88 / 293
第二章 ジャスティスジャッジメントの正義
第三話 演目 断罪丸ボディ発進!
しおりを挟む
博士は怒りを抑えるように深呼吸して、ヘッドホンをしている女性職員を見る。
「挿入歌! スタートじゃ!」
「はい! 再生します!」
ヘッドホンをしている女性職員は再生ボタンを押した。
すると軽快な音楽と共に歌が流れ始めた。
『君の心に悪を許さない心はあるか?』
『自分の絆や縁を守る誓いはあるか?』
『大切な者を奪われて泣き寝入りはしていないか?』
『それは生きていないと同じではないか!?』
『生きる為に戦い自分に降り注ぐ不幸を許すな!』
『断罪する気持ちを無くせば心は腐る一方さ!』
挿入歌のサビに入りそうなその時!
緊急事態を知らせる警報音と、赤く点滅する危険信号が作戦室を照らす!
「む!? 何事だ!」
「は、博士!」
博士は自分のモニターを見るが侵入者ではないようだ。
メガネをクイっとしている男性職員が青ざめていた。
「どうした!?」
「断罪丸ボディから急激にエネルギーが溢れています! 腰に収納している断罪剣からの断罪エネルギーが増幅しているようです!」
「何!? そのエネルギーを破損した『縁切りの太刀』へ回せ!」
「はい!」
「は、博士~今までに無い数値の断罪力の量ってカンジ~なガンジー?」
もはや絶滅したであろう、ガングロルーズソックス女子高生風の女性職員が、棒付きのアメを舐めながらてんやわんやしている。
「メインモニターに解析情報を出せ!」
「お、おっけ~!」
「こ、これは!?」
メインモニターに表示されたのは、断罪丸ボディの様々なステータス。
「私の設計を超える数値を出している!」
博士は驚きながらも、まだまだ上昇する数値を冷静に見ようとしていた。
「まさか暴走ですか!?」
「いや、これは断罪丸ボディの怒りだ! 人間が怒ると同じ現象が起きている!」
「ですがコアとは違い人工知能は無いですよ!?」
「世の中不思議であふれている証拠だ」
否定するよりも受け入れる選択をしたのか、博士は目の前の状況をいち早く飲み込み、落ち着いてメインモニターを見ている。
「……あ、あの博士」
おとなしそうな女性職員が、自信なさそうに博士を見た。
「どうした?」
「断罪丸ボディが早く発進させろと言っているような気がして……」
「そうか、君が一番断罪丸ボディを調整や塗装をしていたな」
「は、はい」
「ならば話は簡単だ、私達技術者の中で君が一番断罪丸ボディと心が通じているのだろう」
「私がですか?」
「君から言ってくれ、今発進させると基地を壊しかねないとな」
「わ、わかりました」
おとなしそうな女性職員はキーボードを操作し、断罪丸ボディの映像を自分のモニターに表示した。
「え、えっと……断罪丸ボディちゃん落ち着いて」
半信半疑でマイクに向かって断罪丸ボディに話しかける。
すると、起動していなはずの断罪丸ボディは目を青くゆっくりと点滅させた。
言葉でも発しているように。
「私は貴方とちゃんとお話出来ないけど、貴方の気持ちはわかるわ」
諭すように優しく話しかける、おとなしそうな女性職員。
「博士の気持ち、私達の気持ち、鏡さんの気持ちを感じてるんだよね?」
その言葉に断罪丸ボディは、ゆっくりと目が強く光っている。
「なら、安全確実に送り届けるから協力してね、発進出来るように出力を下げて」
メインモニターに映っていた断罪丸のステータスが徐々に下がっていく。
「帰ったきたら綺麗にしてあげるからね!」
ニコッと笑いながらそう言ったおとなしそうな女性職員、断罪丸ボディはやる気を出したのか、怒りを抑えようとしたのかわからないが、排熱をして白く熱い煙を出した。
「これなら発進出来るってかんじ~!」
ガングロ女子高生風職員は博士に向かってサムズアップをする。
「よし! 出来る限りをするぞ! 次は勝利願掛けの舞だ!」
博士は右手を突き出して指令を出す!
「お待たせ命!踊っちゃって!」
ヘッドホンした女性職員は自分のモニターを見ている、そこに映っていたのは。
『すっごい断罪エネルギーだから近付けなかった』
水色の長い髪に、紅白の巫女服のグラマーな女性が映っていた。
少々露出が過激だが、見ようによっては可愛いとみてとれる。
『早速おどっちゃう』
命は断罪丸ボディの前で踊りを始めた。
それは美しく神聖な踊りを感じさせる。
「断罪丸ボディの最終確認は!? 怠りは無いな!?」
「博士、問題はありません! 後は発進させるだけです!」
メガネをクイッとしながらニヤリとしている男性職員。
「よし!」
『こっちも踊り終わった』
断罪丸ボディの前で踊っていた命は、発進格納庫のカメラを見ている。
「命! 退避して!」
ヘッドホンをした女性職員はキーボードを操作する、格納庫にある分厚い扉が開いた。
その扉の上には案内板があり、絶対安全発進最前線特等席と書いてある。
『はいな』
命はその中へと入り、分厚い扉はしまった。
「うっし! 全ての安全確認はクリアしたぜ!」
兄貴肌な男性職員は大声を張り上げる!
「清めの水、清めの塩をふりかけ開始!」
メインモニターに映っている断罪丸ボディ、機械!のアームが水と塩を持っていて、それを断罪丸ボディの頭へとかける!
「パッパとひとつまみ確認! 清めもバッチリじゃん?」
ガングロ女子高生風の女性職員はテンションMAXに!
ノリノリで右手でペン回しをしながら左手でキーボードを操作していた。
「断罪ゲート起動! 目標地点は断罪丸コア周辺、ワープゲート安定、帰還準備も大丈夫です!」
おとなしそうな女性職員は、期待の眼差しで断罪丸ボディを見ている。
格納庫に待機している断罪丸ボディ、その少し先に虹色の歪んだ空間が機械によって現れた!
「全行程終了を確認! 断罪丸ボディの遠隔そう――いや違うな、バックアップもオッケーだぜ! 全部クリアだ博士! 発進号令よろしく頼むぜ!」
気合いの入った声を放つ兄貴肌な男性職員の言葉に職員全員が博士を見た!
「それでは皆様、長らくお待たせいたしました、ご起立願いましてはお手を拝借!」
職員全員が起立をし、メインモニターを見る。
博士が続いて立ち上がると、目の前の机からマイクが出てきた。
プラスチックのタグが付いており、発進装置と書いてある。
「断罪丸ボディ! 発進!」
博士の魂の叫び声は部屋を揺るがす!
「「「「「「いよー!」」」」」」
技術者全員の一本締めの音と共に、断罪丸ボディはカタパルトで、虹色のゲートに向かって射出された!
虹色のゲートに突然する断罪丸ボディ、数秒もしないうちに虹色のゲートは消える。
「……頼んだぞ」
博士達は祈るように、メインモニターに映る閉じたゲートを見ていた。
「挿入歌! スタートじゃ!」
「はい! 再生します!」
ヘッドホンをしている女性職員は再生ボタンを押した。
すると軽快な音楽と共に歌が流れ始めた。
『君の心に悪を許さない心はあるか?』
『自分の絆や縁を守る誓いはあるか?』
『大切な者を奪われて泣き寝入りはしていないか?』
『それは生きていないと同じではないか!?』
『生きる為に戦い自分に降り注ぐ不幸を許すな!』
『断罪する気持ちを無くせば心は腐る一方さ!』
挿入歌のサビに入りそうなその時!
緊急事態を知らせる警報音と、赤く点滅する危険信号が作戦室を照らす!
「む!? 何事だ!」
「は、博士!」
博士は自分のモニターを見るが侵入者ではないようだ。
メガネをクイっとしている男性職員が青ざめていた。
「どうした!?」
「断罪丸ボディから急激にエネルギーが溢れています! 腰に収納している断罪剣からの断罪エネルギーが増幅しているようです!」
「何!? そのエネルギーを破損した『縁切りの太刀』へ回せ!」
「はい!」
「は、博士~今までに無い数値の断罪力の量ってカンジ~なガンジー?」
もはや絶滅したであろう、ガングロルーズソックス女子高生風の女性職員が、棒付きのアメを舐めながらてんやわんやしている。
「メインモニターに解析情報を出せ!」
「お、おっけ~!」
「こ、これは!?」
メインモニターに表示されたのは、断罪丸ボディの様々なステータス。
「私の設計を超える数値を出している!」
博士は驚きながらも、まだまだ上昇する数値を冷静に見ようとしていた。
「まさか暴走ですか!?」
「いや、これは断罪丸ボディの怒りだ! 人間が怒ると同じ現象が起きている!」
「ですがコアとは違い人工知能は無いですよ!?」
「世の中不思議であふれている証拠だ」
否定するよりも受け入れる選択をしたのか、博士は目の前の状況をいち早く飲み込み、落ち着いてメインモニターを見ている。
「……あ、あの博士」
おとなしそうな女性職員が、自信なさそうに博士を見た。
「どうした?」
「断罪丸ボディが早く発進させろと言っているような気がして……」
「そうか、君が一番断罪丸ボディを調整や塗装をしていたな」
「は、はい」
「ならば話は簡単だ、私達技術者の中で君が一番断罪丸ボディと心が通じているのだろう」
「私がですか?」
「君から言ってくれ、今発進させると基地を壊しかねないとな」
「わ、わかりました」
おとなしそうな女性職員はキーボードを操作し、断罪丸ボディの映像を自分のモニターに表示した。
「え、えっと……断罪丸ボディちゃん落ち着いて」
半信半疑でマイクに向かって断罪丸ボディに話しかける。
すると、起動していなはずの断罪丸ボディは目を青くゆっくりと点滅させた。
言葉でも発しているように。
「私は貴方とちゃんとお話出来ないけど、貴方の気持ちはわかるわ」
諭すように優しく話しかける、おとなしそうな女性職員。
「博士の気持ち、私達の気持ち、鏡さんの気持ちを感じてるんだよね?」
その言葉に断罪丸ボディは、ゆっくりと目が強く光っている。
「なら、安全確実に送り届けるから協力してね、発進出来るように出力を下げて」
メインモニターに映っていた断罪丸のステータスが徐々に下がっていく。
「帰ったきたら綺麗にしてあげるからね!」
ニコッと笑いながらそう言ったおとなしそうな女性職員、断罪丸ボディはやる気を出したのか、怒りを抑えようとしたのかわからないが、排熱をして白く熱い煙を出した。
「これなら発進出来るってかんじ~!」
ガングロ女子高生風職員は博士に向かってサムズアップをする。
「よし! 出来る限りをするぞ! 次は勝利願掛けの舞だ!」
博士は右手を突き出して指令を出す!
「お待たせ命!踊っちゃって!」
ヘッドホンした女性職員は自分のモニターを見ている、そこに映っていたのは。
『すっごい断罪エネルギーだから近付けなかった』
水色の長い髪に、紅白の巫女服のグラマーな女性が映っていた。
少々露出が過激だが、見ようによっては可愛いとみてとれる。
『早速おどっちゃう』
命は断罪丸ボディの前で踊りを始めた。
それは美しく神聖な踊りを感じさせる。
「断罪丸ボディの最終確認は!? 怠りは無いな!?」
「博士、問題はありません! 後は発進させるだけです!」
メガネをクイッとしながらニヤリとしている男性職員。
「よし!」
『こっちも踊り終わった』
断罪丸ボディの前で踊っていた命は、発進格納庫のカメラを見ている。
「命! 退避して!」
ヘッドホンをした女性職員はキーボードを操作する、格納庫にある分厚い扉が開いた。
その扉の上には案内板があり、絶対安全発進最前線特等席と書いてある。
『はいな』
命はその中へと入り、分厚い扉はしまった。
「うっし! 全ての安全確認はクリアしたぜ!」
兄貴肌な男性職員は大声を張り上げる!
「清めの水、清めの塩をふりかけ開始!」
メインモニターに映っている断罪丸ボディ、機械!のアームが水と塩を持っていて、それを断罪丸ボディの頭へとかける!
「パッパとひとつまみ確認! 清めもバッチリじゃん?」
ガングロ女子高生風の女性職員はテンションMAXに!
ノリノリで右手でペン回しをしながら左手でキーボードを操作していた。
「断罪ゲート起動! 目標地点は断罪丸コア周辺、ワープゲート安定、帰還準備も大丈夫です!」
おとなしそうな女性職員は、期待の眼差しで断罪丸ボディを見ている。
格納庫に待機している断罪丸ボディ、その少し先に虹色の歪んだ空間が機械によって現れた!
「全行程終了を確認! 断罪丸ボディの遠隔そう――いや違うな、バックアップもオッケーだぜ! 全部クリアだ博士! 発進号令よろしく頼むぜ!」
気合いの入った声を放つ兄貴肌な男性職員の言葉に職員全員が博士を見た!
「それでは皆様、長らくお待たせいたしました、ご起立願いましてはお手を拝借!」
職員全員が起立をし、メインモニターを見る。
博士が続いて立ち上がると、目の前の机からマイクが出てきた。
プラスチックのタグが付いており、発進装置と書いてある。
「断罪丸ボディ! 発進!」
博士の魂の叫び声は部屋を揺るがす!
「「「「「「いよー!」」」」」」
技術者全員の一本締めの音と共に、断罪丸ボディはカタパルトで、虹色のゲートに向かって射出された!
虹色のゲートに突然する断罪丸ボディ、数秒もしないうちに虹色のゲートは消える。
「……頼んだぞ」
博士達は祈るように、メインモニターに映る閉じたゲートを見ていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
Solomon's Gate
坂森大我
SF
人類が宇宙に拠点を設けてから既に千年が経過していた。地球の衛星軌道上から始まった宇宙開発も火星圏、木星圏を経て今や土星圏にまで及んでいる。
ミハル・エアハルトは木星圏に住む十八歳の専門学校生。彼女の学び舎はセントグラード航宙士学校といい、その名の通りパイロットとなるための学校である。
実技は常に学年トップの成績であったものの、ミハルは最終学年になっても就職活動すらしていなかった。なぜなら彼女は航宙機への興味を失っていたからだ。しかし、強要された航宙機レースへの参加を境にミハルの人生が一変していく。レースにより思い出した。幼き日に覚えた感情。誰よりも航宙機が好きだったことを。
ミハルがパイロットとして歩む決意をした一方で、太陽系は思わぬ事態に発展していた。
主要な宙域となるはずだった土星が突如として消失してしまったのだ。加えて消失痕にはワームホールが出現し、異なる銀河との接続を果たしてしまう。
ワームホールの出現まではまだ看過できた人類。しかし、調査を進めるにつれ望みもしない事実が明らかとなっていく。人類は選択を迫られることになった。
人類にとって最悪のシナリオが現実味を帯びていく。星系の情勢とは少しの接点もなかったミハルだが、巨大な暗雲はいとも容易く彼女を飲み込んでいった。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
青い星の管理人
孤太郎
SF
大宇宙にぽつんと浮かぶ青い星。
そこには80億人もの人間たちが住んでいる。
湾曲した星の表面には幾つもの国家が存在し、多種多様な文化圏があり、幾つもの言語があり、
肌や目の色が違う人種が各々の生活を営んでいた。
だが、そこは星などではなかった......。
球体上の世界ではなく、広大な平面世界の一画にある収容所と呼ばれる施設の中だった。
施設の外周は分厚い氷の壁で取り囲まれ、内側に住む人々は外の世界の存在を誰も知らない。
地図上にある陸地や海が世界の全てだと思い込まされていた。
壁の内側に住む人間たちは囚人と呼ばれていた。
収容所の外側にも世界があった。
そこにも多くの人間が住んでいた。
そこで生まれ育った好奇心旺盛なひとりの若い女性が旅に出る。
彼女は一般人には窺い知ることができない収容所の中を見てみたいという一心から収容所の管理人となる。
年に一度の内部監査で収容所の中に入ることができるからだ。
収容所内を分割統治しているのは外の世界から派遣された(看守)と呼ばれる工作員だった。
所内にいる六人の看守たちを訪ねる一風変わった出張旅行が始まる。
彼女は目を輝かせて入ってゆく、収容所の中へと......。
そこで目にするあらゆるものが彼女の心の奥深くまで浸潤し、次第に魂が変容していく。
初めて対面する見知らぬ自分......、
触発され浮き彫りになる自身の本質......、
所内で繰り返されるおぞましい洗脳......、
迷走する彼女の目に映る異世界は楽園なのか、それとも奈落なのか......。
囚人と呼ばれる人間たちは何者なのか......。
連載長篇小説 青い星の管理人
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる