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十三章
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最初に動いたのは荒海さんだった。
荒海さんは建物に体を向けたまま、木の左へ移動して行った。
それと対を成し、真田さんは木の右へ歩を進めてゆく。
二人とは異なり、黛さんは建物から見えぬよう、木の陰に背中を預けた。
そして真田さんと荒海さんが木から2メートル離れたとき、黛さんが銃口を天頂へ向ける。それを合図に、
「フッ」
真田さんが故意に大きな呼気を放った。その1秒後、
ズルッ
右足を地面にこすりつけ、またもや故意に大きな音を出す。その0.5秒後、
ザザザザッ
真田さんと荒海さんは打って変わり、足音を盛大に立てて走り出した。その直後、
ドガ――ンッ
建物の入り口を蹴り破り、身の丈2メートルの狒々が中から飛び出してきた。が、
ギャッ
大量に撒かれたマキビシを踏み、狒々は地響きを立て地面に倒れ込む。と同時に、
ババッッ
二匹の狒々が同時に入り口から飛び出てきた。そして地に倒れた狒々の背を躊躇なく踏みつけマキビシを回避し、真田さんと荒海さん目掛けて突進する。二匹の狒々が現れるや真田さんと荒海さんは銃を連射するも、狒々の動きが速すぎて銃弾を一発たりとも命中させられない。恐怖にかられた二人は、狒々に背を向け一目散に逃げ始めた。狒々は牙をむき速度を更に上げ、二人の背に飛び掛かかろうとする。が、
スパンスパンッ
0.01ミリの炭素繊維が張られた場所を通過した途端、狒々の体躯から命の火が消えた。
ドサッ ドサッ
二匹の狒々は計六つの肉塊と化し、地面に散らばる。その音を背中越しに聞いた真田さんと荒海さんが急制動をかけ半回転し、銃口を建物の屋根に定めて停まる。三十秒にも感じられる、音のない三秒が過ぎた。その沈黙を破り、
ギギィィ
屋根に設けられた巨大な扉の開く音が辺りに響き渡る。そしてその向こうに、
ノシ・・・
身の丈2メートル半の上狒々が、とうとう姿を現したのだった。
その姿を、神々しいと感じた観客は多かったと思う。
下級狒々の、くすんだ鈍色とは明らかに異なる、光を放つ銀色の体毛。
燃え上がる生命力を想起させる、深紅の面長の顔。
深遠な知性をたたえた、黒曜石の双眸。
山中で出会ったら、森の賢者や山神の使いと感じても不思議ではない気配を、上狒々はその身にまとっていた。四肢を優雅に動かし、上狒々が扉を越え屋根に現れる。目にも止まらぬ速度で動く、おどろおどろしい魔族ばかりを見てきた観客達の多くが、詰めていた息を吐き、安らいだ表情でゆっくり瞬きをした。残念だが、僕はこう思わざるをえなかった。「もしここが本当の戦場だったなら、自分が人生最期の瞬きをしたことを、あの人達は知らなかったかもな」と。
それを裏付けるように、続く光景を脳が把握するまで数秒を要した観客が、大勢いたようだった。
その人達は、理解できなかったのである。
屋根を高速で移動しつつ奇怪な動作を繰り返す上狒々が、ソフトボールほどの大きさの岩を、地上へ立て続けに投げているという事を。
あまり知られていないが、人が動物に勝るのは知力だけではない。物を投げること、つまり投擲も、人が動物に勝る数少ない能力の一つだ。完全二足歩行によって体重を支える必要のなくなった腕と肩を、人は投擲に適するよう進化させていたのである。
しかし魔族には、人以上の投擲能力を獲得したモンスターが一種類だけいた。それが、狒々だった。狒々は完全二足歩行生物とは言い難かったが、岩山に住んでいた時代に、石を投げる優位性を知った。平地では自分の方が弱くとも高所から石を投げつければ、格上の敵に勝てることを知った。然るに狒々族は長い年月をかけ投擲技術を磨き、二強猿の一角をなすに至った現在、それは戦慄すべき領域に達していた。たとえば上狒々は左右の腕を交互に使うことで、ソフトボール大の岩を一秒ごとに、時速230キロで投げることが可能だった。高所から投げ下ろすと速度が5%増すため真田さんと荒海さんは今、時速240キロを超す投擲攻撃にさらされていた。上狒々と二人の距離はざっと20メートルゆえ、狒々の手を離れてから自分に到達するまで0.3秒かからないのである。それだけあれば避けられると感じる人はいるだろうし、またそれは間違いではないのだが、それを数十秒間続けるのは至難だった。腹部めがけて飛んでくる岩を0.3秒かけず避けるには左右へ移動するしかなく、そして上狒々は「この人間は右へこれだけ移動するな」と感じたその場所へ、フェイントで岩を投げる事がままあったからだ。狒々の勘が的中したとしても、その一回を凌ぐことは可能だろう。しかし次からはフェイントも考慮し回避せねばならず、それには何倍もの集中力を必要とするため、集中力が先に尽きるのは多くの場合、人だったのである。
真田さんと荒海さんもそれは同じだった。上狒々戦の勝率を未だ六割に乗せられない主原因は、投擲にあった。二人の回避技術をもってすれば狒々が屋根の上に確保している岩をすべて避けきるのはさほど難しくなかったが、そのためには多大な体力と精神力を消費せねばならず、そしてそれが最後の直接対決で足を引っ張った。そう、狒々の投擲は優れた遠隔攻撃であると共に、心身双方の疲れを誘う優れた戦術でもあったのである。よって回避技術に加え「上狒々をなるべく早く屋根から降ろす技術」も向上させねばならぬのだが、かといって限られた練習時間を対狒々戦だけに割く訳にもいかず、二人は未だ三回に一回以上の割合で上狒々に敗北していたのだ。が、
「「「ウオオオ――ッッッ!!」」」
他校の選手達に無我夢中で雄叫びを上げさせてしまうほどの回避技術を、真田さんと荒海さんが披露したのもまた事実だった。ここは魅せ場とばかりに公式AIも「時速242キロ、秒速67メートル、到達時間0.29秒」との表示を上空に映し出した事もあり、観客も拳を天に突き上げて声援を送っていた。競技場を覆うその空気の中で、選手控室にいる十二人の湖校新忍道部員はしかし、不敵ともとれる笑みを浮かべていた。
その理由は、知っていたから。
真田さんと荒海さんが三回に一回以上の割合で負けているのは通算成績に過ぎず、新たな戦術を完成させた直近の三戦に限れば勝率100%なことを、僕らは知っていたのである。そしてその戦術が、
ズキュ――ン
真田さんの射撃によってまさに今、始まったのだった。
荒海さんは建物に体を向けたまま、木の左へ移動して行った。
それと対を成し、真田さんは木の右へ歩を進めてゆく。
二人とは異なり、黛さんは建物から見えぬよう、木の陰に背中を預けた。
そして真田さんと荒海さんが木から2メートル離れたとき、黛さんが銃口を天頂へ向ける。それを合図に、
「フッ」
真田さんが故意に大きな呼気を放った。その1秒後、
ズルッ
右足を地面にこすりつけ、またもや故意に大きな音を出す。その0.5秒後、
ザザザザッ
真田さんと荒海さんは打って変わり、足音を盛大に立てて走り出した。その直後、
ドガ――ンッ
建物の入り口を蹴り破り、身の丈2メートルの狒々が中から飛び出してきた。が、
ギャッ
大量に撒かれたマキビシを踏み、狒々は地響きを立て地面に倒れ込む。と同時に、
ババッッ
二匹の狒々が同時に入り口から飛び出てきた。そして地に倒れた狒々の背を躊躇なく踏みつけマキビシを回避し、真田さんと荒海さん目掛けて突進する。二匹の狒々が現れるや真田さんと荒海さんは銃を連射するも、狒々の動きが速すぎて銃弾を一発たりとも命中させられない。恐怖にかられた二人は、狒々に背を向け一目散に逃げ始めた。狒々は牙をむき速度を更に上げ、二人の背に飛び掛かかろうとする。が、
スパンスパンッ
0.01ミリの炭素繊維が張られた場所を通過した途端、狒々の体躯から命の火が消えた。
ドサッ ドサッ
二匹の狒々は計六つの肉塊と化し、地面に散らばる。その音を背中越しに聞いた真田さんと荒海さんが急制動をかけ半回転し、銃口を建物の屋根に定めて停まる。三十秒にも感じられる、音のない三秒が過ぎた。その沈黙を破り、
ギギィィ
屋根に設けられた巨大な扉の開く音が辺りに響き渡る。そしてその向こうに、
ノシ・・・
身の丈2メートル半の上狒々が、とうとう姿を現したのだった。
その姿を、神々しいと感じた観客は多かったと思う。
下級狒々の、くすんだ鈍色とは明らかに異なる、光を放つ銀色の体毛。
燃え上がる生命力を想起させる、深紅の面長の顔。
深遠な知性をたたえた、黒曜石の双眸。
山中で出会ったら、森の賢者や山神の使いと感じても不思議ではない気配を、上狒々はその身にまとっていた。四肢を優雅に動かし、上狒々が扉を越え屋根に現れる。目にも止まらぬ速度で動く、おどろおどろしい魔族ばかりを見てきた観客達の多くが、詰めていた息を吐き、安らいだ表情でゆっくり瞬きをした。残念だが、僕はこう思わざるをえなかった。「もしここが本当の戦場だったなら、自分が人生最期の瞬きをしたことを、あの人達は知らなかったかもな」と。
それを裏付けるように、続く光景を脳が把握するまで数秒を要した観客が、大勢いたようだった。
その人達は、理解できなかったのである。
屋根を高速で移動しつつ奇怪な動作を繰り返す上狒々が、ソフトボールほどの大きさの岩を、地上へ立て続けに投げているという事を。
あまり知られていないが、人が動物に勝るのは知力だけではない。物を投げること、つまり投擲も、人が動物に勝る数少ない能力の一つだ。完全二足歩行によって体重を支える必要のなくなった腕と肩を、人は投擲に適するよう進化させていたのである。
しかし魔族には、人以上の投擲能力を獲得したモンスターが一種類だけいた。それが、狒々だった。狒々は完全二足歩行生物とは言い難かったが、岩山に住んでいた時代に、石を投げる優位性を知った。平地では自分の方が弱くとも高所から石を投げつければ、格上の敵に勝てることを知った。然るに狒々族は長い年月をかけ投擲技術を磨き、二強猿の一角をなすに至った現在、それは戦慄すべき領域に達していた。たとえば上狒々は左右の腕を交互に使うことで、ソフトボール大の岩を一秒ごとに、時速230キロで投げることが可能だった。高所から投げ下ろすと速度が5%増すため真田さんと荒海さんは今、時速240キロを超す投擲攻撃にさらされていた。上狒々と二人の距離はざっと20メートルゆえ、狒々の手を離れてから自分に到達するまで0.3秒かからないのである。それだけあれば避けられると感じる人はいるだろうし、またそれは間違いではないのだが、それを数十秒間続けるのは至難だった。腹部めがけて飛んでくる岩を0.3秒かけず避けるには左右へ移動するしかなく、そして上狒々は「この人間は右へこれだけ移動するな」と感じたその場所へ、フェイントで岩を投げる事がままあったからだ。狒々の勘が的中したとしても、その一回を凌ぐことは可能だろう。しかし次からはフェイントも考慮し回避せねばならず、それには何倍もの集中力を必要とするため、集中力が先に尽きるのは多くの場合、人だったのである。
真田さんと荒海さんもそれは同じだった。上狒々戦の勝率を未だ六割に乗せられない主原因は、投擲にあった。二人の回避技術をもってすれば狒々が屋根の上に確保している岩をすべて避けきるのはさほど難しくなかったが、そのためには多大な体力と精神力を消費せねばならず、そしてそれが最後の直接対決で足を引っ張った。そう、狒々の投擲は優れた遠隔攻撃であると共に、心身双方の疲れを誘う優れた戦術でもあったのである。よって回避技術に加え「上狒々をなるべく早く屋根から降ろす技術」も向上させねばならぬのだが、かといって限られた練習時間を対狒々戦だけに割く訳にもいかず、二人は未だ三回に一回以上の割合で上狒々に敗北していたのだ。が、
「「「ウオオオ――ッッッ!!」」」
他校の選手達に無我夢中で雄叫びを上げさせてしまうほどの回避技術を、真田さんと荒海さんが披露したのもまた事実だった。ここは魅せ場とばかりに公式AIも「時速242キロ、秒速67メートル、到達時間0.29秒」との表示を上空に映し出した事もあり、観客も拳を天に突き上げて声援を送っていた。競技場を覆うその空気の中で、選手控室にいる十二人の湖校新忍道部員はしかし、不敵ともとれる笑みを浮かべていた。
その理由は、知っていたから。
真田さんと荒海さんが三回に一回以上の割合で負けているのは通算成績に過ぎず、新たな戦術を完成させた直近の三戦に限れば勝率100%なことを、僕らは知っていたのである。そしてその戦術が、
ズキュ――ン
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