VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第一章 レアスナタの世界へ!

第六話 前説 表現と健康に対してのお知らせ

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 今日も長谷川はレアスナタ、親友の公式イベントに向けたロールを手伝うためだ。
 何時ものポーズをした後にログインをする。

「待ちぼうけ~待ちぼうけ~兎飛び越えた木の根っこ~」

 縁はロビーの噴水で親友を待つ、周りには様々なプレイヤーが楽しそうに会話をしてる。

「はろぅ~待たせたな、えにすぃ~」
「このふざけた言い方、待ち合わせ時間五分前には必ず来る奴、それは」

 縁は振り返った。
 そこには黒髪で単発のツンツンヘアーで、Tシャツに綿生地のズボン、黒く短い刀を腰に携え、靴は運動靴。
 顔は少ししかめっ面していて、目つきは鋭く、耳にイヤリング、胸元にペンダントが輝いている男キャラクターが立っていた

「紛れもなく俺だな、色鳥ちゃんここに見参さ」
「久しぶりだな! 色鳥」
「縁も元気だったか?」

 お互いに熱い握手を交わす。

「最近ログインしてなかったけど、何かあったのか?」
「ああ、嫁さんとデートしたり、結婚式の相談したりな」
「あらら、お前も身を固めるか」
「で、縁さんよ」
「どしたよ、色鳥さんよ」
「嫁から聞いた話だが」
「ん? 俺とお前の嫁さんに接点は無いぞ?」
「まあ聞け、なんでもトライアングルを持った音楽の先生とよく一緒に居るとか」
「何でお前の嫁さんが知ってるんだ? フレンドとか?」
「いや幼馴染らしい、それこそ幼稚園からの付き合いだとか」
「おおう、世間て狭いな」
「んでだ、よく一緒に飲みに行くとか?」
「まあそうだけど」
「お前もついに女性に興味を持ったのかとな」

 色鳥はわざとらしく漫画でよくある大泣き表現のエフェクトで泣き出した。

「妹にもそれ言われたがそんなにか?」
「お前はレアスナタ三昧過ぎたんだよ」
「少なくとも学生の時に好きな人は居たぞ?」
「……居ただけで何もアクション起こさなかっただろ」
「ああ、当時はレアスナタが忙しいかったからな」
「威張って言う事かよ」
「それよりも今日は公式イベントの準備だ、張り切っていこうじゃないか」
「無理矢理話題変えやがったな」
「この間飛び入り参加してその人見たけど、兄貴が好きになるのは何となくわかるかなー」

 縁の真後ろから話しかけた人物が。

「うお!? 妹よ! いきなり現れんな!」
「いや、ゲームなんだからいきなり現れもするよ」
「まあ縁の恋バナをもうちょっと聞きたいけどそろそろ時間だ」
「ん? そろそろか?」

 縁は広場にある時計を見た。

「ええ~今回のロールは流血表現とか暴力表現とか設定やセリフだけや匂わせる性的な表現が有るからな? 参加される方々は大丈夫でしょうか?」

 色鳥は首を回してストレッチをしている。

「あたしは健康な成人乙女です」
「健康な成人男性だぜ、森山ボックス健康診断パック様々だ」

 森山ボックス健康診断パックとは、ゲーム契約プランの一つで病院での健康診断やメンタルケア等付いているパック。
 ゲームが与える影響を考慮し、流血表現や暴力表現、性的表現をオンにしているプレーヤーはこのプランを推奨される。
 表現をオフにしているプレーヤーからもこのプランに加入している人は多く、心身共に健康でゲームをしたいようだ。

「んでロール内容なんだがグリオードの国に行って依頼受ける所からだな」
「色鳥、後は流れか?」
「ああ、内容はお楽しみにな」
「開始地点?」
「グリオードの宮殿前からで、執事さんが話かけてくれるらしい」
「おっけー」
「んじゃ、約束の時間だから開始するぞ?」

 色鳥は開始宣言のベルを取り出した。

「おう」
「レッツ! 絆ちゃんターイム!」

 絆はその場で一回転をして、スポットライトを浴びながらポーズをとった。

「お前、それやんなきゃダメなんだな」
「あらお兄様? ログインする時に気合い入れるお兄様には言われたくないですわ?」
「開始を告げる鐘よ! 我らに役目を与えたまえ!」

 色鳥はベルを鳴らしてロール開始の合図をした。

「類は友を呼ぶだな」

 縁のその言葉と共に3人はその場から消えた。
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