手も足も出なかった事に、後々苛立ちを感じていましたので」
「あの時の斬銀さんの事か」

 縁が愛を叫んだあの時、絆はスファーリアの治療に専念していたとはいえ、何も出来なかった事を悔やんでいるようだ。

「この『絆』という名前に、負けない力を付けてお兄様達の事をお守りいたしますわ」
「頼もしいな」
「帰ったら学園の説――」

 スファーリアが喋っている時に、縁の鞄から警報の様な音が鳴る!

「緊急連絡? 誰だ?」

 縁は連絡様に使っている長方形の物を取り出した。

「色鳥か? どうした?」
『縁か!? 今すぐ神社に来い! お前達の神社が滅茶苦茶にされている!』
「ああ!? わかった!? すぐに行く!」
「どうしたの縁君?」
「俺と絆の神社をぶっ壊されたらしい」
「神社に行きましょうお兄様」
「ああ!」
「私も行く」

 3人は何の予兆も無くなその場から消える。
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