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第一章 レアスナタの世界へ!

第一話 前説 VRゲームと開始のお知らせ

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 スタートボタンを押した瞬間から長谷川の持ちキャラクターである縁になる。
 とは言えVRゲーム、ゴーグルを通して自分や周りが変わっているだけだ。
 そして歩く、走る、戦うなどはプレイヤーの動きにあわせて動くき、細かく動けないがゲームパッドでも遊べる。
 現実で壁に向かって真っ直ぐ歩いていても、プレイヤーが気付かないうちに方向転換などをしてくれるのだ。

 
 今縁が見ている景色はファンタジー世界の活気がある市場の入り口にいた。
 買い物をする人やベンチで休む人、噴水近くで遊ぶ子供達が居る。
 聞こえてくる言葉は正式稼働の話題で持ち切りだ。

「ロビー実装したら雑談する人はそこに集まるんだろうか? いや今はロール中じゃない人を非表示にする機能もあるし集まったり話し合いしやすくなるだけか」

 縁は少しだるそうな顔に細く黒い眉毛、普通の人間の耳。
 白くサラサラした短い髪に白いうさみみカチューシャに白い上下のジャージに黒い肩かけ鞄を持っているキャラクターだ。
 
「今日はカジノでも行くか」
「よう! 縁!」

 歩き出そうとした縁の背後から声をかける人物が現れた。
 縁が振り返るとそこには……
 上半身は素肌をさらし、下半身の鉄の鎧はサイズが合わないのか腰のみに見え。
 ちょいわる親父の流行に乗ったけどブームが過ぎたような髪は短髪でブラウン色。
 顔と雰囲気は陽気なおじさん、そして鍛え上げた筋肉のおかげか露出が高くても嫌悪感は少ない。
 
「こんにちはゲームマスターさん」
「馬鹿野郎! 今の俺は斬銀だ! ちゃんと今ポケットマネーでプレイしているぞ!」
「一応言った方がいいかなと思って……失礼しました」
 
 縁は深々とお辞儀をして、それを見た斬銀は慌てふためいた。

「待て待て! 強く言い過ぎた! そんなしっかりと頭下げなくていいよ! 正式稼働初日のフレンドとの絡みが謝罪から始まるとはおもわなんだ!」
「自分の配慮の無さに胸が……」
「……お前、楽しんでるな?」
「いえいえ、身も心も慈しむ心でございます」
「謝罪で慈しむってなんだよ!」

 縁が頭を上げるとほぼ同時に斬銀はツッコミとして軽く縁の肩を叩く。

「今日は何か予定あんのか?」
「最近放置してた俺のカジノにでも行ってみようと思います」
「俺も付いてっていいか?」
「もちろんです」

 2人は歩き出した。

「てか歩いていくのか? 拠点移動すりゃーいいのに」
「この公式稼働したお祭り騒ぎって今だけかと思いましてね、この空気を楽しみたいんです」
「なるほどな、この賑わい方は今だけかもな」
「最近はログインと同時にロールの準備と開始するからこのカオスっぷり忘れてました」
「まあ、劇の舞台裏ってこんなもんだろ」

 縁達は辺りを軽く見回した。
 石作りの家からSFに出てくるような未来チックな家。
 病院の隣に葬式会場、学校の隣に科学工場など、ゲームだから許される配置になっていた。 

 レアスナタは運営やプレイヤーが用意したシナリオをプレイするゲームだ。
 例を上げるなら『平和な町で冒険の準備がしたい』をロールプレイしたいとする。
 発案者が舞台作りをサポートしてくれる運営やプレイヤーを募集。
 一つのマップにシナリオにそった町を作り、シナリオ参加者には発案者が提示した流れにそう。
 町を作った人達のほとんどはその町一般人をロールしたりする。

「ん? 縁、お前の店の前に誰か居るぞ?」
「え? 誰だろう?」

 斬銀はハデなライトアップと兎の看板に豪華な装飾のカジノの扉付近を指さした。
 薄い緑色の長い後ろ髪を白い布のような物で纏めていて一本に。
 前髪と横髪は短く、服装は深緑色の厚手の布の服を着ていた。

「ん~今日も開いてない」

 女性はドアノブを右手で引いたり押したりしているが開く気配が無い。

「あの、すみません」
「おや? おお、君が縁君か!」
「ええそうですけど……俺のカジノに何か用ですか?」
「ロールに使うからカジノ貸してほしいとかじゃねーのか?」
「ああ、なるほど」
「いやいや違うよムキムキさん、バイト先……じゃなかった、設定資料見てちと縁ってキャラクターに興味がわいてね~」
「俺の考えたキャラクターに興味を持ってくれてありがとうございます」
「なんかごめんね! 押し掛けて」

 縁は深々とお辞儀をしてそれを見た女性は平謝りするように何度も頭を下げている。

「ならよ、これも何かの縁って事で一緒に遊ばないか?」
「おっ! 混ざっていいのかい?」
「もちろんですよ」
「何かのシナリオとかロールに参加とかするの?」
「どうするよ縁、何も決めてなかったよな?」
「ん~」

 縁は目を瞑り唸り声を上げながら考え始めた。

「……すみません、貴女の名前は?」
「ああごめんごめん、このキャラクターは風月、風に月って書いてね~」
「俺は斬銀、斬るって漢字に鉱石の銀だな」
「よろしくね、斬銀君」
「君!?ま、まあいいけどよ」

 斬銀は何故か恥ずかしそうにしていた。

「縁君は何かおもいついたのかな?」
「俺と斬銀さんが風月さんに初めて会うロールでいいかと」
「ふんふん、流れはどうするん?」
「俺が久しぶりカジノ経営して、斬銀さんが客としている状態で風月さんがやってくるのはどうでしょうか」
「なるほど、あたしがたのもー! と思いっきりドア開けるわ」
「おいおい、道場やぶりじゃねーんだから」
「勢いは大事よ? 斬銀君」
「ってもそこからどうするよ」
「それこそ後は流れでいいんじゃない? 多少ぐだってもなんとかなるっしょ」
「ほう……つまりは俺のアドリブ力が試される訳だな?」
 
 斬銀の足元からライトとクラッカーが現れる。
 にこやかな笑顔をしながら右の腰を軽く突き出し右腕に力を入れて筋肉自慢をする。
 左手は右手の手首つかむ、ボディビルのポーズの一つ『サイドチェスト』をした。
 するとライトアップと共にクラッカーが爆発!

「え? 見た事ないエフェクトの詰め合わせなんだけど、この人はエフェクトコンテスト優勝とか運営の人?」
「運営の人です」
「運営さんのオフ用のキャラクターか、なら実装前や試験的なエフェクト使っても納得だねぇ」
「待て待て、俺は放置か」
「俺は慣れてます」
「あたしもそういうの慣れてるんで」
「よし、俺が盛大に滑った所でロール始めようぜ」
「あ、私縁さんのカジノの中見てみたい」
「いいですよ、まずはパーティ組みましょうか」
「ほいほいおっけ~」

 縁はメニューを開き風月と斬銀をパーティに誘う操作をする。

「ほい承認と」
「俺も参加できたぜ」
「カジノにご招待しますね」

 鞄から兎のキーホルダーが付いた鍵を取り出して、それをカジノの鍵穴に入れて鍵を開いた。
 それと同時に周りの景色が徐々に変わっていく。
 夜になりカジノの雰囲気に合わせた花火が打ち上げられ周囲の建物も華やかにライトアップされた建物に変更された。
  
「ほーいい『ガワ』してるねぇ」
「風月、間違えてガワの扉あけんなよ?」
「斬銀君、縁君のカジノ目の前にあるじゃん」
「ははっそりゃそうだな」
「ようこそ、俺のカジノ『うさぎもち』へ」

 縁はカジノの扉を開けた。
 カジノは広々としていて豪華な装飾に定番のスロット、ルーレット、ダーツ、ビリヤード等々のたくさんある。
 
「うお広い! こんだけ広けりゃロールに使ったりしてるんでしょ?」
「いえ……俺が他の人のシナリオに遊びに行く事が多いんで」
「いいカジノなのにもったいない」
「まああるあるの一つだよな、作ってもあまり使わないってのは」
「んじゃ! 早速この場所を使ってロールしようよ!」
「あ、もしかしたらフレンドとかが途中参加してくるかもしれません」
「おっけおっけ、流れに身を任せるよー」
「最初の流れを確認だが俺が客として居る、少しして風月が来るって流れでいいんだよな?」
「はい、そうです、開始合図のベルを一分後に設定しますので準備お願いします」

 縁はメニューを操作しながらカジノの中央に置いてあるポーカー等のカードゲームをする台へ移動。
 風月は外へ行き扉を閉めて待機をして、斬銀はスロット台へと移動する。
 後は開始を告げるベルが鳴るのを待つだけだ。
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