28 / 293
第一章 レアスナタの世界へ!
第三話 幕切れ お礼は太陽の花
しおりを挟む
「すごい! すごーい! 花が蘇った!」
「任務完了だな」
フレビィレンスは太陽の花畑の周りを嬉しそうに走った。
陣英は力強く咲く花達を見て満足そうに笑い、縁が近寄ってきた。
「陣英お疲れ様、報酬は何がいい?」
「いらんな、あの子の笑顔で十分だ」
「そうか、で、少々ツッコミがあるんだが」
「ん?」
「お前の力だけで花は復活できたよな?」
「『復活だけ』ならな、重要なのは『彼女が自分で救った』という事実だ」
「そういう事か」
「他には?」
「お前のダサいネーミングセンスについて」
「はっ! ネーミングセンスなんてのは歴史の重みと流行りじゃないか」
「言われてみればそうかもな」
「あ、そうだ」
走り回っていたフレビィレンスは陣英に近寄より見上げた。
「お兄ちゃん達、お花を綺麗にしてくれてありがとうございます、お礼は何がいいですか?」
それを聞いた陣英はしゃがみフレビィレンスと目線を合わせる。
「君の大切にしいてる太陽の花を一本頂けるかな?」
「うん! いいよ!」
その会話を聞いていた絆達は太陽の花を見る。
「あら? 私達も素敵なお花を頂きたいですわ」
「おっ! いいねぇ、俺の執務室はちと寂しいから貰えるならありがたいぜ」
「お兄ちゃん、まずは借りた楽器を綺麗にしてからですわよ?」
「ああそうだな、縁にクリーニングクロスでも借りるか」
「それなら大丈夫、このこ達は自動洗浄機能付き」
「高性能なのはスゲーがどういった原理なんだか」
「ちょっと違うけど魔力的な要素で洗浄する」
スファーリアがトライアングルを鳴らすと空中と貸していた楽器が消える。
「お兄様~!? 鉢植えはありますか?」
絆は少し大きな声を出して縁を呼んだ。
「ん? 今まさにフレビィレンスが作業中だよ」
「私が用意するから待っててね!」
フレビィレンスは何時の間にか軍手とシャベルを装備して土いじりをしていた。
人数分の鉢植えも近くに置いてある、縁が出したのだろう。
縁と陣英は絆達が居る場所へと移動する。
「陣英、ジャスティスジャッジメントに付いて教えてくれ」
「腐れ外道集団に成り下がった傭兵達だ、昔はしっかりしてたらしいがな」
「俺は今日初めて聞いたんだが」
「少し前までは上手く立ち回りをしていたようだ、が、新人教育がなってないのかしっぽを残すようになってな」
「手駒はどんなのかわかってるのか?」
「異世界の人間達だ」
「異世界?」
「アイツから聞いた情報だが、この世界に呼ばれる人間に共通点に『科学は発展していても魔法とかが無い世界』だ」
「それが? なんで?」
「簡単さ、異世界での剣と魔法の世界に魅力を感じるからだな」
「そんないいもんかね?」
「力を持って無い奴から見れば魅力的なんだろ? そして危険性を知らない」
「なるほどな」
縁は呆れたようにため息をした。
「お兄様、私からも一つ」
「なんだ?」
「今日私にちょっかいかけたのも異世界人です」
「兄さんとのやり取りを聞いてたらそんな感じだったな」
「私の考察です魅力的な広告でも出してるのかと、詐欺ですけども」
「魅力的な広告?」
「ええ、信仰心の為に小説やテレビゲームのような感覚でこちらに呼ぶのですわ」
「どういう事だ?」
「……なるほど、よく出来てるわ」
縁が首を傾げているとスファーリアがドスの効いた声を出す。
「スファーリアさん?」
「縁君簡単よ? この世界に呼び出して『君は選ばれた勇者だ』とか言っておだてればいいんだよ」
「それでいい気になるのか?」
「いい気になるような考えをしている人間を選別してるんでしょ」
「なるほどな」
「どちらにしてもそのジャスティスジャッジメントとか頭の悪い異世界人は絶滅するに限る」
「言えた立場じゃないけど穏便にね? 学校の先生なんだから」
「ふっ……学校から絶滅許可を貰ってるから大丈夫」
「どんな許可なんだか」
「あらあら? お兄様のガールフレンドはクレイジーな方なのですわね?」
絆は場の空気を変えるように楽しそうな声でそう言った。
「それはお互い様、縁君の妹がファッションセンスが良くてビックリした」
「……お兄様は常にジャージですからね」
「……恥ずかしいって訳じゃないけど、ね」
「おいおい別にいいだろ?」
縁のジャージ姿に皆の視線が集まる。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん! お花を鉢植えに移したよ!」
助け舟のようにフレビィレンスが声を上げた。
全員フレビィレンスの所へ行きそれぞれお礼を言って鉢植えを持つ。
「んじゃ、ミッション完了って事で俺は帰るぜ」
「ありがとうな陣英」
「またな縁、みんなもな」
陣英は今までほったらかしされていた長方形の通信機から出ている白いモヤモヤに飛び込んだ。
そのモヤモヤは陣英が通り終わると消えて、縁は通信機を拾って鞄にしまう。
「俺達も帰ろうか」
「そうだね」
「お兄様、私はフレビィレンスを送っていきますわ、何かあったら困りますし」
「俺もエスコートするぜ? 女性二人は危ないだろ?」
「よろしくお願いいたしますわ、お兄ちゃん」
「兄さんと絆が居るなら大丈夫だな」
「みんなお疲れ様、またね」
「お姉ちゃんバイバーイ!」
フレビィレンスは元気に両手を振り、スファーリアは答えるように手を振った後にトライアングルを叩いて、その甲高い音と共にスッと消えていった。
「またな」
「お兄ちゃんもバイバーイ!」
再び手を振るフレビィレンスに縁も軽く手を上げて答えた後に白い光に包まれて消える。
「任務完了だな」
フレビィレンスは太陽の花畑の周りを嬉しそうに走った。
陣英は力強く咲く花達を見て満足そうに笑い、縁が近寄ってきた。
「陣英お疲れ様、報酬は何がいい?」
「いらんな、あの子の笑顔で十分だ」
「そうか、で、少々ツッコミがあるんだが」
「ん?」
「お前の力だけで花は復活できたよな?」
「『復活だけ』ならな、重要なのは『彼女が自分で救った』という事実だ」
「そういう事か」
「他には?」
「お前のダサいネーミングセンスについて」
「はっ! ネーミングセンスなんてのは歴史の重みと流行りじゃないか」
「言われてみればそうかもな」
「あ、そうだ」
走り回っていたフレビィレンスは陣英に近寄より見上げた。
「お兄ちゃん達、お花を綺麗にしてくれてありがとうございます、お礼は何がいいですか?」
それを聞いた陣英はしゃがみフレビィレンスと目線を合わせる。
「君の大切にしいてる太陽の花を一本頂けるかな?」
「うん! いいよ!」
その会話を聞いていた絆達は太陽の花を見る。
「あら? 私達も素敵なお花を頂きたいですわ」
「おっ! いいねぇ、俺の執務室はちと寂しいから貰えるならありがたいぜ」
「お兄ちゃん、まずは借りた楽器を綺麗にしてからですわよ?」
「ああそうだな、縁にクリーニングクロスでも借りるか」
「それなら大丈夫、このこ達は自動洗浄機能付き」
「高性能なのはスゲーがどういった原理なんだか」
「ちょっと違うけど魔力的な要素で洗浄する」
スファーリアがトライアングルを鳴らすと空中と貸していた楽器が消える。
「お兄様~!? 鉢植えはありますか?」
絆は少し大きな声を出して縁を呼んだ。
「ん? 今まさにフレビィレンスが作業中だよ」
「私が用意するから待っててね!」
フレビィレンスは何時の間にか軍手とシャベルを装備して土いじりをしていた。
人数分の鉢植えも近くに置いてある、縁が出したのだろう。
縁と陣英は絆達が居る場所へと移動する。
「陣英、ジャスティスジャッジメントに付いて教えてくれ」
「腐れ外道集団に成り下がった傭兵達だ、昔はしっかりしてたらしいがな」
「俺は今日初めて聞いたんだが」
「少し前までは上手く立ち回りをしていたようだ、が、新人教育がなってないのかしっぽを残すようになってな」
「手駒はどんなのかわかってるのか?」
「異世界の人間達だ」
「異世界?」
「アイツから聞いた情報だが、この世界に呼ばれる人間に共通点に『科学は発展していても魔法とかが無い世界』だ」
「それが? なんで?」
「簡単さ、異世界での剣と魔法の世界に魅力を感じるからだな」
「そんないいもんかね?」
「力を持って無い奴から見れば魅力的なんだろ? そして危険性を知らない」
「なるほどな」
縁は呆れたようにため息をした。
「お兄様、私からも一つ」
「なんだ?」
「今日私にちょっかいかけたのも異世界人です」
「兄さんとのやり取りを聞いてたらそんな感じだったな」
「私の考察です魅力的な広告でも出してるのかと、詐欺ですけども」
「魅力的な広告?」
「ええ、信仰心の為に小説やテレビゲームのような感覚でこちらに呼ぶのですわ」
「どういう事だ?」
「……なるほど、よく出来てるわ」
縁が首を傾げているとスファーリアがドスの効いた声を出す。
「スファーリアさん?」
「縁君簡単よ? この世界に呼び出して『君は選ばれた勇者だ』とか言っておだてればいいんだよ」
「それでいい気になるのか?」
「いい気になるような考えをしている人間を選別してるんでしょ」
「なるほどな」
「どちらにしてもそのジャスティスジャッジメントとか頭の悪い異世界人は絶滅するに限る」
「言えた立場じゃないけど穏便にね? 学校の先生なんだから」
「ふっ……学校から絶滅許可を貰ってるから大丈夫」
「どんな許可なんだか」
「あらあら? お兄様のガールフレンドはクレイジーな方なのですわね?」
絆は場の空気を変えるように楽しそうな声でそう言った。
「それはお互い様、縁君の妹がファッションセンスが良くてビックリした」
「……お兄様は常にジャージですからね」
「……恥ずかしいって訳じゃないけど、ね」
「おいおい別にいいだろ?」
縁のジャージ姿に皆の視線が集まる。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん! お花を鉢植えに移したよ!」
助け舟のようにフレビィレンスが声を上げた。
全員フレビィレンスの所へ行きそれぞれお礼を言って鉢植えを持つ。
「んじゃ、ミッション完了って事で俺は帰るぜ」
「ありがとうな陣英」
「またな縁、みんなもな」
陣英は今までほったらかしされていた長方形の通信機から出ている白いモヤモヤに飛び込んだ。
そのモヤモヤは陣英が通り終わると消えて、縁は通信機を拾って鞄にしまう。
「俺達も帰ろうか」
「そうだね」
「お兄様、私はフレビィレンスを送っていきますわ、何かあったら困りますし」
「俺もエスコートするぜ? 女性二人は危ないだろ?」
「よろしくお願いいたしますわ、お兄ちゃん」
「兄さんと絆が居るなら大丈夫だな」
「みんなお疲れ様、またね」
「お姉ちゃんバイバーイ!」
フレビィレンスは元気に両手を振り、スファーリアは答えるように手を振った後にトライアングルを叩いて、その甲高い音と共にスッと消えていった。
「またな」
「お兄ちゃんもバイバーイ!」
再び手を振るフレビィレンスに縁も軽く手を上げて答えた後に白い光に包まれて消える。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
Solomon's Gate
坂森大我
SF
人類が宇宙に拠点を設けてから既に千年が経過していた。地球の衛星軌道上から始まった宇宙開発も火星圏、木星圏を経て今や土星圏にまで及んでいる。
ミハル・エアハルトは木星圏に住む十八歳の専門学校生。彼女の学び舎はセントグラード航宙士学校といい、その名の通りパイロットとなるための学校である。
実技は常に学年トップの成績であったものの、ミハルは最終学年になっても就職活動すらしていなかった。なぜなら彼女は航宙機への興味を失っていたからだ。しかし、強要された航宙機レースへの参加を境にミハルの人生が一変していく。レースにより思い出した。幼き日に覚えた感情。誰よりも航宙機が好きだったことを。
ミハルがパイロットとして歩む決意をした一方で、太陽系は思わぬ事態に発展していた。
主要な宙域となるはずだった土星が突如として消失してしまったのだ。加えて消失痕にはワームホールが出現し、異なる銀河との接続を果たしてしまう。
ワームホールの出現まではまだ看過できた人類。しかし、調査を進めるにつれ望みもしない事実が明らかとなっていく。人類は選択を迫られることになった。
人類にとって最悪のシナリオが現実味を帯びていく。星系の情勢とは少しの接点もなかったミハルだが、巨大な暗雲はいとも容易く彼女を飲み込んでいった。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
Recreation World ~とある男が〇〇になるまでの軌跡〜
虚妄公
SF
新月流当主の息子である龍谷真一は新月流の当主になるため日々の修練に励んでいた。
新月流の当主になれるのは当代最強の者のみ。
新月流は超実戦派の武術集団である。
その中で、齢16歳の真一は同年代の門下生の中では他の追随を許さぬほどの強さを誇っていたが現在在籍している師範8人のうち1人を除いて誰にも勝つことができず新月流内の順位は8位であった。
新月流では18歳で成人の儀があり、そこで初めて実戦経験を経て一人前になるのである。
そこで真一は師範に勝てないのは実戦経験が乏しいからだと考え、命を削るような戦いを求めていた。
そんなときに同じ門下生の凛にVRMMORPG『Recreation World』通称リクルドを勧められその世界に入っていくのである。
だがそのゲームはただのゲームではなく3人の天才によるある思惑が絡んでいた。
そして真一は気付かぬままに戻ることができぬ歯車に巻き込まれていくのである・・・
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも先行投稿しております。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
青い星の管理人
孤太郎
SF
大宇宙にぽつんと浮かぶ青い星。
そこには80億人もの人間たちが住んでいる。
湾曲した星の表面には幾つもの国家が存在し、多種多様な文化圏があり、幾つもの言語があり、
肌や目の色が違う人種が各々の生活を営んでいた。
だが、そこは星などではなかった......。
球体上の世界ではなく、広大な平面世界の一画にある収容所と呼ばれる施設の中だった。
施設の外周は分厚い氷の壁で取り囲まれ、内側に住む人々は外の世界の存在を誰も知らない。
地図上にある陸地や海が世界の全てだと思い込まされていた。
壁の内側に住む人間たちは囚人と呼ばれていた。
収容所の外側にも世界があった。
そこにも多くの人間が住んでいた。
そこで生まれ育った好奇心旺盛なひとりの若い女性が旅に出る。
彼女は一般人には窺い知ることができない収容所の中を見てみたいという一心から収容所の管理人となる。
年に一度の内部監査で収容所の中に入ることができるからだ。
収容所内を分割統治しているのは外の世界から派遣された(看守)と呼ばれる工作員だった。
所内にいる六人の看守たちを訪ねる一風変わった出張旅行が始まる。
彼女は目を輝かせて入ってゆく、収容所の中へと......。
そこで目にするあらゆるものが彼女の心の奥深くまで浸潤し、次第に魂が変容していく。
初めて対面する見知らぬ自分......、
触発され浮き彫りになる自身の本質......、
所内で繰り返されるおぞましい洗脳......、
迷走する彼女の目に映る異世界は楽園なのか、それとも奈落なのか......。
囚人と呼ばれる人間たちは何者なのか......。
連載長篇小説 青い星の管理人
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる