VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第一章 レアスナタの世界へ!

第二話 前説 ちょっとした日常のお知らせ

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 長谷川はバイトをしていた、彼は個人経営のゲームショップで働いている。
 今日は長谷川と一人の青年が店番、ただ閑古鳥の店内だが。

「今日も暇だ、てか通信販売が主なのに店番必要なのかね」
「まあまあ長谷川さんそう言わず、忙しい時は常識超えるじゃないですか」
「ああ……商品棚の『ここからここを限定版、初回版、通常版をそれぞれもらおうか』ってたまにやるお客さんが居るからな」
「新品ならいいですよ、在庫を裏からもってくるだけっすから、中古でそれらやれたらたまったもんじゃない」

 青年めんどくさいそうに溜め息をする、胸元にはお手製の名札があり木村勇二 きむらゆうじ と書いてある。

「気が滅入る話は置いといて長谷川さん、今日は『君のハートにジョーカー』の発売日です」
「ああ、勇二君のお気に入りの恋愛シュミレーションゲームのシリーズだったか?」
「はい、今回のコンセンプトは『昔懐かしいドキドキ』らしいですよ?」
「ほう?」
「手を繋ぐのがエロと感じたとあの頃」
「いや小学生かよ!」

 長谷川は木村に右手で軽くペシッとツッコミをいれた。

「なんか高校生にもなると周りの連中が体関係がどうのこうのの話題が多すぎて、俺の感性が間違っているのかなと、ある程度はわかりますが酷いのが学年にいまして」
「安心しろ、俺の基準だと勇二君は普通だと思うよ」
「長谷川さんは高校生時代はどうだったんですか?」
「レアスナタ一筋だった俺に青春のかけらも無い、内申点も勉強もすべてはレアスナタをするためだったからな」
「なんと言ったらいいのか」
「気にする事は無い、俺も自分自身可笑しかったと今は思う」
「2人とも店番ご苦労様」
 
 レジの奥のバックヤードからどこにでも居そうな中年の男性がやってきた。
 名札には店長の文字と神無月京五郎 かんなづきけいごろうという名前が書いてあった。

「店長、店に来るなんて珍しいですね」
「攻略本作りに区切りがついたからな」
「お義父さん、お疲れ様です」
「はっはっは、何時も思うが勇二、将来結婚を許したがその呼び方は早くないかな?」
「小さい頃から友美に『お義父と呼んで』って言われてたの知ってますよね?」
「そうだったな、所で今日はお客様のご来店はあったかな?」
「今日も閑古鳥ですよ」
「いやいやすまないね、忙しい時と暇な時の落差が激しい職場でね」

 店長はニコニコと笑っている。

「じゃあ今日はもうお店閉めちゃいましょう」

 奥から冷たそうな目をした年相応で小奇麗な中年女性がカギを持って奥から来た。

「あなた、お客さんも来ないようだしお二人を遊びに連れて行ったら?」
「そうだな、レアスナタやりに行くか! 終わったら飯でも食いに行こう、金なら心配するな俺のポケットマネーで出すから」
「経費で落としましょう」
「あけみいいのか?」
「頻繁な訳じゃないし」
「副店長ありがとうございます」
「ありがとうございますお義母」

 長谷川と勇二はあけみに対してお辞儀をした。

「よし、そうと決まれば店じまいしようぜ!」

 ぱぱっと店じまいをして3人はゲートへと向かうその道中。

「お義父さん、友美は?」
「今日は一人でレアスナタをしに行ったよ、合流するか?」
「そうですね、もし参加出来そうなロールだったら参加しましょう」
「よしアプリで連絡するな、ついでに混雑状況調べてみるか」

 神無月は急に立ち止まりスマホを取り出し操作を始めた。
 長谷川と木村はいきなり止まった店長を見る。

「歩きスマホはダメだからな」

 店長の言葉にああと納得した顔をして通行の邪魔にならない様に端による。

「勇二君とのレアスナタは久しぶりだね、確かキャラ名は『リステイナ』だったっけ?」
「はいそうです、簡単な説明しましょうか?」
「頼むよ、一緒に遊んだのは結構前だし」
「リステイナは産まれた時から影で性格と言動は何時もふざけた感じです」
「ああ、存在感が強かったのは思い出した、けどどんなロールしたっけ?」
「確か……当たり障りの無い依頼を受けるとかだったような?」
「そうだったか」
「娘に連絡したんだが途中参加いいとさ、招待送っとくとよ、ついでにゲートはちょいと待ち時間があるようだ」
「友美さんはどんなシナリオに参加してるんですか?」
「ラキアグっていう更生した元犯罪者達の町に過剰な自警団が来たってシナリオだ」
「なるほど」
「待ち時間でアプリでシナリオの確認しようぜ」
「そうですね」

 3人はゲートに到着して受付を済ませた時に数分の待ち時間を言いわれ、自販機でジュースを買いロビーの休憩スペースで待つ事に。

「店長、まずはシナリオの加入する流れを考え、次に俺達のキャラクターがどう集まったかを決めましょう」
「傭兵として参加する、これだな!」
「いやいや店長、店長のキャラクター『東洋』ならそれでいいですけど俺一般人兎ですよ?」
「神様キャラクターが何を言ってるんだ? まあ娘のキャラクターに応援要請されたって事でいいだろ、俺達の開始地点は町の前だ」
「これは店長手厳しい」

 長谷川がスマホを取り出しアプリでシナリオの確認をしようとすると……

『おまたせいたしました、3名でお待ちの神無月様準備ができましたのでカウンターまでお越し下さい』

 溜め息をしながらスマホを鞄にしまった。

「ほぼぶっつけ本番じゃねーか」
「長谷川、お前何年レアスナタやってんだよ」
「かれこれ10年くらい」
「じゃーベテランだろ、行くぞ」
「了解」

 受付を済ませた3人は割り当て一番リーズナブルな部屋へとそれぞれ移動する。
 基本設計のプレイルームとネットカフェの個室のほどしかない休憩スペースがある部屋だ。

 荷物を置いてプレイルームへ行き、シートベルトとゴーグルを着用した。

「途中参加っと」

 ログインボタンを押す前にメニューを開いて届いている招待に参加を押す。

「じゃあ行くぜ! レアスナタの世界へ!」

 長谷川は両手を広げて無駄な決めポーズをし後、スタートボタンを押した。
 



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