711 / 934
十九章
3
しおりを挟む
「まめと気働きは、見返りを度外視する働き者への、称賛の言葉でもあったの。まめの方は、スケコマシの手管の一つとしても、使われる事があったけどね」
叱られてはいずとも正座を崩せる雰囲気では決してないのは、そうかこのスケコマシにあったのかと、僕は膝をポンと叩いた。そんな僕へ、美鈴が語気と眼光を鋭くする。
「あのねお兄ちゃん。まめには漢字がなくて、どうしても必要な時は『忠義』にルビを振るのが一般的だけど、死後になりつつある最大の理由は、忠義という当て字が不適切だからと私は考えているの。お兄ちゃんは自覚がないけど、お兄ちゃんが周囲の女性全員に心の赴くまま『まめ』に振る舞ったら、あっという間にハーレムが形成されてしまうんだよ。女の子にとって自分がどんなに危険な存在か、ホントわかってるのお兄ちゃん!」
反射的に土下座しそうになった。が、
「待った、待ちなさい眠留。美鈴も、今夜は控えてあげて」
翔子姉さんがまたもや取りなしてくれた。そうする動機の全ては、ここにいる二人とここにいない二人の、計四人の睡眠時間への憂いなのだと痛いほど理解している僕は、敬愛する姉に教えを受ける気構えを全力で造り上げた。微笑む翔子姉さんに、美鈴は恭しく腰を折ったのち、場所を移動して僕の隣にやって来る。愛おしくて堪らない弟と妹に笑み崩れ、姉は本命の言葉を放った。
「輝夜の心は、明日を素晴らしいデートにする、工夫で溢れています。その99%は、こんなお世話を眠留にしたら眠留は喜んでくれるかな、という想いなのです。眠留、あなたが大切な人にしてあげたい事があるように、相手もあなたにしてあげたい事があるの。明日はゆめゆめ、これを忘れてはなりませんよ」
台所の床に額をつけ、僕は姉に謝意を示した。姿勢だけ見れば土下座と大差なくとも、胸の内がこれほど異なることは、そうないのかもしれない。だから多少恥ずかしくとも、よしよしと僕の後頭部を撫でる翔子姉さんの手を、僕は甘んじて受け入れていた。
それがその後、役立った。上体を起こした僕につと身を寄せ、美鈴がこう請うたのである。
「昴お姉ちゃんが妹にならなかったから、私はお兄ちゃんの妹になれたの。お兄ちゃん、昴お姉ちゃんを、大切にしてあげてね」
この時ほど、人の心の無限性を実感したことが僕には無い。美鈴を大切に想う気持ちも、昴を大切に想う気持ちも、輝夜さんに翔子姉さん、そして数多の人達を大切に想う気持ちも、どこまでも無尽蔵に、まさしく無限に湧いて来たのである。僕は美鈴の頭を両手で撫でながら誓った。
「ああ、約束する。兄ちゃんは、大切な人達を大切にするからな」
これが昨夜、僕が受け取った助言の、全貌なのだった。
神社のAICAが、僕と輝夜さんを乗せ幹線道路をひた走ってゆく。
この道の先には高速道路の入り口があり、そこはインハイに向かうバスが利用した入り口で、薙刀部のバスも同様にそこを利用していたから、話題は自然とインハイの想い出に移って行った。といっても、
「いや~、輝夜さんがプログラムした無音糸ノコギリ、大好評だね」
全国大会の想い出の中から輝夜さんに直接関わるものを、意図的に選んだんだけどね。
湖校新忍道部はインハイ本選の第一戦で、自校の生徒が独自開発した無音糸ノコギリを使用し、最強モンスターの一角を占める黒猿に勝利した。その後の質疑応答で無音糸ノコギリが話題に上った際、真田さん達は糸ノコギリの設計図を無料公開することを約束した。もちろんそれは実行され、プログラム及び材料等の全ては無料公開されたのだが、にもかかわらずそれは、プログラム関連の特許を取得するに至った。輝夜さんの組んだ基幹プログラムが、とにかく凄まじかったそうなのだ。既存の常識を覆すシンプル極まるそれは、シンプルだからこそ汎用性が高く、様々な分野に応用可能なのだと言う。インハイ会場に来ていた他校の研究学校生の多くがそれに気づき、それぞれの教育AIにプログラムの素晴らしさを説き、多数の教育AIが経済産業省に働きかけた結果、無料公開済みであってもオリジナル製品として正式に認可されたのである。ただ、
「ちょっと眠留くん、あれは北斗君と協力して作ったんであって」
輝夜さんは北斗との共同制作だったことを強調し、自分一人の功績ではないと懸命に説いた。うんうん解ってる、解ってるよ輝夜さん。
「大丈夫、僕は理解できる。北斗は、全体の流れを決めるのと、フォローがとにかく巧い。理に適う計画を始めに示され、それに則って作業を進めているうち、この仕事は納期までに必ず完成するって、輝夜さんは確信するようになったんじゃない?」
「そうなの!」
我が意を得たりと、輝夜さんはそれから暫くまくしたてた。北斗の立てた五段計画の一段目が終わるころには、残り四段を堅実にこなしていく自分達の姿をまざまざと見るようになり、二段目が終わるころには、決められた未来を進んでいる気になり、そして三段目が完了するころには、この楽しい時間はもうすぐ終わってしまうから悔いの残らぬよう全力を尽くすぞと、心はやる気で煮えたぎっていたそうだ。そのやる気が糸ノコ制作の枠を超えてあふれ出し、生活全般に行き渡ったから、翔薙刀術の訓練も、薙刀全国大会の練習も、学校と神社ですごす楽しい時間も、一周して糸ノコ制作も、全部ひっくるめて駆け抜けられたのだと、最後は涙ぐみながら輝夜さんは話した。僕はハンカチを輝夜さんに手渡し、目尻の雫が消えるのを待ってから明かした。
「輝夜さんと北斗に糸ノコ制作を依頼した日の夜、僕と昴は、北斗の立てた真の全体計画を3D電話で教えられた。真という言葉が添えられている理由は、僕と昴が輝夜さんにするフォローも、そこには書かれていたからだね。北斗は誠実さの結晶のような顔で言ったよ、『俺のフォローだけでは絶対足りないから協力して欲しい』ってさ」
あの日、僕と北斗と昴の三人は、自分の等身大3Dを正三角形に配置して話し合った。その一角を成す昴が、返答は予想つくけど一応聞かせてと前置きし、北斗に尋ねた。「私と眠留のフォローを輝夜に伏せる理由は?」 返答次第ではアンタを叩き斬るという、矛盾も甚だしい眼力でそう問う昴へ、北斗は答えた。
叱られてはいずとも正座を崩せる雰囲気では決してないのは、そうかこのスケコマシにあったのかと、僕は膝をポンと叩いた。そんな僕へ、美鈴が語気と眼光を鋭くする。
「あのねお兄ちゃん。まめには漢字がなくて、どうしても必要な時は『忠義』にルビを振るのが一般的だけど、死後になりつつある最大の理由は、忠義という当て字が不適切だからと私は考えているの。お兄ちゃんは自覚がないけど、お兄ちゃんが周囲の女性全員に心の赴くまま『まめ』に振る舞ったら、あっという間にハーレムが形成されてしまうんだよ。女の子にとって自分がどんなに危険な存在か、ホントわかってるのお兄ちゃん!」
反射的に土下座しそうになった。が、
「待った、待ちなさい眠留。美鈴も、今夜は控えてあげて」
翔子姉さんがまたもや取りなしてくれた。そうする動機の全ては、ここにいる二人とここにいない二人の、計四人の睡眠時間への憂いなのだと痛いほど理解している僕は、敬愛する姉に教えを受ける気構えを全力で造り上げた。微笑む翔子姉さんに、美鈴は恭しく腰を折ったのち、場所を移動して僕の隣にやって来る。愛おしくて堪らない弟と妹に笑み崩れ、姉は本命の言葉を放った。
「輝夜の心は、明日を素晴らしいデートにする、工夫で溢れています。その99%は、こんなお世話を眠留にしたら眠留は喜んでくれるかな、という想いなのです。眠留、あなたが大切な人にしてあげたい事があるように、相手もあなたにしてあげたい事があるの。明日はゆめゆめ、これを忘れてはなりませんよ」
台所の床に額をつけ、僕は姉に謝意を示した。姿勢だけ見れば土下座と大差なくとも、胸の内がこれほど異なることは、そうないのかもしれない。だから多少恥ずかしくとも、よしよしと僕の後頭部を撫でる翔子姉さんの手を、僕は甘んじて受け入れていた。
それがその後、役立った。上体を起こした僕につと身を寄せ、美鈴がこう請うたのである。
「昴お姉ちゃんが妹にならなかったから、私はお兄ちゃんの妹になれたの。お兄ちゃん、昴お姉ちゃんを、大切にしてあげてね」
この時ほど、人の心の無限性を実感したことが僕には無い。美鈴を大切に想う気持ちも、昴を大切に想う気持ちも、輝夜さんに翔子姉さん、そして数多の人達を大切に想う気持ちも、どこまでも無尽蔵に、まさしく無限に湧いて来たのである。僕は美鈴の頭を両手で撫でながら誓った。
「ああ、約束する。兄ちゃんは、大切な人達を大切にするからな」
これが昨夜、僕が受け取った助言の、全貌なのだった。
神社のAICAが、僕と輝夜さんを乗せ幹線道路をひた走ってゆく。
この道の先には高速道路の入り口があり、そこはインハイに向かうバスが利用した入り口で、薙刀部のバスも同様にそこを利用していたから、話題は自然とインハイの想い出に移って行った。といっても、
「いや~、輝夜さんがプログラムした無音糸ノコギリ、大好評だね」
全国大会の想い出の中から輝夜さんに直接関わるものを、意図的に選んだんだけどね。
湖校新忍道部はインハイ本選の第一戦で、自校の生徒が独自開発した無音糸ノコギリを使用し、最強モンスターの一角を占める黒猿に勝利した。その後の質疑応答で無音糸ノコギリが話題に上った際、真田さん達は糸ノコギリの設計図を無料公開することを約束した。もちろんそれは実行され、プログラム及び材料等の全ては無料公開されたのだが、にもかかわらずそれは、プログラム関連の特許を取得するに至った。輝夜さんの組んだ基幹プログラムが、とにかく凄まじかったそうなのだ。既存の常識を覆すシンプル極まるそれは、シンプルだからこそ汎用性が高く、様々な分野に応用可能なのだと言う。インハイ会場に来ていた他校の研究学校生の多くがそれに気づき、それぞれの教育AIにプログラムの素晴らしさを説き、多数の教育AIが経済産業省に働きかけた結果、無料公開済みであってもオリジナル製品として正式に認可されたのである。ただ、
「ちょっと眠留くん、あれは北斗君と協力して作ったんであって」
輝夜さんは北斗との共同制作だったことを強調し、自分一人の功績ではないと懸命に説いた。うんうん解ってる、解ってるよ輝夜さん。
「大丈夫、僕は理解できる。北斗は、全体の流れを決めるのと、フォローがとにかく巧い。理に適う計画を始めに示され、それに則って作業を進めているうち、この仕事は納期までに必ず完成するって、輝夜さんは確信するようになったんじゃない?」
「そうなの!」
我が意を得たりと、輝夜さんはそれから暫くまくしたてた。北斗の立てた五段計画の一段目が終わるころには、残り四段を堅実にこなしていく自分達の姿をまざまざと見るようになり、二段目が終わるころには、決められた未来を進んでいる気になり、そして三段目が完了するころには、この楽しい時間はもうすぐ終わってしまうから悔いの残らぬよう全力を尽くすぞと、心はやる気で煮えたぎっていたそうだ。そのやる気が糸ノコ制作の枠を超えてあふれ出し、生活全般に行き渡ったから、翔薙刀術の訓練も、薙刀全国大会の練習も、学校と神社ですごす楽しい時間も、一周して糸ノコ制作も、全部ひっくるめて駆け抜けられたのだと、最後は涙ぐみながら輝夜さんは話した。僕はハンカチを輝夜さんに手渡し、目尻の雫が消えるのを待ってから明かした。
「輝夜さんと北斗に糸ノコ制作を依頼した日の夜、僕と昴は、北斗の立てた真の全体計画を3D電話で教えられた。真という言葉が添えられている理由は、僕と昴が輝夜さんにするフォローも、そこには書かれていたからだね。北斗は誠実さの結晶のような顔で言ったよ、『俺のフォローだけでは絶対足りないから協力して欲しい』ってさ」
あの日、僕と北斗と昴の三人は、自分の等身大3Dを正三角形に配置して話し合った。その一角を成す昴が、返答は予想つくけど一応聞かせてと前置きし、北斗に尋ねた。「私と眠留のフォローを輝夜に伏せる理由は?」 返答次第ではアンタを叩き斬るという、矛盾も甚だしい眼力でそう問う昴へ、北斗は答えた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
闇の翼~Dark Wing~
桐谷雪矢
キャラ文芸
人ならざる異種族がさりげなく紛れ込んでいる……知るモノにはそんな非日常が隣り合わせにある日常。
バーのマスターである俺は、常連客の便利屋とのひょんな仕事がきっかけで、面倒ごとに巻き込まれるコトに。
そもそも俺が吸血鬼でその異種族なせいで、巻き込まれたんだか、呼び込んだんだかしちまったのか、それとも後の祭りなのか。
気がつけば、非日常が日常になっていた?
*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*
ちょっと昔の伝奇ジュヴナイル系のイメージです。
↓↓↓↓↓↓
怖くないのにホラーカテゴリーでいいのだろうか、でもファンタジーも違う気が、と悩んでいましたが、落ち着けそうなカテゴリーができたので、早速お引っ越しいたしました。
お気に入り・感想、よろしくです。
*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*
カクヨムさんにも置いてみました。
後宮物語〜身代わり宮女は皇帝に溺愛されます⁉︎〜
菰野るり
キャラ文芸
寵愛なんていりません!身代わり宮女は3食昼寝付きで勉強がしたい。
私は北峰で商家を営む白(パイ)家の長女雲泪(ユンルイ)
白(パイ)家第一夫人だった母は私が小さい頃に亡くなり、家では第二夫人の娘である璃華(リーファ)だけが可愛がられている。
妹の後宮入りの用意する為に、両親は金持ちの薬屋へ第五夫人の縁談を準備した。爺さんに嫁ぐ為に生まれてきたんじゃない!逃げ出そうとする私が出会ったのは、後宮入りする予定の御令嬢が逃亡してしまい責任をとって首を吊る直前の宦官だった。
利害が一致したので、わたくし銀蓮(インリェン)として後宮入りをいたします。
雲泪(ユンレイ)の物語は完結しました。続きのお話は、堯舜(ヤオシュン)の物語として別に連載を始めます。近日中に始めますので、是非、お気に入りに登録いただき読みにきてください。お願いします。
転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを
なつのさんち
ファンタジー
前世から引き継いだ記憶を元に、男女比の狂った世界で娯楽文化を発展させつつお金儲けもしてハーレムも楽しむお話。
二十九歳、童貞。明日には魔法使いになってしまう。
勇気を出して風俗街へ、行く前に迷いを振り切る為にお酒を引っ掛ける。
思いのほか飲んでしまい、ふら付く身体でゴールデン街に渡る為の交差点で信号待ちをしていると、後ろから何者かに押されて道路に飛び出てしまい、二十九歳童貞はトラックに跳ねられてしまう。
そして気付けば赤ん坊に。
異世界へ、具体的に表現すると元いた世界にそっくりな並行世界へと転生していたのだった。
ヴァーチャル配信者としてスカウトを受け、その後世界初の男性顔出し配信者・起業投資家として世界を動かして行く事となる元二十九歳童貞男のお話。
★★★ ★★★ ★★★
本作はカクヨムに連載中の作品「Vから始める男女比一対三万世界の配信者生活:オタク文化で並行世界を制覇する!」のアルファポリス版となっております。
現在加筆修正を進めており、今後展開が変わる可能性もあるので、カクヨム版とアルファポリス版は別の世界線の別々の話であると思って頂ければと思います。
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
これは校閲の仕事に含まれますか?
白野よつは(白詰よつは)
キャラ文芸
大手出版社・幻泉社の校閲部で働く斎藤ちひろは、いじらしくも数多の校閲の目をかいくぐって世に出てきた誤字脱字を愛でるのが大好きな偏愛の持ち主。
ある日、有名なミステリー賞を十九歳の若さで受賞した作家・早峰カズキの新作の校閲中、明らかに多すぎる誤字脱字を発見して――?
お騒がせ編集×〝あるもの〟に目がない校閲×作家、ときどき部長がくれる美味しいもの。
今日も校閲部は静かに騒がしいようです。
校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?
明石龍之介
キャラ文芸
落葉武帝(らくようぶてい)高校、通称ラブ高に通う二年生 桜庭快斗(さくらばかいと)は、突然校長に課題を押し付けられる。
その課題とは、娘の落葉カレンの処女を守り抜けというものだった。
課題をクリアすれば1億円やると言われ安易に受けてしまったが最後、守れなかったら退学という条件を課せられ、カレンの天然な性格にも振り回されて快斗の高校生活は無茶苦茶になっていく。
更に課題はエスカレートしていき、様々な難題を課せられる中、果たして快斗は見事にカレンの処女を守り抜くことができるのか!?
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
戸惑いの神嫁と花舞う約束 呪い子の幸せな嫁入り
響 蒼華
キャラ文芸
四方を海に囲まれた国・花綵。
長らく閉じられていた国は動乱を経て開かれ、新しき時代を迎えていた。
特権を持つ名家はそれぞれに異能を持ち、特に帝に仕える四つの家は『四家』と称され畏怖されていた。
名家の一つ・玖瑶家。
長女でありながら異能を持たない為に、不遇のうちに暮らしていた紗依。
異母妹やその母親に虐げられながらも、自分の為に全てを失った母を守り、必死に耐えていた。
かつて小さな不思議な友と交わした約束を密かな支えと思い暮らしていた紗依の日々を変えたのは、突然の縁談だった。
『神無し』と忌まれる名家・北家の当主から、ご長女を『神嫁』として貰い受けたい、という申し出。
父達の思惑により、表向き長女としていた異母妹の代わりに紗依が嫁ぐこととなる。
一人向かった北家にて、紗依は彼女の運命と『再会』することになる……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる