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二十一章
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「あれ? ひょっとしてこの時間は、俺一人のための時間だった?」
独力で真相に辿り着いたのである。するとその途端、女性陣は京馬を一斉に擁護した。
「それが京馬君の良いところだから気にしないで」「仮にこの件に関して京馬君を悪く言う女子がいたら、私その子と仲良くなれそうにない」「わかる、表面上の付き合いに留めておくべき人よね」「女子が女子特有の感性を持つように、男子も男子特有の感性を持っていて」「異性特有の感性を理解しづらいのはどちらも同じなのに」「男子ってバカよね、とかをさも嬉しげに話す人は」「はっきり言って、知能も民度も低いの」「幸い湖校にはそういう子がほぼいなくて」「その証拠に京馬君も今、私達に感謝してくれたよね」「うん、京馬君はそうしてくれた。そしてそれは、私達も同じなの」「京馬君はこれからも、男子特有の感性を、私達にどんどん見せてね」「すっごく勉強になって、感謝しているからね!」「「「せえの、よろしくね~~!!」」」
京馬はまさしく一杯一杯になり、頷く以外の意思表示を何もできなかった。けどそれは、感動屋の僕と関わって来た彼女達にとって、幾度も経験してきた事なのだろう。女性陣は軽やかに話題を替え、僕と北斗が送るメールの文面について考察を始めた。それはやはり、真山や北斗という一部例外を除き、男には難解なことだった。半数の男子は読み飛ばしても大多数の女子は絶対読み飛ばさない表現で、件の「それとなく」の箇所を、彼女達はメールにきっちり付け加えたのである。そしてそれが、思いもよらぬ副産物を生んだ。なんと僕らの学年に、男子のみが入会できる秘密結社が誕生したのだ。秘密結社設立には僕もちょっぴり関わっていて、それはニ十組の皆にメールを送った一時間後に届いた、チャットの参加依頼から始まった。
その日の午後八時、お風呂を終え自室に戻って来た僕に、チャットの参加依頼が届いていることをミーサが告げた。長丁場になるとの予感に従い準備万端整え、ハイ子ではなく机に座って2D画面を開いたところ、二十組と旧十組の男子のほぼ全員が、
―― 秘密結社の名前
についてメチャクチャ盛り上がっていた。邪魔をしては悪いと思いログの確認に移ったのだけど、こうなった経緯を説明する役が既に決まっていたらしく、僕はそいつから面白おかしい説明を受けることになった。それは要約すると、こんな内容の話だった。
『僕のメールを読んだ某男子が同じ部活の旧十組の男子に連絡をとると、「今それについて話していいの?」系の返事をされた。二人はメールの文面について議論するも確証を得られず、自分達と同じ状況になっていると推測される奴らにそれぞれ連絡すると、やはり意見が割れていた。よって新しく加わった四人も同じようにそれぞれ連絡し、けど確証を得られず、ならもっと多数の意見を集めようとしているうち、いつしか二クラスの男子のほぼ全員が参加するチャットになっていたそうだ。こういう時は北斗に訊くのが一番ということになり早速メールを出し、京馬と女性陣のやり取りを知った男子達は、一斉に「女子怖い!」と書き込んだ。それが何とも面白く、かつ仲間意識を刺激された皆は、僕のネタを披露し合って爆笑しているうち仲良くなり、たまにこうして集まってワイワイやろうという事になった。自然と「ならこの会の名前をつけないか?」「いいけど何にする?」「どうせならカッコよくしようぜ!」「イイねそれ!」なんて会話が成され、すると名前の候補は瞬く間に中二病をきたし、それに引っ張られてワイワイやる会も秘密結社に格上げされ、今は秘密結社の名前を皆で真剣に考えている』
との説明を、僕は受けたのである。したがって素直な感想の、「真剣に考えてるというかお祭りを楽しんでるように見えたけど」を書き込むと、「「「イイねそれ!!」」」が一斉に返信される始末。まあでも楽しかったから、僕もお祭り気分で名前の候補を上げて行った。
そして三十分後、名前がついに決まった。それは、
―― 獅子会
だった。一年と六年を同じクラスにするという大望から、一と六が注目されるようになり、一と六は間を置かず16、つまり十六と認識されるようになった。そこから「十六番元素の酸素」「十六代天皇の仁徳天皇」「月齢十六の十六夜」的な名称が連想されるようになり、「プログラミングの二十進法だと16はGだからG結社」が一時有力になった。「秘密結社G、いいじゃん!」「GはグレイトのGでもあるしな」「秘密結社のGなら、グノーシスじゃね?」「グノーシスは却下」「なんでだよ」「だって俺、バカ達とバカ騒ぎしたいし」「「「イイねそれ!」」」てな具合に秘密結社Gにほぼ決まりかけたが、Gはゴキ○リの略称でもあることが発覚するなり候補から消えた。ただプログラミング系はなんとなくカッコ良くて捨てられず、それに類する数学的名称が候補を独占するも、超絶頭脳を有するはずの北斗が流れをぶった切り、「掛け算九九の四四十六」をポソッと書き込んだ。すかさず突っ込まれた「それ算数じゃん」がウケて、四四十六は俄然注目され、そこからは早かった。四四はししだから獅子、が発想されたのである。中二病を引きずっているというのが正直なところだが、実際僕らは中学二年に相当するのだから仕方ない。真山の「獅子の心を持った漢達が集う、結社なんだね」が決定打となり、旧十組と二十組の男子生徒が中核となって発足した秘密結社は、獅子会と命名されたのだった。
続いて議論は、獅子会の基本方針へと移って行った。といっても基本方針は、
一、ピラミッド型の組織には絶対しない
二、女子にバレない
の二つしかなかった。にもかかわらず、二つしかない以外のネタで盛り上がったのも、きっと男子特有なのだろう。チャットを賑わせたのは「なぜ二には絶対が付いていないのか」や「バラさないじゃなくて、バレないってのが恐いよな」や「バレないなんて可能なのか?」系で、僕らは先を争いお笑いネタを書き込んで行った。まあいつもの事だけど、楽しかったから全然いいのである。
そうこうするうち九時になり、僕は退場となった。布団に潜り込み寝入る寸前、「獅子会は予想に反し、湖校一の巨大組織になる気がするなあ」なんて閃いたのを、自分でも驚くほどはっきり覚えている。
独力で真相に辿り着いたのである。するとその途端、女性陣は京馬を一斉に擁護した。
「それが京馬君の良いところだから気にしないで」「仮にこの件に関して京馬君を悪く言う女子がいたら、私その子と仲良くなれそうにない」「わかる、表面上の付き合いに留めておくべき人よね」「女子が女子特有の感性を持つように、男子も男子特有の感性を持っていて」「異性特有の感性を理解しづらいのはどちらも同じなのに」「男子ってバカよね、とかをさも嬉しげに話す人は」「はっきり言って、知能も民度も低いの」「幸い湖校にはそういう子がほぼいなくて」「その証拠に京馬君も今、私達に感謝してくれたよね」「うん、京馬君はそうしてくれた。そしてそれは、私達も同じなの」「京馬君はこれからも、男子特有の感性を、私達にどんどん見せてね」「すっごく勉強になって、感謝しているからね!」「「「せえの、よろしくね~~!!」」」
京馬はまさしく一杯一杯になり、頷く以外の意思表示を何もできなかった。けどそれは、感動屋の僕と関わって来た彼女達にとって、幾度も経験してきた事なのだろう。女性陣は軽やかに話題を替え、僕と北斗が送るメールの文面について考察を始めた。それはやはり、真山や北斗という一部例外を除き、男には難解なことだった。半数の男子は読み飛ばしても大多数の女子は絶対読み飛ばさない表現で、件の「それとなく」の箇所を、彼女達はメールにきっちり付け加えたのである。そしてそれが、思いもよらぬ副産物を生んだ。なんと僕らの学年に、男子のみが入会できる秘密結社が誕生したのだ。秘密結社設立には僕もちょっぴり関わっていて、それはニ十組の皆にメールを送った一時間後に届いた、チャットの参加依頼から始まった。
その日の午後八時、お風呂を終え自室に戻って来た僕に、チャットの参加依頼が届いていることをミーサが告げた。長丁場になるとの予感に従い準備万端整え、ハイ子ではなく机に座って2D画面を開いたところ、二十組と旧十組の男子のほぼ全員が、
―― 秘密結社の名前
についてメチャクチャ盛り上がっていた。邪魔をしては悪いと思いログの確認に移ったのだけど、こうなった経緯を説明する役が既に決まっていたらしく、僕はそいつから面白おかしい説明を受けることになった。それは要約すると、こんな内容の話だった。
『僕のメールを読んだ某男子が同じ部活の旧十組の男子に連絡をとると、「今それについて話していいの?」系の返事をされた。二人はメールの文面について議論するも確証を得られず、自分達と同じ状況になっていると推測される奴らにそれぞれ連絡すると、やはり意見が割れていた。よって新しく加わった四人も同じようにそれぞれ連絡し、けど確証を得られず、ならもっと多数の意見を集めようとしているうち、いつしか二クラスの男子のほぼ全員が参加するチャットになっていたそうだ。こういう時は北斗に訊くのが一番ということになり早速メールを出し、京馬と女性陣のやり取りを知った男子達は、一斉に「女子怖い!」と書き込んだ。それが何とも面白く、かつ仲間意識を刺激された皆は、僕のネタを披露し合って爆笑しているうち仲良くなり、たまにこうして集まってワイワイやろうという事になった。自然と「ならこの会の名前をつけないか?」「いいけど何にする?」「どうせならカッコよくしようぜ!」「イイねそれ!」なんて会話が成され、すると名前の候補は瞬く間に中二病をきたし、それに引っ張られてワイワイやる会も秘密結社に格上げされ、今は秘密結社の名前を皆で真剣に考えている』
との説明を、僕は受けたのである。したがって素直な感想の、「真剣に考えてるというかお祭りを楽しんでるように見えたけど」を書き込むと、「「「イイねそれ!!」」」が一斉に返信される始末。まあでも楽しかったから、僕もお祭り気分で名前の候補を上げて行った。
そして三十分後、名前がついに決まった。それは、
―― 獅子会
だった。一年と六年を同じクラスにするという大望から、一と六が注目されるようになり、一と六は間を置かず16、つまり十六と認識されるようになった。そこから「十六番元素の酸素」「十六代天皇の仁徳天皇」「月齢十六の十六夜」的な名称が連想されるようになり、「プログラミングの二十進法だと16はGだからG結社」が一時有力になった。「秘密結社G、いいじゃん!」「GはグレイトのGでもあるしな」「秘密結社のGなら、グノーシスじゃね?」「グノーシスは却下」「なんでだよ」「だって俺、バカ達とバカ騒ぎしたいし」「「「イイねそれ!」」」てな具合に秘密結社Gにほぼ決まりかけたが、Gはゴキ○リの略称でもあることが発覚するなり候補から消えた。ただプログラミング系はなんとなくカッコ良くて捨てられず、それに類する数学的名称が候補を独占するも、超絶頭脳を有するはずの北斗が流れをぶった切り、「掛け算九九の四四十六」をポソッと書き込んだ。すかさず突っ込まれた「それ算数じゃん」がウケて、四四十六は俄然注目され、そこからは早かった。四四はししだから獅子、が発想されたのである。中二病を引きずっているというのが正直なところだが、実際僕らは中学二年に相当するのだから仕方ない。真山の「獅子の心を持った漢達が集う、結社なんだね」が決定打となり、旧十組と二十組の男子生徒が中核となって発足した秘密結社は、獅子会と命名されたのだった。
続いて議論は、獅子会の基本方針へと移って行った。といっても基本方針は、
一、ピラミッド型の組織には絶対しない
二、女子にバレない
の二つしかなかった。にもかかわらず、二つしかない以外のネタで盛り上がったのも、きっと男子特有なのだろう。チャットを賑わせたのは「なぜ二には絶対が付いていないのか」や「バラさないじゃなくて、バレないってのが恐いよな」や「バレないなんて可能なのか?」系で、僕らは先を争いお笑いネタを書き込んで行った。まあいつもの事だけど、楽しかったから全然いいのである。
そうこうするうち九時になり、僕は退場となった。布団に潜り込み寝入る寸前、「獅子会は予想に反し、湖校一の巨大組織になる気がするなあ」なんて閃いたのを、自分でも驚くほどはっきり覚えている。
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