901 / 934
二十三章
10
しおりを挟む
ガバッッ
今度こそ反射的に体が動いた。僕はテーブルに飛び乗る勢いで立ち上がり、前方に身を乗り出し、正面に座る輝夜さんの手を両手で包んだ。
「去年のお盆休みに、僕は輝夜さんの部屋に招かれることから逃げた。あのとき逃げなかったら、僕が最後に気絶したのは間違いなく輝夜さんの部屋だった。ですから輝夜さん、僕にチャンスを下さい。今年のお盆休みは、輝夜さんの部屋にぜひ招待してください。お願いします!」
「はい、承りました。今年は、私の部屋でお話ししましょうね」
天真爛漫に笑った輝夜さんは僕と繋いだ手を持ち上げ、ダンスを踊るかのようにリズミカルに振った。僕が顔をふやけさせまくったのは言うまでもない。そんな僕らに皆は苦笑し、そのまま終わっていれば楽しい時間として記憶に残ったはずだが、そうはならなかった。テーブルの様子を不思議そうに見つめていた末吉が、首を傾げて尋ねたのである。
「チャンスを下さいって、眠留と輝夜さんはもう付き合っているんじゃなかったかにゃ。その次に挑戦するつもりなら、おいらは気を利かせて外にいた方がいいのかにゃ?」
僕と輝夜さんは光の速さで手を離し、挑戦などしないから末吉も部屋にいて欲しいと訴えるも、末吉の首の傾きが解消されることはなかった。言いようのない危機感を覚えた僕は咄嗟に凛ちゃんを話題にし、すると輝夜さんもすぐそれに飛び付き、「去年のように凛ちゃんも交えて四人でおしゃべりしましょう」と提案してくれた。それは効果覿面で傾きは解消され、凛ちゃんの話にしばし盛り上がるも、結局末吉は首を一層傾げて疑問をストレートに訊いた。
「猫と人は発情期が異なるって座学で教わったけど、人の発情期がお盆ならオイラや凛ちゃんは、眠留と輝夜さんの発情を邪魔しちゃいけなんじゃないかにゃ?」
ガタンッ
堪らず僕はテーブルに激突した。激突こそしなかったものの輝夜さんも僕と似たり寄ったりだったため、末吉の誤解をとくことは叶わなかった。それは窒息を危ぶむほど笑い転げる祖父母と昴と美鈴も同じで、大吉と中吉も祖父母たちに準じ、唯一小吉だけが顔を引き攣らせて末吉に教えを説いていた。
という台所の状況を、テーブルに激突しつつも僕は察知できていたのだけど、今日の帰宅中の会話を思い出すや、そんな余裕は消し飛んで行った。
―― 僕は来年の松の内に、発情するのか!?
浄光の源たる太陽に向かって全力疾走する自分を一心に思い描くことで、僕は気絶及びその他諸々を、どうにかやり過ごすことが出来たのだった。
翌四月十一日、火曜日の午前十一時半過ぎ。
場所は三年生体育館一階東の、剣道場。
僕は、人生初の剣道を体験していた。
湖校にある六つの学年体育館は一階の西半分を薙刀部の道場、東半分を柔道と剣道と合気道の道場にしていた。第一エリアでは、三年生体育館が剣道部の剣道場、二年生体育館が柔道部の柔道場、そして一年生体育館が合気道部の畳の道場といった感じだ。四年生以上の第二エリアの詳細は知らないが、似たようなものとの事だった。それを調べるのは、来年の選択授業も剣道を取ってからでいいかな、と僕は考えている。
剣道の防具は、選択授業用の学校の備品を借りた。現代の防具は丸洗いでき、かつ優秀な消臭庫に保管されていたため、嫌な臭いはまったくしない。昭和や平成の漫画等によると昔は想像を絶する悪臭を放っていたそうだけど、おそらく僕は前世でも、それを経験していないんだろうな。
あまり知られていないが、現代の面や胴や竹刀が普及したのは、明治維新以降でしかない。江戸時代以前は手に木刀を持ち、頭に鉢巻を巻いただけで稽古を行っていた。当然ながらそれでは実戦に則した打ち合いなど不可能に近く、それを危惧した千葉周作によって竹刀と防具による稽古が発案され、体系化されたと伝えられている。それはもっともだと思うし、非難するつもりは毛頭ないのだけど、
『戦国時代の合戦に放り込まれたら、生き残るのは1%くらいかな』
というのが、剣道に抱いた正直な感想だった。僕は前世で、戦国時代の合戦を経験している。合戦は基本的に集団対集団で始まるが、戦力拮抗時は、敵と味方が入り乱れる乱戦に比較的すぐなる。その「乱戦時の要素」を、剣道は一切取り入れていなかったのだ。戦国の世が遠のいた江戸時代の、一対一の仇討ちや果し合いを基に構築されたのが剣道だと、僕は感じたのである。魔想と戦う翔人は、乱戦時の要素を組み込んだ訓練をしないと、すぐ死んでしまうからね。
とはいえ、合戦を基準に剣道を語るのは著しい間違いと言える。剣道をしている人のほぼ全てが望んでいるのは剣道の試合に勝つことのはずだから、それを土台に考察せねばならないのだ。という前提のもと、四限開始と共に始まった試合稽古を僕は見学していた。
剣道等の、校舎を移動しかつ準備と片付けに時間のかかる選択授業は、三限と四限の二時間続きで行われることが多い。家庭料理教室がまさにそれだ。しかし週に四授業が必須だった家庭料理教室とは異なり剣道は三授業で単位取得になるため、一時間だけの日を設けるのも可能だった。けど二つの理由により、少なくともこの一年間は週に四授業を剣道に費やそうと僕は考えていた。
理由の一つは、颯太との約束だった。選択授業には学年が違っても同じ授業を受けられるものが多く、剣道もそれに該当した。つまり今現在、颯太もこの道場にいるという事。剣の手ほどきをすると約束した手前、これくらいはしてあげないと格好がつかなかったんだね。
ちなみに颯太は、週に十授業を剣道の選択授業に割り振るつもりらしい。国語と理科と社会に二授業ずつ、数学に四授業、プログラミングに五授業、そして剣道の選択授業に十授業という、「ホント大丈夫か?」と問わずにはいられない時間割にしたそうなのだ。いかに前世の記憶があろうと流石に油断し過ぎじゃないかと心配したが、どうも颯太は直前の前世で当時の国内最難関大学を卒業していて、その時の記憶を明瞭に思い出したため、プログラミング以外は六年分の単位をすぐにでも取得できるのだと言う。凡才代表として、本気モードのプロレス技を僕は颯太にかけてあげた。
今度こそ反射的に体が動いた。僕はテーブルに飛び乗る勢いで立ち上がり、前方に身を乗り出し、正面に座る輝夜さんの手を両手で包んだ。
「去年のお盆休みに、僕は輝夜さんの部屋に招かれることから逃げた。あのとき逃げなかったら、僕が最後に気絶したのは間違いなく輝夜さんの部屋だった。ですから輝夜さん、僕にチャンスを下さい。今年のお盆休みは、輝夜さんの部屋にぜひ招待してください。お願いします!」
「はい、承りました。今年は、私の部屋でお話ししましょうね」
天真爛漫に笑った輝夜さんは僕と繋いだ手を持ち上げ、ダンスを踊るかのようにリズミカルに振った。僕が顔をふやけさせまくったのは言うまでもない。そんな僕らに皆は苦笑し、そのまま終わっていれば楽しい時間として記憶に残ったはずだが、そうはならなかった。テーブルの様子を不思議そうに見つめていた末吉が、首を傾げて尋ねたのである。
「チャンスを下さいって、眠留と輝夜さんはもう付き合っているんじゃなかったかにゃ。その次に挑戦するつもりなら、おいらは気を利かせて外にいた方がいいのかにゃ?」
僕と輝夜さんは光の速さで手を離し、挑戦などしないから末吉も部屋にいて欲しいと訴えるも、末吉の首の傾きが解消されることはなかった。言いようのない危機感を覚えた僕は咄嗟に凛ちゃんを話題にし、すると輝夜さんもすぐそれに飛び付き、「去年のように凛ちゃんも交えて四人でおしゃべりしましょう」と提案してくれた。それは効果覿面で傾きは解消され、凛ちゃんの話にしばし盛り上がるも、結局末吉は首を一層傾げて疑問をストレートに訊いた。
「猫と人は発情期が異なるって座学で教わったけど、人の発情期がお盆ならオイラや凛ちゃんは、眠留と輝夜さんの発情を邪魔しちゃいけなんじゃないかにゃ?」
ガタンッ
堪らず僕はテーブルに激突した。激突こそしなかったものの輝夜さんも僕と似たり寄ったりだったため、末吉の誤解をとくことは叶わなかった。それは窒息を危ぶむほど笑い転げる祖父母と昴と美鈴も同じで、大吉と中吉も祖父母たちに準じ、唯一小吉だけが顔を引き攣らせて末吉に教えを説いていた。
という台所の状況を、テーブルに激突しつつも僕は察知できていたのだけど、今日の帰宅中の会話を思い出すや、そんな余裕は消し飛んで行った。
―― 僕は来年の松の内に、発情するのか!?
浄光の源たる太陽に向かって全力疾走する自分を一心に思い描くことで、僕は気絶及びその他諸々を、どうにかやり過ごすことが出来たのだった。
翌四月十一日、火曜日の午前十一時半過ぎ。
場所は三年生体育館一階東の、剣道場。
僕は、人生初の剣道を体験していた。
湖校にある六つの学年体育館は一階の西半分を薙刀部の道場、東半分を柔道と剣道と合気道の道場にしていた。第一エリアでは、三年生体育館が剣道部の剣道場、二年生体育館が柔道部の柔道場、そして一年生体育館が合気道部の畳の道場といった感じだ。四年生以上の第二エリアの詳細は知らないが、似たようなものとの事だった。それを調べるのは、来年の選択授業も剣道を取ってからでいいかな、と僕は考えている。
剣道の防具は、選択授業用の学校の備品を借りた。現代の防具は丸洗いでき、かつ優秀な消臭庫に保管されていたため、嫌な臭いはまったくしない。昭和や平成の漫画等によると昔は想像を絶する悪臭を放っていたそうだけど、おそらく僕は前世でも、それを経験していないんだろうな。
あまり知られていないが、現代の面や胴や竹刀が普及したのは、明治維新以降でしかない。江戸時代以前は手に木刀を持ち、頭に鉢巻を巻いただけで稽古を行っていた。当然ながらそれでは実戦に則した打ち合いなど不可能に近く、それを危惧した千葉周作によって竹刀と防具による稽古が発案され、体系化されたと伝えられている。それはもっともだと思うし、非難するつもりは毛頭ないのだけど、
『戦国時代の合戦に放り込まれたら、生き残るのは1%くらいかな』
というのが、剣道に抱いた正直な感想だった。僕は前世で、戦国時代の合戦を経験している。合戦は基本的に集団対集団で始まるが、戦力拮抗時は、敵と味方が入り乱れる乱戦に比較的すぐなる。その「乱戦時の要素」を、剣道は一切取り入れていなかったのだ。戦国の世が遠のいた江戸時代の、一対一の仇討ちや果し合いを基に構築されたのが剣道だと、僕は感じたのである。魔想と戦う翔人は、乱戦時の要素を組み込んだ訓練をしないと、すぐ死んでしまうからね。
とはいえ、合戦を基準に剣道を語るのは著しい間違いと言える。剣道をしている人のほぼ全てが望んでいるのは剣道の試合に勝つことのはずだから、それを土台に考察せねばならないのだ。という前提のもと、四限開始と共に始まった試合稽古を僕は見学していた。
剣道等の、校舎を移動しかつ準備と片付けに時間のかかる選択授業は、三限と四限の二時間続きで行われることが多い。家庭料理教室がまさにそれだ。しかし週に四授業が必須だった家庭料理教室とは異なり剣道は三授業で単位取得になるため、一時間だけの日を設けるのも可能だった。けど二つの理由により、少なくともこの一年間は週に四授業を剣道に費やそうと僕は考えていた。
理由の一つは、颯太との約束だった。選択授業には学年が違っても同じ授業を受けられるものが多く、剣道もそれに該当した。つまり今現在、颯太もこの道場にいるという事。剣の手ほどきをすると約束した手前、これくらいはしてあげないと格好がつかなかったんだね。
ちなみに颯太は、週に十授業を剣道の選択授業に割り振るつもりらしい。国語と理科と社会に二授業ずつ、数学に四授業、プログラミングに五授業、そして剣道の選択授業に十授業という、「ホント大丈夫か?」と問わずにはいられない時間割にしたそうなのだ。いかに前世の記憶があろうと流石に油断し過ぎじゃないかと心配したが、どうも颯太は直前の前世で当時の国内最難関大学を卒業していて、その時の記憶を明瞭に思い出したため、プログラミング以外は六年分の単位をすぐにでも取得できるのだと言う。凡才代表として、本気モードのプロレス技を僕は颯太にかけてあげた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
俺様22歳が神様にセクハラしようとして祟りにあい第二の小学校生活がスタート!
フリーで楽しむマン
キャラ文芸
スケベなお兄さんが神の祟りにあい幼女となってしまいまた小学校からやり直すお話しです。
なおこれは遠距離関係の続編に当たります。
後宮の偽物~冷遇妃は皇宮の秘密を暴く~
山咲黒
キャラ文芸
偽物妃×偽物皇帝
大切な人のため、最強の二人が後宮で華麗に暗躍する!
「娘娘(でんか)! どうかお許しください!」
今日もまた、苑祺宮(えんきぐう)で女官の懇願の声が響いた。
苑祺宮の主人の名は、貴妃・高良嫣。皇帝の寵愛を失いながらも皇宮から畏れられる彼女には、何に代えても守りたい存在と一つの秘密があった。
守りたい存在は、息子である第二皇子啓轅だ。
そして秘密とは、本物の貴妃は既に亡くなっている、ということ。
ある時彼女は、忘れ去られた宮で一人の男に遭遇する。目を見張るほど美しい顔立ちを持ったその男は、傲慢なまでの強引さで、後宮に渦巻く陰謀の中に貴妃を引き摺り込もうとする——。
「この二年間、私は啓轅を守る盾でした」
「お前という剣を、俺が、折れて砕けて鉄屑になるまで使い倒してやろう」
3月4日まで随時に3章まで更新、それ以降は毎日8時と18時に更新します。
【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。
紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。
アルファポリスのインセンティブの仕組み。
ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。
どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。
実際に新人賞に応募していくまでの過程。
春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)
ニャル様のいうとおり
時雨オオカミ
キャラ文芸
――優しさだけでは救えないものもある。
からかい癖のある怪異少女、紅子と邪神に呪われたヘタレな青年令一。両片想いながらに成長していく二人が絶望に立ち向かう、バトルありな純愛伝奇活劇!
邪神の本性を見て正気を失わず一矢報いてしまった青年、令一は隷属させられ呪われてしまった! 世間から忘れ去られ、邪神の小間使いとしてこき使われる毎日。
諦めかけていた彼はある日夢の中で一人の怪異少女と出会う。
赤いちゃんちゃんこの怪異、そして「トイレの紅子さん」と呼んでくれという少女と夢からの脱出ゲームを行い、その日から令一の世界は変わった。
*挿絵は友人の雛鳥さんからのファンアートです。許可取得済み。
※ 最初の方は後味悪くバッドエンド気味。のちのち主人公が成長するにつれてストーリーを重ねていくごとにハッピーエンドの確率が上がっていきます。ドラマ性、成長性重視。
※ ハーメルン(2016/9/12 初出現在非公開)、小説家になろう(2018/6/17 転載)、カクヨム、ノベルアップ+にてマルチ投稿。
※神話の認知度で生まれたニャル(もどき)しか出てきません。
※実際のところクトゥルフ要素よりあやかし・和風要素のほうが濃いお話となります。
元は一話一万くらいあったのを分割してます。
現行で80万字超え。
ツクヨミ様の人間見習い
大和撫子
キャラ文芸
よくあるラノベ展開?!「突然ですが私の秘書として働いてくださいませんか?」浮世離れした美形がある日契約書を持って現れて……
代々『霊感、霊視、透視、霊聴』という霊能力を掲げた占い師の一族、観音堂家のに生まれた妃翠。彼女には霊能力は授からず0感のままだった。だが、幼い頃から占いを好み特にタロットカードは数種類のタロットを組み合わせ独自の解釈をするようになる。対して長女、瑠璃は幼い頃から優れた霊能力を発揮。家族の誰もが妃翠には何も期待しなくなっていく。
平凡が一番平和で気楽だと開き直っていた妃翠に、ある日……この世の者とは思えない程の美形が、「私の秘書として働いてくれませんか? 報酬は弾みます」と契約書を携えて訪ねてくる。
どうして自分なんかに? 彼によると、
……ずば抜けた霊能力を誇る彼は、それを活かしてスピリチュアルカウンセラーという職業に就いているそう。ただ、その類稀なる容姿から、男女を問わず下心で近づく者が絶えず辟易しているという。そこで、自分に恋愛感情を抱かず、あくまで統計学。学業としての占いに精通している女性を探していたのだという。
待遇面であり得ないくらいに充実しているのを確認し、2つ返事で引き受ける妃翠。そう長くは続かないだろうけれど今の内にしっかり貯めて老後に備えようという目論見があったからだ。
実際働いてみると、意外にも心地良い。更に、彼は実は月読命でこの度、人間見習いにやってきたというのだが……?
男の秘密とは? 真の目的とは? そして彼の元を訪れる者は時に人間ではない時もあり……
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
俺様当主との成り行き婚~二児の継母になりまして
澤谷弥(さわたに わたる)
キャラ文芸
夜、妹のパシリでコンビニでアイスを買った帰り。
花梨は、妖魔討伐中の勇悟と出会う。
そしてその二時間後、彼と結婚をしていた。
勇悟は日光地区の氏人の当主で、一目おかれる存在だ。
さらに彼には、小学一年の娘と二歳の息子がおり、花梨は必然的に二人の母親になる。
昨日までは、両親や妹から虐げられていた花梨だが、一晩にして生活ががらりと変わった。
なぜ勇悟は花梨に結婚を申し込んだのか。
これは、家族から虐げられていた花梨が、火の神当主の勇悟と出会い、子どもたちに囲まれて幸せに暮らす物語。
※短編コン用の作品なので3万字程度の短編です。需要があれば長編化します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる