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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義
第六話 後説 一人で飲みに行くお知らせ
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縁はロビーへと戻って来てメールを確認する。
「斬銀さんと隼士さんはそのままロールするのか、お疲れ様のメールをしておこう」
メールを操作して今回参加したプレイヤーと、運営に対してお礼のメール打つ。
「……今日は居ないけど、どうしようか?」
縁もとい長谷川は、荒野原が居ることの方が日常になっていた。
「帰る準備しながら考えるか」
ログアウトをして帰り支度をする。
「……一人で飲みに行くのもありじゃないか? たまには」
そう考えた長谷川はルルのお店へと向かうのだった。
「閉まってるじゃねーか」
扉の前にはクローズの立て札がある。
「あら? 羽島君じゃない? 私の店に用?」
「ああルルさん、今日は一人で飲もうと思いまして」
「ん~羽島君なら大丈夫ね」
「何かあったんですか?」
「今日は詩織誕生日でね? 毎年貸切でサシで飲んでるのよ」
ルルは酒や食べ物が入っているビニール袋を長谷川に見せた。
「いいんですか?」
「いいのよ、さ、入って入って」
長谷川は扉を開けて中へ入り、ルルはされに続く。
「詩織、いい男捕まえて来たわよ!」
「ん~? って兎君じゃない! 娘はどうしたの? 喧嘩したの?」
「いやいや詩織さん、何時も一緒じゃないですよ」
「そりゃそうか、ごめんなさいね」
「ささ、羽島君も座りなさい、お酒とおつまみもおまかせでいい?」
「はい」
ルルはカウンターに立ち、長谷川は詩織の隣に座った。
手際よくお酒を作り、おつまみと共に長谷川の前に出す。
「娘が迷惑かけてないかしら?」
「いえ、大丈夫です」
「……誕生日にここで飲むようになったのは、娘がきっかけなのよ」
「え?」
「娘は私と私の母に似たのか……正義感が強くてね? それ故に敵も多かった」
「あ~なんとなくわかります」
「暴力に訴える事は少なかったけど、相手を蹴落とす事だけは徹底してたわ」
「どうやって?」
「身体を鍛え、知識を付けて、味方を増やした」
「ふむ」
「思春期をそんなんで過ごしていたから、私は言ったのよ? 『恋の一つでもしたらどうなのと』」
「答えは?」
「『私の心に響かせられるのは、甘いセリフを素で言えて、心を熱くたぎらせられる男だけだ』」
「おおう、荒野原さんらしい」
「……過去を愚痴るのはここまでにしましょうか」
詩織はゆっくりとお酒を飲んだ。
「私の一番の心配事は解消されたし、愚痴るよりも楽しい話をしましょ」
「詩織、あんたの羽島君とのロール、見させてもらったけど無双し過ぎよ?」
「はん! 未来の娘の幸せの為に全て絶滅させただけよ」
「いや、俺も全滅させるとは思わなかったです」
「敵は滅ぼさないとね?」
「……荒野原さんのお母さんだけありますね」
「ああそうそう、兎君にお礼が言いたかったのよ」
「お礼ですか?」
「ドレミドの設定で悪人を無造作に滅ぼし続けた、って設定があるんだけどね?」
「はい」
「あのロールで『娘の幸せの為に』って設定が付け加えられたからね」
「どういたしまして?」
「まあ、私が勝手に喜んでるだけだけどねー」
「そうだわ羽島君、ロールと言えばあゆさちゃんから聞いたんだけど、過去のロールをやり直すんですって?」
詩織がお酒を飲み干して、ルルが直に新しいのを作りながら聞いた。
「はい」
「私の所にも話は来たわよ? 任せて、当時のメンバーに連絡しているから」
「そこまで再現するんですか?」
「当たり前よ? やられ役はともかく、当時のゲーム内のお客様ロールしてたメンバーじゃないと、再現じゃないでしょ?」
「それって私と兎君が……いや、ドレミドと縁が初めて会った時の再現?」
「この間のロールを踏まえると、ドレミドは全て知ってる事になるわね、それにあんたの娘のキャラクターも追加されるし」
「おお~リメイクってやつだね~」
「でもメンバー集めにはちょっと時間がかかるわ」
「なら兎君の妹を助けにさ、過去に行く話を先にやればいいんじゃないかね」
「詩織、あんたまた無双するのね?」
「いやいや、私じゃなくても兎君と娘が無双するでしょ」
「ああ、そう言えば縁は絆の敵には容赦しなかったわね」
「幼少期の妹を付け加えると完璧だねぇ」
「……空から金塊が降ってくるわ」
「お、何それ」
「縁の必殺技のようなものね、今は見ないけど」
「ぐっ!」
長谷川は激痛が走ったような顔をしてそっぽを向いた。
「おおう、振り返りたくない過去~」
「でも羽島君、昔をロールするなら頑張ってね?」
「……善処します」
そこからは今日のゲーム内のロールを互いに話した。
詩織はゲーム内で長谷川の母と遊び、ルルはゲーム内でもお店のロールをしていた。
日付が変わる前に長谷川は帰宅した、ほろ酔いのいい気分でパソコンを付けて、自分の過去のロールを勢いで見ようとする。
画面には若かりし頃の縁が映っていて、目付きが鋭く殺気を放っていた。
「うわ~ツンツンしすぎだろコイツ!」
過去の自分のロールをツッコミながら見ていた長谷川だったが……。
『金か……お前に幸せをくれてやろう! 降れ! 黄金よ! 万物のあらゆる理を運をもって捻じ曲げよ!』
パソコンの画面には、その言葉と共に空から黄金が雨あられの様に降っている。
長谷川は素早く動画を閉じて台所へ、そして水を一杯飲む。
「……肝が冷えるってこういう事か、酔いが醒めた」
その後、長谷川は過去にしてきた自分のロールを見ては止めを繰り返したのだった。
「斬銀さんと隼士さんはそのままロールするのか、お疲れ様のメールをしておこう」
メールを操作して今回参加したプレイヤーと、運営に対してお礼のメール打つ。
「……今日は居ないけど、どうしようか?」
縁もとい長谷川は、荒野原が居ることの方が日常になっていた。
「帰る準備しながら考えるか」
ログアウトをして帰り支度をする。
「……一人で飲みに行くのもありじゃないか? たまには」
そう考えた長谷川はルルのお店へと向かうのだった。
「閉まってるじゃねーか」
扉の前にはクローズの立て札がある。
「あら? 羽島君じゃない? 私の店に用?」
「ああルルさん、今日は一人で飲もうと思いまして」
「ん~羽島君なら大丈夫ね」
「何かあったんですか?」
「今日は詩織誕生日でね? 毎年貸切でサシで飲んでるのよ」
ルルは酒や食べ物が入っているビニール袋を長谷川に見せた。
「いいんですか?」
「いいのよ、さ、入って入って」
長谷川は扉を開けて中へ入り、ルルはされに続く。
「詩織、いい男捕まえて来たわよ!」
「ん~? って兎君じゃない! 娘はどうしたの? 喧嘩したの?」
「いやいや詩織さん、何時も一緒じゃないですよ」
「そりゃそうか、ごめんなさいね」
「ささ、羽島君も座りなさい、お酒とおつまみもおまかせでいい?」
「はい」
ルルはカウンターに立ち、長谷川は詩織の隣に座った。
手際よくお酒を作り、おつまみと共に長谷川の前に出す。
「娘が迷惑かけてないかしら?」
「いえ、大丈夫です」
「……誕生日にここで飲むようになったのは、娘がきっかけなのよ」
「え?」
「娘は私と私の母に似たのか……正義感が強くてね? それ故に敵も多かった」
「あ~なんとなくわかります」
「暴力に訴える事は少なかったけど、相手を蹴落とす事だけは徹底してたわ」
「どうやって?」
「身体を鍛え、知識を付けて、味方を増やした」
「ふむ」
「思春期をそんなんで過ごしていたから、私は言ったのよ? 『恋の一つでもしたらどうなのと』」
「答えは?」
「『私の心に響かせられるのは、甘いセリフを素で言えて、心を熱くたぎらせられる男だけだ』」
「おおう、荒野原さんらしい」
「……過去を愚痴るのはここまでにしましょうか」
詩織はゆっくりとお酒を飲んだ。
「私の一番の心配事は解消されたし、愚痴るよりも楽しい話をしましょ」
「詩織、あんたの羽島君とのロール、見させてもらったけど無双し過ぎよ?」
「はん! 未来の娘の幸せの為に全て絶滅させただけよ」
「いや、俺も全滅させるとは思わなかったです」
「敵は滅ぼさないとね?」
「……荒野原さんのお母さんだけありますね」
「ああそうそう、兎君にお礼が言いたかったのよ」
「お礼ですか?」
「ドレミドの設定で悪人を無造作に滅ぼし続けた、って設定があるんだけどね?」
「はい」
「あのロールで『娘の幸せの為に』って設定が付け加えられたからね」
「どういたしまして?」
「まあ、私が勝手に喜んでるだけだけどねー」
「そうだわ羽島君、ロールと言えばあゆさちゃんから聞いたんだけど、過去のロールをやり直すんですって?」
詩織がお酒を飲み干して、ルルが直に新しいのを作りながら聞いた。
「はい」
「私の所にも話は来たわよ? 任せて、当時のメンバーに連絡しているから」
「そこまで再現するんですか?」
「当たり前よ? やられ役はともかく、当時のゲーム内のお客様ロールしてたメンバーじゃないと、再現じゃないでしょ?」
「それって私と兎君が……いや、ドレミドと縁が初めて会った時の再現?」
「この間のロールを踏まえると、ドレミドは全て知ってる事になるわね、それにあんたの娘のキャラクターも追加されるし」
「おお~リメイクってやつだね~」
「でもメンバー集めにはちょっと時間がかかるわ」
「なら兎君の妹を助けにさ、過去に行く話を先にやればいいんじゃないかね」
「詩織、あんたまた無双するのね?」
「いやいや、私じゃなくても兎君と娘が無双するでしょ」
「ああ、そう言えば縁は絆の敵には容赦しなかったわね」
「幼少期の妹を付け加えると完璧だねぇ」
「……空から金塊が降ってくるわ」
「お、何それ」
「縁の必殺技のようなものね、今は見ないけど」
「ぐっ!」
長谷川は激痛が走ったような顔をしてそっぽを向いた。
「おおう、振り返りたくない過去~」
「でも羽島君、昔をロールするなら頑張ってね?」
「……善処します」
そこからは今日のゲーム内のロールを互いに話した。
詩織はゲーム内で長谷川の母と遊び、ルルはゲーム内でもお店のロールをしていた。
日付が変わる前に長谷川は帰宅した、ほろ酔いのいい気分でパソコンを付けて、自分の過去のロールを勢いで見ようとする。
画面には若かりし頃の縁が映っていて、目付きが鋭く殺気を放っていた。
「うわ~ツンツンしすぎだろコイツ!」
過去の自分のロールをツッコミながら見ていた長谷川だったが……。
『金か……お前に幸せをくれてやろう! 降れ! 黄金よ! 万物のあらゆる理を運をもって捻じ曲げよ!』
パソコンの画面には、その言葉と共に空から黄金が雨あられの様に降っている。
長谷川は素早く動画を閉じて台所へ、そして水を一杯飲む。
「……肝が冷えるってこういう事か、酔いが醒めた」
その後、長谷川は過去にしてきた自分のロールを見ては止めを繰り返したのだった。
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