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二十四章
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僕らが目指している3Dプリンター室は、千家さんと去年一緒に訪れた部屋の隣の部屋だったため、あの素晴らしい色標本は諦めるしかない。若干しょんぼりしつつ、僕はプリンター室の扉をくぐった。
先頭を歩いていた伊達さんが、大型の自動工作機に近づいてゆく。新素材刀の柄には、刀身に電流を流す装置と通信機器が内蔵されている。それら電子機器を組み立て、柄に内蔵し、そして柄と刀身を接合することを、この工作機は一台でこなしてくれるのだ。教育AIが金にものを言わせて購入したこの自動工作機は、かなりの高性能なのだろう。新素材刀ごときなら二振り同時制作が可能らしく、試作刀Aと試作刀Bの進捗を示す2D画面にはどちらも、
『完成まで残り五分十七秒』
そう表示されていた。それを確認した伊達さんが、黛さんに何かを語りかける。黛さんは頷き、僕に体を向けた。
「眠留、二振りの刀の説明を、五分で頼む」
「イエッサー」
声量を押さえて敬礼した僕に伊達さんは微笑み、2Dキーボードに十指を走らせた。二振りの新素材刀の3D映像が空中に浮かび上がる。と同時に上がった感嘆が鳴り止むのを待ち、僕は説明を始めた。
「これらの新素材刀は、剣道部の六年生と五年生の先輩方が考案した、モンスター専用刀です。新素材刀は日本刀より、薄く作られています。日本刀は、柄に最も近い刀身の厚みを元重、先端から約3センチの刀身の厚みを先重と呼びます。平均的な刀の元重は7ミリ、先重は5ミリですが、このモンスター専用刀は、それぞれ3ミリと2ミリ。半分未満の厚みしかありません」
伊達さんが十指を閃かせ、日本刀の3D映像も空中に映してくれた。それを指さし、幅の説明を続いてする。
「刀身の幅の名称にも元と先が使われ、柄間近を元幅、先端付近を先幅と呼びます。日本刀はそれぞれ3センチと2センチなのに対し、このモンスター刀は、2センチと1センチといったところですね」
モンスター刀の試作品の二振りには、刀身の長さの違いしかない。長い方は刃渡り60センチ、短い方は刃渡り45センチだ。刃渡り60センチは太刀に分類され、本来なら1キロをゆうに超える重さになるが、このモンスター刀の重さはたった100グラム。そんな、はっきり言って「チャチイ刀」でモンスターと戦えるのかとの疑問を抱いている人が複数いたので、完成までの残り時間を確認してから解説した。
「人を凌駕するモンスターが繰り出す攻撃に、避ける以外の選択肢はないと先輩方と僕は考えました。よって切断力を損なわず可能な限り軽量化してゆき、辿り着いたのがこの形状です。ただしこのモンスター刀では、サタン族と戦えません。これはあくまで、ベヒモス以下のモンスター戦を想定した、刀なのです」
「その理由は?」
北斗が挙手し最短の質問をした。僕も最短の返答をする。
「複合カーボン素材より強靭なサタンの外骨格を切断するには、現代の技術をもってしても、日本刀と同じ厚みと幅が必要です。その刀を手にサタンと戦うための訓練強度は、選択授業にそぐわないと僕らは判断しました」
「どれくらいの訓練強度が必要なのかしら。部活の六年間でも、足りないとか?」
剣道部四年女子の高柳さんが挙手して問うた。想定の範囲内でも時間的猶予はほとんど無い。僕は淀みなく答えた。
「銃でサタンと戦うより困難と、僕は考えます」
その途端、沈黙がプリンター室を支配した。六年間を部活につぎ込んでもサタンを銃で倒せるのはほんの一握りのトップ選手だけなのに、それより困難な刀での戦闘に、果たして意味はあるのか? ここにいる約七十名の人達の過半数が、そう疑問に思ったのである。
が、それに含まれない人も複数いた。それは新忍道部の十七名であり、その仲間達と視線を交差させた僕はある事を確信した。それは、
―― 皆の心の目に映っているのはサタンではなく、二本角
という事だった。
僕には分からない。
三年四か月後の僕が出雲を手に二本角と戦えるか、僕には分からない。
ただそれでも、それでも僕は・・・・
ピピ― ピピ― ピピ―
自動工作機が電子音を響かせた。二振りの刀の完成を知らせてくれたのである。目をやると案の定、進捗を示す2D画面に「完成」の文字が二つ表示されていた。伊達さんが皆に頷き、工作機のパネルを操作する。
プシューッ
完成品を保管しているアクリルカバーが、いかにもな効果音と共に持ち上がった。現れた黒光りする二本の刀に、感嘆の声が方々から沸き起こる。伊達さんが一礼し、長い方の新素材刀を手に取る。そして中段に構え、上段に振りかぶり、一歩前進しつつそれを振り下ろした。音が鳴る溝を掘ってなくとも、ヒュンッという小気味いい風切り音が耳朶をくすぐる。それだけで、重心のバランスの良さを知ることができた。
その後、伊達さんに呼ばれ、短い方の新素材刀を僕は振った。高品質の手ごたえが、掌にひしひしと伝わってくる。「こりゃいい」 そう呟いた僕は横方向の靭性を試すべく、皆に断りを入れ離れた場所へ行き、燕返しをしてみた。右上から左下へ振り下ろした新素材刀を真上に斬り上げ、すかさず左上から右下へ振り下ろしてみたのだ。燕返しの応用版ではあったが、掌の感覚から察するに、横方向の靭性を過信するのは危険。幅2ミリ長さ30センチの3D映像を両断できない人が今の動作をしたら、横からの空気抵抗で刀が折れてしまうかもしれないな。なんてことを考えていた僕の鼓膜を、
「「「「猫将軍眠留―――ッッ!!」」」」
との大音声が震わせた。ハッとして持ち上げた僕の顔に、五十本超えの視線の矢がザクザク刺さってゆく。ゴム製とはいえ刀形状の長物を持っていたから僕に駆け寄ることは控えても、その分を眼力に込めたと言わんばかりの剣道部員五十余名の視線が、一斉に殺到したのである。物理的痛みを伴うほどの視線の集中砲火に半ば腰砕けになった僕を、きっと憐れんだのだろう。藤堂さんが声を張り上げ、
「眠留は集中力の鬼なんです、先輩方すみません!」
幾度もそう言い、周囲の先輩方へ頭を下げてくれた。藤堂さんに申し訳なさ過ぎ、僕は前転する勢いで上体を前方に投げ出した。すると、
「ゴホンゴホン。あ~猫将軍、ちょっといいか」
伊達さんがわざとらしい咳を連発して問いかけてきた。ハイなんなりと、直立不動でそう応えた僕に、伊達さんはもう一度咳をする。
「ゴホン。あ~猫将軍は刀の横方向の靭性を確認したいと言ったが、今したのはひょっとして、燕返しなのか?」
先頭を歩いていた伊達さんが、大型の自動工作機に近づいてゆく。新素材刀の柄には、刀身に電流を流す装置と通信機器が内蔵されている。それら電子機器を組み立て、柄に内蔵し、そして柄と刀身を接合することを、この工作機は一台でこなしてくれるのだ。教育AIが金にものを言わせて購入したこの自動工作機は、かなりの高性能なのだろう。新素材刀ごときなら二振り同時制作が可能らしく、試作刀Aと試作刀Bの進捗を示す2D画面にはどちらも、
『完成まで残り五分十七秒』
そう表示されていた。それを確認した伊達さんが、黛さんに何かを語りかける。黛さんは頷き、僕に体を向けた。
「眠留、二振りの刀の説明を、五分で頼む」
「イエッサー」
声量を押さえて敬礼した僕に伊達さんは微笑み、2Dキーボードに十指を走らせた。二振りの新素材刀の3D映像が空中に浮かび上がる。と同時に上がった感嘆が鳴り止むのを待ち、僕は説明を始めた。
「これらの新素材刀は、剣道部の六年生と五年生の先輩方が考案した、モンスター専用刀です。新素材刀は日本刀より、薄く作られています。日本刀は、柄に最も近い刀身の厚みを元重、先端から約3センチの刀身の厚みを先重と呼びます。平均的な刀の元重は7ミリ、先重は5ミリですが、このモンスター専用刀は、それぞれ3ミリと2ミリ。半分未満の厚みしかありません」
伊達さんが十指を閃かせ、日本刀の3D映像も空中に映してくれた。それを指さし、幅の説明を続いてする。
「刀身の幅の名称にも元と先が使われ、柄間近を元幅、先端付近を先幅と呼びます。日本刀はそれぞれ3センチと2センチなのに対し、このモンスター刀は、2センチと1センチといったところですね」
モンスター刀の試作品の二振りには、刀身の長さの違いしかない。長い方は刃渡り60センチ、短い方は刃渡り45センチだ。刃渡り60センチは太刀に分類され、本来なら1キロをゆうに超える重さになるが、このモンスター刀の重さはたった100グラム。そんな、はっきり言って「チャチイ刀」でモンスターと戦えるのかとの疑問を抱いている人が複数いたので、完成までの残り時間を確認してから解説した。
「人を凌駕するモンスターが繰り出す攻撃に、避ける以外の選択肢はないと先輩方と僕は考えました。よって切断力を損なわず可能な限り軽量化してゆき、辿り着いたのがこの形状です。ただしこのモンスター刀では、サタン族と戦えません。これはあくまで、ベヒモス以下のモンスター戦を想定した、刀なのです」
「その理由は?」
北斗が挙手し最短の質問をした。僕も最短の返答をする。
「複合カーボン素材より強靭なサタンの外骨格を切断するには、現代の技術をもってしても、日本刀と同じ厚みと幅が必要です。その刀を手にサタンと戦うための訓練強度は、選択授業にそぐわないと僕らは判断しました」
「どれくらいの訓練強度が必要なのかしら。部活の六年間でも、足りないとか?」
剣道部四年女子の高柳さんが挙手して問うた。想定の範囲内でも時間的猶予はほとんど無い。僕は淀みなく答えた。
「銃でサタンと戦うより困難と、僕は考えます」
その途端、沈黙がプリンター室を支配した。六年間を部活につぎ込んでもサタンを銃で倒せるのはほんの一握りのトップ選手だけなのに、それより困難な刀での戦闘に、果たして意味はあるのか? ここにいる約七十名の人達の過半数が、そう疑問に思ったのである。
が、それに含まれない人も複数いた。それは新忍道部の十七名であり、その仲間達と視線を交差させた僕はある事を確信した。それは、
―― 皆の心の目に映っているのはサタンではなく、二本角
という事だった。
僕には分からない。
三年四か月後の僕が出雲を手に二本角と戦えるか、僕には分からない。
ただそれでも、それでも僕は・・・・
ピピ― ピピ― ピピ―
自動工作機が電子音を響かせた。二振りの刀の完成を知らせてくれたのである。目をやると案の定、進捗を示す2D画面に「完成」の文字が二つ表示されていた。伊達さんが皆に頷き、工作機のパネルを操作する。
プシューッ
完成品を保管しているアクリルカバーが、いかにもな効果音と共に持ち上がった。現れた黒光りする二本の刀に、感嘆の声が方々から沸き起こる。伊達さんが一礼し、長い方の新素材刀を手に取る。そして中段に構え、上段に振りかぶり、一歩前進しつつそれを振り下ろした。音が鳴る溝を掘ってなくとも、ヒュンッという小気味いい風切り音が耳朶をくすぐる。それだけで、重心のバランスの良さを知ることができた。
その後、伊達さんに呼ばれ、短い方の新素材刀を僕は振った。高品質の手ごたえが、掌にひしひしと伝わってくる。「こりゃいい」 そう呟いた僕は横方向の靭性を試すべく、皆に断りを入れ離れた場所へ行き、燕返しをしてみた。右上から左下へ振り下ろした新素材刀を真上に斬り上げ、すかさず左上から右下へ振り下ろしてみたのだ。燕返しの応用版ではあったが、掌の感覚から察するに、横方向の靭性を過信するのは危険。幅2ミリ長さ30センチの3D映像を両断できない人が今の動作をしたら、横からの空気抵抗で刀が折れてしまうかもしれないな。なんてことを考えていた僕の鼓膜を、
「「「「猫将軍眠留―――ッッ!!」」」」
との大音声が震わせた。ハッとして持ち上げた僕の顔に、五十本超えの視線の矢がザクザク刺さってゆく。ゴム製とはいえ刀形状の長物を持っていたから僕に駆け寄ることは控えても、その分を眼力に込めたと言わんばかりの剣道部員五十余名の視線が、一斉に殺到したのである。物理的痛みを伴うほどの視線の集中砲火に半ば腰砕けになった僕を、きっと憐れんだのだろう。藤堂さんが声を張り上げ、
「眠留は集中力の鬼なんです、先輩方すみません!」
幾度もそう言い、周囲の先輩方へ頭を下げてくれた。藤堂さんに申し訳なさ過ぎ、僕は前転する勢いで上体を前方に投げ出した。すると、
「ゴホンゴホン。あ~猫将軍、ちょっといいか」
伊達さんがわざとらしい咳を連発して問いかけてきた。ハイなんなりと、直立不動でそう応えた僕に、伊達さんはもう一度咳をする。
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