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第二章 ジャスティスジャッジメントの正義
第六話 演目 未練
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縁達は冥界のお祭りを楽しんでいた、隼士のオススメで金魚すくいをやっている。
「俺の運が通用しない?」
「残念だったな兎のあんちゃん、冥界の金魚達は言わば幽霊、不確定要素で攻略は出来んよ?」
「冥界の水に冥界の金魚、普通じゃ攻略出来ん」
「斬銀さんは出来るんですか?」
「まあ見てな」
斬銀はぽいを持つ手を集中させる。
そのまま水に入れ、デカイ金魚に寄せていく。
サッと簡単そうにデカイ金魚をすくった!
「冥界の水ってのは、言わば『気』のようなもんで普通は触れられん、金魚も同様だ」
「ふむ」
「このぽいを通して波長を合わせ、すくうって訳だ、まあ、攻略の一つだ」
「やるな筋肉のあんちゃん、金魚は持って帰られたら困るから、景品と交換だ」
「おっ、デカいのを取ったからいいもんか?」
「冥界の鍛冶屋『冥鉄』さんのサイン色紙だ」
ねじり鉢巻きをしたおっちゃんは、景品を斬銀に渡した。
斬銀はあからさまに、どうしていいかわからない顔をしている。
「……俺には価値がわからん、縁はわかるか?」
「このサイン色紙から感じるのは、ガンコな鍛冶屋が祭りだからとサインした様だ」
「お前にやる」
「貰っておこう」
斬銀からサイン色紙を貰い、鞄にしまう。
それから3人は、輪投げや射的、的当てやピンボールを楽しむ。
全部制覇する勢いであちらこちらへと行っていると。
「ん?」
「どうした縁」
「いや、強い未練を感じた」
「そりゃ死者の国なんだから未練も有るだろ」
「斬銀、この祭りを運営している死者は、現世に未練の無い人達だ」
「そうなのか、それは知らなかった」
「生身の人間と接触する機会があるからな」
「なるほど、まあ考えてみりゃそうか」
「縁さん、場所はわかるかい?」
「ええ」
「案内してくれ」
縁を先頭に歩き出し、しばらく歩き会場の端っこで俯いている青年が居た。
「あの青年から未練を感じます」
「あれはロミアじゃないか」
「なんだ隼士知ってるのか?」
「最近死んだ青年だ、街を守る戦いで命を落したそうだ」
「その街ってのは?」
「ラキアグというらしい」
「ラキアグ? ラキアグで何かあったんですか?」
「彼から聞いた話では、ジャスティスジャッジメントの被害にあったとか」
「またジャスティスジャッジメントか、居すぎだろ」
「相手は10万以上居る傭兵部隊だ、何処でも居るだろ」
「上はなにやってんだか」
「ま、それよりもロミアの未練の方が重要だ」
「だな、縁が感じとったって事は……人との関わりで未練があるって事か?」
「ああ」
「とりあえず話を聞いてみようぜ」
「私に任せてもらおう」
隼士が青年に近寄った。
「ロミア」
「隼士さん、お祭りの警備ですか?」
「いや友人達を案内していた、それよりロミア、悩みが有るなら言うんだ」
「相変わらず入りが雑だな」
「斬銀、茶化すな」
「……いきなり死にましたから、両親に別れの挨拶すら出来ずにここに来ました、せめて両親に何かメッセージを伝えられれば……とね」
「生き返りたいとかではないんだな?」
「はい」
「今思えば隼士は年一で現世に帰ってくるが、特別な事なんだな?」
「冥府信用を得てるからね、問題を起こせばもう来れなくなる」
「隼士さんの様に現世に降りるには、相当時間がかかるでしょうし、僕の気持ちが悪い方向に変わってしまうかもしれません」
「その考えは正しい、死者は未練を乗り越えて無いと悪霊になる可能性がある」
「じゃあ今のうちにどうにかしねーとな?」
「俺に任せて」
縁は自信満々にそう言った。
「貴方は両親が泣いているのが辛いんですね?」
「僕を忘れろとは言えませんが、元気に暮らしてほしい」
「何か思い出の品とかありますか?」
「このペンダントですかね、両親からの誕生日で貰いました」
「って、スケスケだな」
斬銀がペンダントを取ろうとしても、素通りしてしまう。
「斬銀、死者の持ち物だから普通は触れれないよ」
「縁、どうすんだ?」
「神の俺が普通だとでも? 斬銀さん」
「……そいやそうだったな」
「俺を信じてくれるなら、そのペンダントを握りしめてご両親の事を考えていてください」
「貴方はいったい?」
「ただの縁結びの神様さ、んじゃラキアグの街に行こうか」
縁はそれだけ言うと歩き出して、斬銀達も続く。
「って、ロミアからのメッセージは聞かなくていいのか?」
「あのペンダントをご両親に渡せばいい、言葉よりも伝わりやすい」
「てかこれって冥府の仕事じゃねーか? いいのか? 俺達が勝手にやって」
「そうだな、一応冥府には話を通しておこう、現世へ案内したらまた冥府に戻る」
「ああ」
現世に戻った縁達はラキアグが見える場所に居た。
「ここはラキアグ付近だな」
「じゃあ私は一度戻る」
「待ってるぜ」
隼士はパッと消える。
「縁、どうやら敵が来るようだ」
「ジャスティスジャッジメントがまたここに?」
「もはや理由は無いんだろうな、その場の勢いで理由を作りそうだ」
「ラキアグにはお世話になった人達が居る」
「隼士が戻ってきたら、ロミアの両親の所に速攻行くぞ」
「ああ」
「待たせた」
数十秒で戻って来た隼士。
「いや、早かったな」
「冥府は我々の行動を見ていたようで、すぐに許可がおりたよ」
「そうか、隼士もうすぐここに敵が来る、ラキアグにさっさと行くぞ」
「わかった」
3人はラキアグへと歩き出す。
「俺の運が通用しない?」
「残念だったな兎のあんちゃん、冥界の金魚達は言わば幽霊、不確定要素で攻略は出来んよ?」
「冥界の水に冥界の金魚、普通じゃ攻略出来ん」
「斬銀さんは出来るんですか?」
「まあ見てな」
斬銀はぽいを持つ手を集中させる。
そのまま水に入れ、デカイ金魚に寄せていく。
サッと簡単そうにデカイ金魚をすくった!
「冥界の水ってのは、言わば『気』のようなもんで普通は触れられん、金魚も同様だ」
「ふむ」
「このぽいを通して波長を合わせ、すくうって訳だ、まあ、攻略の一つだ」
「やるな筋肉のあんちゃん、金魚は持って帰られたら困るから、景品と交換だ」
「おっ、デカいのを取ったからいいもんか?」
「冥界の鍛冶屋『冥鉄』さんのサイン色紙だ」
ねじり鉢巻きをしたおっちゃんは、景品を斬銀に渡した。
斬銀はあからさまに、どうしていいかわからない顔をしている。
「……俺には価値がわからん、縁はわかるか?」
「このサイン色紙から感じるのは、ガンコな鍛冶屋が祭りだからとサインした様だ」
「お前にやる」
「貰っておこう」
斬銀からサイン色紙を貰い、鞄にしまう。
それから3人は、輪投げや射的、的当てやピンボールを楽しむ。
全部制覇する勢いであちらこちらへと行っていると。
「ん?」
「どうした縁」
「いや、強い未練を感じた」
「そりゃ死者の国なんだから未練も有るだろ」
「斬銀、この祭りを運営している死者は、現世に未練の無い人達だ」
「そうなのか、それは知らなかった」
「生身の人間と接触する機会があるからな」
「なるほど、まあ考えてみりゃそうか」
「縁さん、場所はわかるかい?」
「ええ」
「案内してくれ」
縁を先頭に歩き出し、しばらく歩き会場の端っこで俯いている青年が居た。
「あの青年から未練を感じます」
「あれはロミアじゃないか」
「なんだ隼士知ってるのか?」
「最近死んだ青年だ、街を守る戦いで命を落したそうだ」
「その街ってのは?」
「ラキアグというらしい」
「ラキアグ? ラキアグで何かあったんですか?」
「彼から聞いた話では、ジャスティスジャッジメントの被害にあったとか」
「またジャスティスジャッジメントか、居すぎだろ」
「相手は10万以上居る傭兵部隊だ、何処でも居るだろ」
「上はなにやってんだか」
「ま、それよりもロミアの未練の方が重要だ」
「だな、縁が感じとったって事は……人との関わりで未練があるって事か?」
「ああ」
「とりあえず話を聞いてみようぜ」
「私に任せてもらおう」
隼士が青年に近寄った。
「ロミア」
「隼士さん、お祭りの警備ですか?」
「いや友人達を案内していた、それよりロミア、悩みが有るなら言うんだ」
「相変わらず入りが雑だな」
「斬銀、茶化すな」
「……いきなり死にましたから、両親に別れの挨拶すら出来ずにここに来ました、せめて両親に何かメッセージを伝えられれば……とね」
「生き返りたいとかではないんだな?」
「はい」
「今思えば隼士は年一で現世に帰ってくるが、特別な事なんだな?」
「冥府信用を得てるからね、問題を起こせばもう来れなくなる」
「隼士さんの様に現世に降りるには、相当時間がかかるでしょうし、僕の気持ちが悪い方向に変わってしまうかもしれません」
「その考えは正しい、死者は未練を乗り越えて無いと悪霊になる可能性がある」
「じゃあ今のうちにどうにかしねーとな?」
「俺に任せて」
縁は自信満々にそう言った。
「貴方は両親が泣いているのが辛いんですね?」
「僕を忘れろとは言えませんが、元気に暮らしてほしい」
「何か思い出の品とかありますか?」
「このペンダントですかね、両親からの誕生日で貰いました」
「って、スケスケだな」
斬銀がペンダントを取ろうとしても、素通りしてしまう。
「斬銀、死者の持ち物だから普通は触れれないよ」
「縁、どうすんだ?」
「神の俺が普通だとでも? 斬銀さん」
「……そいやそうだったな」
「俺を信じてくれるなら、そのペンダントを握りしめてご両親の事を考えていてください」
「貴方はいったい?」
「ただの縁結びの神様さ、んじゃラキアグの街に行こうか」
縁はそれだけ言うと歩き出して、斬銀達も続く。
「って、ロミアからのメッセージは聞かなくていいのか?」
「あのペンダントをご両親に渡せばいい、言葉よりも伝わりやすい」
「てかこれって冥府の仕事じゃねーか? いいのか? 俺達が勝手にやって」
「そうだな、一応冥府には話を通しておこう、現世へ案内したらまた冥府に戻る」
「ああ」
現世に戻った縁達はラキアグが見える場所に居た。
「ここはラキアグ付近だな」
「じゃあ私は一度戻る」
「待ってるぜ」
隼士はパッと消える。
「縁、どうやら敵が来るようだ」
「ジャスティスジャッジメントがまたここに?」
「もはや理由は無いんだろうな、その場の勢いで理由を作りそうだ」
「ラキアグにはお世話になった人達が居る」
「隼士が戻ってきたら、ロミアの両親の所に速攻行くぞ」
「ああ」
「待たせた」
数十秒で戻って来た隼士。
「いや、早かったな」
「冥府は我々の行動を見ていたようで、すぐに許可がおりたよ」
「そうか、隼士もうすぐここに敵が来る、ラキアグにさっさと行くぞ」
「わかった」
3人はラキアグへと歩き出す。
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