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十五章
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「脚の操作が間に合わず、シューズを地面に引っかけて転倒する人も多いね。けど僕は、引っかけて転倒する方がまだましな気がするんだよ」
智樹は首を傾げるも、腰の位置が低い状態でバランスを崩し足を踏みしめることを繰り返しているうち、合点がいったようだった。
「低重心で走っている人がバランスを崩し、足の裏を急いで地面に着けると、足を大きく開いた姿勢になる。これは、急制動をかけやすい姿勢ではあるのだろう。だが、全力疾走から急制動をかけるなんて無茶を長年続けていると・・・」
「体が悲鳴を上げて、靭帯や関節に深刻な怪我を負うだろうね」
「俺は大丈夫かな」
不安げにそう呟き、智樹は膝をさすった。「智樹の重心はさほど低くないけど心配なら猛が検査してくれるよ」と言うと、助力を請うメールをすぐさま猛に出していた。その横顔にふと思い立ち、確認を取る。
「智樹は今日、夕ご飯を食べていくよね」
「いや、お昼に続いて夕飯も御馳走になるのは流石にな。明後日の豪華夕食会にも、招いてもらってるんだし」
僕はゲラゲラ笑って言った。
「そんなの気にするなって。どうしても気になるなら、今年はお盆休みに大石段の大掃除をする予定だから、手伝ってくれるかな」
任せろと即答するも、それを手伝ったらまた夕飯食ってけって事にならないかと、智樹は身を小さくした。これは腹を割るしかないと智樹を床に座らせ、僕も正面に座った。
「智樹以外の夕食会メンバーは、親御さん達がお金を払ってくれてるって、智樹は知ってるんだな」
「ああ、知ってる。眠留の家で手作り夕ご飯を毎週頂いていることを、香取さんと那須さんの御両親がとても感謝しているって、偶然聞いたんだよ」
五月の連休以降、二年二十組の友人三人も、週一で開かれる夕食会のメンバーになっていた。那須さんと香取さんは輝夜さん達にお金の相談をすぐしたらしく、頻度が同じ芹沢さんと同額を、親御さん達が神社に寄進してくれていた。祖父母はそれを親御さんの気持ちとして有難く受け取り、それは僕も同じだったのだけど、懸念が一つあった。それは智樹には、それをする親がいないという事だった。
「盗み聞きしたことを香取さん達に詫び、できれば金額を教えてほしいと俺は頼んだ。二人から聞いた額は、食費や光熱費にかかる額より明らかに多かった。二人はそれについて、茶道と華道と礼法の謝礼も含まれていると説明していたが、ご両親の感謝の気持ちを加えた額なんだって、俺にもすぐわかったよ」
祖母と貴子さんの熟練の技に感銘を受けた那須さんと香取さんは、芹沢さんと共に茶室で過ごすことが多かった。親というものは、愛娘がお嬢様教育を受けることを大層喜ぶらしく、双方のご両親は四人連れ立って神社を訪れ、祖父母と貴子さんに謝意を示してくれた。
「俺は茶道等を習ってないが、女の子より沢山食べるから同額を払おうとした。だが教育AIに止められてな。子務放棄権行使者が研究学校生になると、在学中は教育AIが仮の親になる。教育AIには返済不要奨学金の給付権があるからそれを使うと、アイに言われたんだよ。俺は腹が立ち、それを突っぱねた。するとアイも怒ってケンカになったが、俺の気持ちを無視するなって、俺は自分の意見を押し通した。あのケンカが無ければ、俺は眠留の家で頂く食事に、これほど負い目を感じなかったはずだ。なあ眠留、アイはなぜあんなケンカを俺としたのかな」
僕はまず、貴子さんとのケンカの日々を話した。中吉については明かせなくとも、反抗する親が近くにいない僕の反抗心を貴子さんが受け止めてくれていたのは事実なので、それを正直に話したのだ。
続いて、負い目を感じているのは僕も同じだと打ち明けた。智樹は、貴子さんとのケンカは感覚的に理解できるようだったが、僕の負い目については首を捻っていた。そんな智樹へ、昴の家で頂いたお昼ご飯の話をする。
「僕の母と昴の母親は友達で、母はおばさんに料理を習っていた。だからおばさんの料理を食べると、母の料理をどうしても思い出して、僕は今でも何も言えなくなってさ。それはおばさんも同じで、料理を作っている間は凄く楽しそうなのに食事の時間が始まると、泣きだしてしまうんだよ」
僕は智樹に、おじさんがいつも送ってくれるメールを見せた。肩の触れ合う場所に今でも友人を感じるという個所は智樹の心を揺さぶったらしく、僕らはしばらく明後日の方角を向き、瞳を乾かしていた。
「おばさんが料理に込める真心は、お金に換えられない。でも、僕がもっと大人になれば変わって来る。金銭的謝意をスマートに示せるようになって、そしてそれを、おじさんとおばさんは僕の成長として喜んでくれるはずなんだ。けど、今の僕にそれはできない。僕にできるのは、きちんとしたお返しができない子供でごめんなさいって、心の中で詫びることだけなんだよ」
智樹は下を向き、早く大人になりたいなと呟いた。下を向かざるを得なかった智樹の胸中を思うと僕は何も言えなくなってしまったのだけど、なら俺に任せろとばかりに智樹は顔を上げ、負い目の詳細を明かしてくれた。
「親と決別し、施設で暮らすようになって初めて俺は、無機質に感じない料理を食べた。だが眠留の家で頂く食事は、そんなものじゃなかった。女の子たちが作ってくれる料理も、今日眠留が食わせてくれた炒飯と野菜炒めも、素晴らし過ぎて俺は負い目を感じていた。心の傷を癒してくれるあの料理のお返しを、俺は何一つできないからだ」
やっと解ったよ、と智樹は淡く笑った。
「香取さんの御両親は、お金には決して換えられない感謝の気持ちを、お金として表現することができる。だがガキの俺にはそれがまだできず、だから香取さんの御両親と同額を払っても、それは俺が小学校時代に家で食べてきた無機質な料理と同じなんだ。それを気づかせるために教育AIは俺とケンカしてくれたのに、ガキ過ぎる俺はそれを理解できなかった。あのケンカが無ければ負い目は少なかったはずなのになんて、的外れな八つ当たりを俺はしていたんだな」
この家を取り仕切る美夜さんを介して、咲耶さんが智樹の今の話を聞いていた気が、僕は何となくした。
なら、どうすべきなのか。
僕は智樹と、そして咲耶さんのために何ができるのだろうか。
それを考えていた心に、とりあえずの回答がやって来た。僕はそれを口にした。
「今の僕がどんなに背伸びしても、おじさんとおばさんに感謝を伝えられない。智樹もそう感じているなら、提案が一つあるんだけど、どうかな」
「それは譬えるなら、女の子たちの真心のこもった料理を腹ペコの眠留の前に置き、『これ食べる?』って訊いているようなものだぞ」
「なんだよその巧い譬えは」「できる男は隠喩が巧みなものなのだよ」「そのセリフ、中二病っぽいんだけど」「テメエが中二病漫画を散々読ませたせいじゃねえか!」
なんて照れ隠しをワイワイやったのち、提案した。
「サッカー談義を終わらせて、研究に一段落つけようか」
研究者の卵として、研究を第一に考えた行動をしようと呼びかけたのである。すると、
「寂しいけどそうするか」
智樹は寂しさの欠片もない笑顔で、同意してくれたのだった。
「蹴りの練習等々が効果を発揮し、僕の腸腰筋は少しずつ強くなっていった。なのにボールを蹴っても、飛距離はほとんど変わらなくてさ。球技の苦手意識ばかりが肥大していったよ」
僕は立ち上がり、床に3Dのサッカーボールを映し出した。
「腸腰筋の強さが反映されなかった理由は、拮抗筋のハムストリングスを巧く使えなかったことにある。運動音痴だから巧く使えなくて、当然なんだけどね」
僕は3Dボールをゆっくり蹴り、蹴った後も動きを止めず、脚を腰の位置まで持ち上げて行った。
「腸腰筋は脚の前側に連結していて、ハムストリングスは脚の後ろ側に連結している。つまり人は、腸腰筋を縮ませてボールを蹴り、続いてハムストリングスを力ませて、上昇する脚にブレーキをかけているんだね。運動神経の良い人は、ハムストリングスを適度に力ませ、適切なブレーキをいとも容易くかけるんだけど、運動音痴にそれは不可能。僕はボールを蹴る前から、必要以上にハムストリングスを力ませ、脚に無意味なブレーキをかけていたんだよ。腸腰筋を強くしても、ボールの飛距離があまり変わらなかった理由はそれだね」
智樹は首を傾げるも、腰の位置が低い状態でバランスを崩し足を踏みしめることを繰り返しているうち、合点がいったようだった。
「低重心で走っている人がバランスを崩し、足の裏を急いで地面に着けると、足を大きく開いた姿勢になる。これは、急制動をかけやすい姿勢ではあるのだろう。だが、全力疾走から急制動をかけるなんて無茶を長年続けていると・・・」
「体が悲鳴を上げて、靭帯や関節に深刻な怪我を負うだろうね」
「俺は大丈夫かな」
不安げにそう呟き、智樹は膝をさすった。「智樹の重心はさほど低くないけど心配なら猛が検査してくれるよ」と言うと、助力を請うメールをすぐさま猛に出していた。その横顔にふと思い立ち、確認を取る。
「智樹は今日、夕ご飯を食べていくよね」
「いや、お昼に続いて夕飯も御馳走になるのは流石にな。明後日の豪華夕食会にも、招いてもらってるんだし」
僕はゲラゲラ笑って言った。
「そんなの気にするなって。どうしても気になるなら、今年はお盆休みに大石段の大掃除をする予定だから、手伝ってくれるかな」
任せろと即答するも、それを手伝ったらまた夕飯食ってけって事にならないかと、智樹は身を小さくした。これは腹を割るしかないと智樹を床に座らせ、僕も正面に座った。
「智樹以外の夕食会メンバーは、親御さん達がお金を払ってくれてるって、智樹は知ってるんだな」
「ああ、知ってる。眠留の家で手作り夕ご飯を毎週頂いていることを、香取さんと那須さんの御両親がとても感謝しているって、偶然聞いたんだよ」
五月の連休以降、二年二十組の友人三人も、週一で開かれる夕食会のメンバーになっていた。那須さんと香取さんは輝夜さん達にお金の相談をすぐしたらしく、頻度が同じ芹沢さんと同額を、親御さん達が神社に寄進してくれていた。祖父母はそれを親御さんの気持ちとして有難く受け取り、それは僕も同じだったのだけど、懸念が一つあった。それは智樹には、それをする親がいないという事だった。
「盗み聞きしたことを香取さん達に詫び、できれば金額を教えてほしいと俺は頼んだ。二人から聞いた額は、食費や光熱費にかかる額より明らかに多かった。二人はそれについて、茶道と華道と礼法の謝礼も含まれていると説明していたが、ご両親の感謝の気持ちを加えた額なんだって、俺にもすぐわかったよ」
祖母と貴子さんの熟練の技に感銘を受けた那須さんと香取さんは、芹沢さんと共に茶室で過ごすことが多かった。親というものは、愛娘がお嬢様教育を受けることを大層喜ぶらしく、双方のご両親は四人連れ立って神社を訪れ、祖父母と貴子さんに謝意を示してくれた。
「俺は茶道等を習ってないが、女の子より沢山食べるから同額を払おうとした。だが教育AIに止められてな。子務放棄権行使者が研究学校生になると、在学中は教育AIが仮の親になる。教育AIには返済不要奨学金の給付権があるからそれを使うと、アイに言われたんだよ。俺は腹が立ち、それを突っぱねた。するとアイも怒ってケンカになったが、俺の気持ちを無視するなって、俺は自分の意見を押し通した。あのケンカが無ければ、俺は眠留の家で頂く食事に、これほど負い目を感じなかったはずだ。なあ眠留、アイはなぜあんなケンカを俺としたのかな」
僕はまず、貴子さんとのケンカの日々を話した。中吉については明かせなくとも、反抗する親が近くにいない僕の反抗心を貴子さんが受け止めてくれていたのは事実なので、それを正直に話したのだ。
続いて、負い目を感じているのは僕も同じだと打ち明けた。智樹は、貴子さんとのケンカは感覚的に理解できるようだったが、僕の負い目については首を捻っていた。そんな智樹へ、昴の家で頂いたお昼ご飯の話をする。
「僕の母と昴の母親は友達で、母はおばさんに料理を習っていた。だからおばさんの料理を食べると、母の料理をどうしても思い出して、僕は今でも何も言えなくなってさ。それはおばさんも同じで、料理を作っている間は凄く楽しそうなのに食事の時間が始まると、泣きだしてしまうんだよ」
僕は智樹に、おじさんがいつも送ってくれるメールを見せた。肩の触れ合う場所に今でも友人を感じるという個所は智樹の心を揺さぶったらしく、僕らはしばらく明後日の方角を向き、瞳を乾かしていた。
「おばさんが料理に込める真心は、お金に換えられない。でも、僕がもっと大人になれば変わって来る。金銭的謝意をスマートに示せるようになって、そしてそれを、おじさんとおばさんは僕の成長として喜んでくれるはずなんだ。けど、今の僕にそれはできない。僕にできるのは、きちんとしたお返しができない子供でごめんなさいって、心の中で詫びることだけなんだよ」
智樹は下を向き、早く大人になりたいなと呟いた。下を向かざるを得なかった智樹の胸中を思うと僕は何も言えなくなってしまったのだけど、なら俺に任せろとばかりに智樹は顔を上げ、負い目の詳細を明かしてくれた。
「親と決別し、施設で暮らすようになって初めて俺は、無機質に感じない料理を食べた。だが眠留の家で頂く食事は、そんなものじゃなかった。女の子たちが作ってくれる料理も、今日眠留が食わせてくれた炒飯と野菜炒めも、素晴らし過ぎて俺は負い目を感じていた。心の傷を癒してくれるあの料理のお返しを、俺は何一つできないからだ」
やっと解ったよ、と智樹は淡く笑った。
「香取さんの御両親は、お金には決して換えられない感謝の気持ちを、お金として表現することができる。だがガキの俺にはそれがまだできず、だから香取さんの御両親と同額を払っても、それは俺が小学校時代に家で食べてきた無機質な料理と同じなんだ。それを気づかせるために教育AIは俺とケンカしてくれたのに、ガキ過ぎる俺はそれを理解できなかった。あのケンカが無ければ負い目は少なかったはずなのになんて、的外れな八つ当たりを俺はしていたんだな」
この家を取り仕切る美夜さんを介して、咲耶さんが智樹の今の話を聞いていた気が、僕は何となくした。
なら、どうすべきなのか。
僕は智樹と、そして咲耶さんのために何ができるのだろうか。
それを考えていた心に、とりあえずの回答がやって来た。僕はそれを口にした。
「今の僕がどんなに背伸びしても、おじさんとおばさんに感謝を伝えられない。智樹もそう感じているなら、提案が一つあるんだけど、どうかな」
「それは譬えるなら、女の子たちの真心のこもった料理を腹ペコの眠留の前に置き、『これ食べる?』って訊いているようなものだぞ」
「なんだよその巧い譬えは」「できる男は隠喩が巧みなものなのだよ」「そのセリフ、中二病っぽいんだけど」「テメエが中二病漫画を散々読ませたせいじゃねえか!」
なんて照れ隠しをワイワイやったのち、提案した。
「サッカー談義を終わらせて、研究に一段落つけようか」
研究者の卵として、研究を第一に考えた行動をしようと呼びかけたのである。すると、
「寂しいけどそうするか」
智樹は寂しさの欠片もない笑顔で、同意してくれたのだった。
「蹴りの練習等々が効果を発揮し、僕の腸腰筋は少しずつ強くなっていった。なのにボールを蹴っても、飛距離はほとんど変わらなくてさ。球技の苦手意識ばかりが肥大していったよ」
僕は立ち上がり、床に3Dのサッカーボールを映し出した。
「腸腰筋の強さが反映されなかった理由は、拮抗筋のハムストリングスを巧く使えなかったことにある。運動音痴だから巧く使えなくて、当然なんだけどね」
僕は3Dボールをゆっくり蹴り、蹴った後も動きを止めず、脚を腰の位置まで持ち上げて行った。
「腸腰筋は脚の前側に連結していて、ハムストリングスは脚の後ろ側に連結している。つまり人は、腸腰筋を縮ませてボールを蹴り、続いてハムストリングスを力ませて、上昇する脚にブレーキをかけているんだね。運動神経の良い人は、ハムストリングスを適度に力ませ、適切なブレーキをいとも容易くかけるんだけど、運動音痴にそれは不可能。僕はボールを蹴る前から、必要以上にハムストリングスを力ませ、脚に無意味なブレーキをかけていたんだよ。腸腰筋を強くしても、ボールの飛距離があまり変わらなかった理由はそれだね」
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