423 / 934
十二章
3
しおりを挟む
「あ~、とりあえず眠留お前、さっき俺に何か言いかけてなかったか?」
北斗の問いかけに僕は飛びついた。
「そうだ忘れてた、さっきある仮説を思い付いたんだった。ねえみんな、輪になって話さない?」
僕はお尻を浮かせ、輪になる位置へ移動する。皆すぐさま同意してくれて、各自が自分のお尻の位置を調整し、六人による正六角形ができあがった。丁度その時、
「あれ、お前ら何してるの?」
「白銀さん、隣に座らせて~!」
智樹と白鳥さんが休憩室に入るや、こちらに駆け寄って来た。さほど疲れていなそうな二人に事情を説明し、僕らは八人の輪になるよう改めて腰を移動させた。
体育館に収納されている九百脚の椅子は、冬の休憩救急の授業以外に用いられることはほぼ無いと言う。だからなるべく使ってあげたい気持ちはあるのだけど、この授業で椅子を見かけるようになったら、それはこの面子で受ける授業も終わりに近いという事なのだろう。やっぱ寂しいなあ、なんて想いを払拭する、第一発言者の力強い声が休憩室に響いた。
「準備が整ったようなので、眠留に仮説を話してもらおう」
議論の場を散々設けた一年時の仲間のみがここにいるなら、このやり取りは不要。けどここには初参加の智樹と白鳥さんがいて、二人とは一年間授業を共にするのだから、形式を踏襲し議論に慣れてもらうことを北斗は優先したのである。ならば僕も、その道を行くまで。議題を提示する役として、ですます調で説明を始めた。
「疲労には、体の疲れと心の疲れがあります。そして先程の実習は、体より心を疲れさせたのではないかと、僕と輝夜さんは閃いたのです」
翔人は、肉体に刻んだ戦闘技術を、翔体で用いて魔想と戦ってゆく。然るに翔人は肉体の回復術と、心の回復術と、心身双方に効く回復術の、三種類の回復術を収得している。さっきの実習では心と体の両方を使った事から、心身双方に効く回復術を選んだのだけど、肉体はすぐ回復したのに心の回復は時間を要した。したがって回復方法をそのまま変えず疲労の比率を調べたところ、輝夜さんは肉体1に対し精神3、僕は肉体1に対し精神4という結果が得られたのだ。翔人関係の事柄は説明できずとも、体より心の負担が大きかったのではないかという仮説に、思い当たる節が皆あったのだろう。猛と京馬は特にそうだったらしく、二人は自分の身に起こったことを息せき切って話し出した。
「休憩室に着くまでは、『疲れた~』を連発していたが」
「幸せそうにしている眠留を見るなり、足の『フラフラ~』がピッタリ止んだよな」
「そうそう、で嬉しくなっちまって」
「気づくとトリオ漫才をおっぱじめていた」
「あれはつまり、疲労の大きい心が元気になったから」
「疲労の少ない体も、つられて元気になったってことか」
猛と京馬は、その場にいなかった智樹と白鳥さんにも情景を思い描いてもらいたかったのだろう。二人は「疲れた~」と「フラフラ~」の箇所を、漫才師よろしく身振り手振りを加えて面白おかしく話した。それは見事成功し、智樹と白鳥さんの表情に柔らかさが加わる。二人はお笑い担当の技術を使い、初参加組の緊張をほどき、かつ発言しやすい環境も作ったのだ。旧十組メンバーはやんやの歓声を捧げ、そしてそれこそを二人は狙っていたに違いない。ここぞとばかりに、
「でも真山は俺らと違い、あまり疲れていなかったよな」
「そうだそうだ、お前だけしっかり歩きやがって」
実習がもたらした疲労には個人差があったことを二人は指摘した。これは、いやこれこそは、二人にしか出来ないことと言えよう。疲労は弱さの現れでもあるから、疲労の少なかった者がこれを口にすると、上から目線的な空気がどうしても生じてしまう。然るに初参加の智樹と白鳥さんの緊張を取り除き、誰もが気軽に発言できる環境を創出するという功績を上げた二人だけが、これを嫌味なく口にできたのである。そんな二人を親友に持てたことを、僕は心から誇らしく思ったのだった。
そしてその想いはもう一人の親友によって、更に高められる事となる。猛と京馬へ交互に目をやり、真山は言った。
「二人の人生が、そうさせたんだよ。選手生命を脅かす大怪我を膝に負った経験が、怪我に苦しむ者を救うべく猛に全力を出させた。洗脳教師の標的にされた経験が、助けを求める者を助けるべく京馬に全力を出させた。俺は、そんな二人の背中に手を添えられることが嬉しかったから、元気でいられたのさ」
真山は、女性の顔が案山子に見えるという不可解な現象に苦しめられてきた。そのせいで同じ小学校に通う女子の識別に苦労し、顔の代わりに頭部から放出される生命力を目安にすることで、女の子を識別するという事をしていた。本人に聞いたのはここまでだからこれ以降は僕の推測だけど、頭部から放出される生命力を目視できるのは、女子に限らないのだろう。よって実習を終えた猛が、膝の怪我に苦しんでいた頃の心理状態になっているのを真山は気づけた。同じく実習を終えた京馬が、洗脳教師に苦しめられていた頃の心理状態になっているのを真山は気づけた。その二人の苦しみが、大怪我を負った生徒への全力の応急処置に繋がったことも、真山は視覚情報として判ったのである。そんな二人を友に持ち、その背に手を添えられることが、心を元気にしない訳がない。三人が休憩室に現れた時の、その胸中を知ることができ、僕はあの時以上の嬉しさを噛みしめていた。
真山の発言に心を動かされたのは、もちろん僕だけではなかった。「よせやい」「恥ずかしいじゃねえか」などと文句を垂れつつも猛と京馬は全身で照れまくっていたし、北斗と輝夜さんも目元を緩めまくっていたし、そして智樹と白鳥さんも、感慨深げに幾度も頷いていた。いや事によると、智樹と白鳥さんが味わった衝撃は、心を素直に晒す行為に慣れた僕らより、大きかったかもしれない。二人は猛と京馬へ、それぞれの七分プレゼンを視聴した旨を伝えたのち、実習であまり疲れなかった自分についての見解を述べた。
「俺は、龍蔵寺や二階堂とは異なる想いで実習に臨んでいた。結城先生の怒声で自分を恥じ、そして白銀さんに成すべき事を教えてもらったから、実習を終えられただけなんだって、俺は今やっと理解したよ」
「七分プレゼンで知った、龍蔵寺君と二階堂君のような苦しみを、私は経験していないの。それに福井君とも違って、私は恥ずかしかっただけなの。みんなも知っているように、私はむき出しになった骨が怖くて逃げだした生徒の一人だったから、汚名返上が一番の理由だったのね」
場が、シンと静まった。
けどそれは一瞬に過ぎず、布擦れの音が僕の鼓膜を震わせた。普通なら衣擦れに充てるのは音なのだろうが、地上にいながらも月の重力に守られているかのようなこの人が物を介して空気を振動させると、全てが楽器の音に代わるのだから不思議でならない。そんなことを成し得る人には、人という字より、もっと適した字があるのではないか? そう自問せずにはいられないその人は、月から舞い降りた天女の如き所作で智樹と白鳥さんへ一礼したのち、言った。
「床に横たわる生徒に私が声を掛けられたのは、すべて昴のお蔭なのです」と。
北斗の問いかけに僕は飛びついた。
「そうだ忘れてた、さっきある仮説を思い付いたんだった。ねえみんな、輪になって話さない?」
僕はお尻を浮かせ、輪になる位置へ移動する。皆すぐさま同意してくれて、各自が自分のお尻の位置を調整し、六人による正六角形ができあがった。丁度その時、
「あれ、お前ら何してるの?」
「白銀さん、隣に座らせて~!」
智樹と白鳥さんが休憩室に入るや、こちらに駆け寄って来た。さほど疲れていなそうな二人に事情を説明し、僕らは八人の輪になるよう改めて腰を移動させた。
体育館に収納されている九百脚の椅子は、冬の休憩救急の授業以外に用いられることはほぼ無いと言う。だからなるべく使ってあげたい気持ちはあるのだけど、この授業で椅子を見かけるようになったら、それはこの面子で受ける授業も終わりに近いという事なのだろう。やっぱ寂しいなあ、なんて想いを払拭する、第一発言者の力強い声が休憩室に響いた。
「準備が整ったようなので、眠留に仮説を話してもらおう」
議論の場を散々設けた一年時の仲間のみがここにいるなら、このやり取りは不要。けどここには初参加の智樹と白鳥さんがいて、二人とは一年間授業を共にするのだから、形式を踏襲し議論に慣れてもらうことを北斗は優先したのである。ならば僕も、その道を行くまで。議題を提示する役として、ですます調で説明を始めた。
「疲労には、体の疲れと心の疲れがあります。そして先程の実習は、体より心を疲れさせたのではないかと、僕と輝夜さんは閃いたのです」
翔人は、肉体に刻んだ戦闘技術を、翔体で用いて魔想と戦ってゆく。然るに翔人は肉体の回復術と、心の回復術と、心身双方に効く回復術の、三種類の回復術を収得している。さっきの実習では心と体の両方を使った事から、心身双方に効く回復術を選んだのだけど、肉体はすぐ回復したのに心の回復は時間を要した。したがって回復方法をそのまま変えず疲労の比率を調べたところ、輝夜さんは肉体1に対し精神3、僕は肉体1に対し精神4という結果が得られたのだ。翔人関係の事柄は説明できずとも、体より心の負担が大きかったのではないかという仮説に、思い当たる節が皆あったのだろう。猛と京馬は特にそうだったらしく、二人は自分の身に起こったことを息せき切って話し出した。
「休憩室に着くまでは、『疲れた~』を連発していたが」
「幸せそうにしている眠留を見るなり、足の『フラフラ~』がピッタリ止んだよな」
「そうそう、で嬉しくなっちまって」
「気づくとトリオ漫才をおっぱじめていた」
「あれはつまり、疲労の大きい心が元気になったから」
「疲労の少ない体も、つられて元気になったってことか」
猛と京馬は、その場にいなかった智樹と白鳥さんにも情景を思い描いてもらいたかったのだろう。二人は「疲れた~」と「フラフラ~」の箇所を、漫才師よろしく身振り手振りを加えて面白おかしく話した。それは見事成功し、智樹と白鳥さんの表情に柔らかさが加わる。二人はお笑い担当の技術を使い、初参加組の緊張をほどき、かつ発言しやすい環境も作ったのだ。旧十組メンバーはやんやの歓声を捧げ、そしてそれこそを二人は狙っていたに違いない。ここぞとばかりに、
「でも真山は俺らと違い、あまり疲れていなかったよな」
「そうだそうだ、お前だけしっかり歩きやがって」
実習がもたらした疲労には個人差があったことを二人は指摘した。これは、いやこれこそは、二人にしか出来ないことと言えよう。疲労は弱さの現れでもあるから、疲労の少なかった者がこれを口にすると、上から目線的な空気がどうしても生じてしまう。然るに初参加の智樹と白鳥さんの緊張を取り除き、誰もが気軽に発言できる環境を創出するという功績を上げた二人だけが、これを嫌味なく口にできたのである。そんな二人を親友に持てたことを、僕は心から誇らしく思ったのだった。
そしてその想いはもう一人の親友によって、更に高められる事となる。猛と京馬へ交互に目をやり、真山は言った。
「二人の人生が、そうさせたんだよ。選手生命を脅かす大怪我を膝に負った経験が、怪我に苦しむ者を救うべく猛に全力を出させた。洗脳教師の標的にされた経験が、助けを求める者を助けるべく京馬に全力を出させた。俺は、そんな二人の背中に手を添えられることが嬉しかったから、元気でいられたのさ」
真山は、女性の顔が案山子に見えるという不可解な現象に苦しめられてきた。そのせいで同じ小学校に通う女子の識別に苦労し、顔の代わりに頭部から放出される生命力を目安にすることで、女の子を識別するという事をしていた。本人に聞いたのはここまでだからこれ以降は僕の推測だけど、頭部から放出される生命力を目視できるのは、女子に限らないのだろう。よって実習を終えた猛が、膝の怪我に苦しんでいた頃の心理状態になっているのを真山は気づけた。同じく実習を終えた京馬が、洗脳教師に苦しめられていた頃の心理状態になっているのを真山は気づけた。その二人の苦しみが、大怪我を負った生徒への全力の応急処置に繋がったことも、真山は視覚情報として判ったのである。そんな二人を友に持ち、その背に手を添えられることが、心を元気にしない訳がない。三人が休憩室に現れた時の、その胸中を知ることができ、僕はあの時以上の嬉しさを噛みしめていた。
真山の発言に心を動かされたのは、もちろん僕だけではなかった。「よせやい」「恥ずかしいじゃねえか」などと文句を垂れつつも猛と京馬は全身で照れまくっていたし、北斗と輝夜さんも目元を緩めまくっていたし、そして智樹と白鳥さんも、感慨深げに幾度も頷いていた。いや事によると、智樹と白鳥さんが味わった衝撃は、心を素直に晒す行為に慣れた僕らより、大きかったかもしれない。二人は猛と京馬へ、それぞれの七分プレゼンを視聴した旨を伝えたのち、実習であまり疲れなかった自分についての見解を述べた。
「俺は、龍蔵寺や二階堂とは異なる想いで実習に臨んでいた。結城先生の怒声で自分を恥じ、そして白銀さんに成すべき事を教えてもらったから、実習を終えられただけなんだって、俺は今やっと理解したよ」
「七分プレゼンで知った、龍蔵寺君と二階堂君のような苦しみを、私は経験していないの。それに福井君とも違って、私は恥ずかしかっただけなの。みんなも知っているように、私はむき出しになった骨が怖くて逃げだした生徒の一人だったから、汚名返上が一番の理由だったのね」
場が、シンと静まった。
けどそれは一瞬に過ぎず、布擦れの音が僕の鼓膜を震わせた。普通なら衣擦れに充てるのは音なのだろうが、地上にいながらも月の重力に守られているかのようなこの人が物を介して空気を振動させると、全てが楽器の音に代わるのだから不思議でならない。そんなことを成し得る人には、人という字より、もっと適した字があるのではないか? そう自問せずにはいられないその人は、月から舞い降りた天女の如き所作で智樹と白鳥さんへ一礼したのち、言った。
「床に横たわる生徒に私が声を掛けられたのは、すべて昴のお蔭なのです」と。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
八百万の学校 其の参
浅井 ことは
キャラ文芸
書籍化作品✨神様の学校 八百万ご指南いたします✨の旧題、八百万(かみさま)の学校。参となります。
十七代当主となった翔平と勝手に双子設定された火之迦具土神と祖父母と一緒に暮らしながら、やっと大学生になったのにも関わらず、大国主命や八意永琳の連れてくる癖のある神様たちに四苦八苦。
生徒として現代のことを教える
果たして今度は如何に──
ドタバタほのぼのコメディとなります。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
よろずカウンセラー広海の失敗。
ユンボイナ
キャラ文芸
カウンセリング、特に夫婦関係や恋愛関係についての悩み解消を得意としつつ、自分は恋愛経験が少ない町田広海(ひろみ)が、様々な人のモヤモヤをすっきりさせていく話です。しかし、広海自身もうっかり恋の落とし穴に……。
忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~
ma-no
キャラ文芸
某有名動画サイトで100億ビューを達成した忍チューバーこと田中半荘が漂流生活の末、行き着いた島は日本の島ではあるが、韓国が実効支配している「竹島」。
日本人がそんな島に漂着したからには騒動勃発。両国の軍隊、政治家を……いや、世界中のファンを巻き込んだ騒動となるのだ。
どうする忍チューバ―? 生きて日本に帰れるのか!?
注 この物語は、コメディーでフィクションでファンタジーです。登場する人物、団体、名称、歴史等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ですので、歴史認識に関する質問、意見等には一切お答えしませんのであしからず。
❓第3回キャラ文芸大賞にエントリーしました❓
よろしければ一票を入れてください!
よろしくお願いします。
婚約破棄ですか。別に構いませんよ
井藤 美樹
恋愛
【第十四回恋愛小説大賞】で激励賞を頂き、書籍化しました!!
一、二巻、絶賛発売中です。電子書籍も。10月8日に一巻の文庫も発売されました。
皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
正直、こんな形ばかりの祝賀会、参加したくはありませんでしたの。
だけど、大隊長が参加出来ないのなら仕方ありませんよね。一応、これでも関係者ですし。それにここ、実は私の実家なのです。
というわけで、まだ未成年ですが、祝賀会に参加致しましょう。渋々ですが。
慣れないコルセットでお腹をギュッと締め付けられ、着慣れないドレスを着せられて、無理矢理参加させられたのに、待っていたは婚約破棄ですか。
それも公衆の面前で。
ましてや破棄理由が冤罪って。ありえませんわ。何のパーティーかご存知なのかしら。
それに、私のことを田舎者とおっしゃいましたよね。二回目ですが、ここ私の実家なんですけど。まぁ、それは構いませんわ。皇女らしくありませんもの。
でもね。
大隊長がいる伯爵家を田舎者と馬鹿にしたことだけは絶対許しませんわ。
そもそも、貴方と婚約なんてしたくはなかったんです。願ったり叶ったりですわ。
本当にいいんですね。分かりました。私は別に構いませんよ。
但し、こちらから破棄させて頂きますわ。宜しいですね。
★短編から長編に変更します★
書籍に入り切らなかった、ざまぁされた方々のその後は、こちらに載せています。
Vtuberだけどリスナーに暴言吐いてもいいですか?
天宮暁
キャラ文芸
俺、人見慧(ひとみけい)は、ただのユルオタ高校生だ。
そんな俺は、最近Vtuberにドマハリしてる。
ヴァーチャル・マイチューバー、略して「Vtuber」。イラストやCGを顔認識アプリと連動させ、まるで生きてるように動かしながら、雑談したり、ゲームしたり、歌を歌ったり、イラスト描いたり、その他諸々の活動をしてる人たちのことである。
中でも俺が推してるのは、七星エリカっていうVtuberだ。暴言ばっか吐いてるんだけど、俺はなぜか憎めないんだよな。
そんな彼女がコラボ配信で大炎上をやらかしたその翌日、いつも通り友人と教室でだべってた俺は、いきなりクラスの女子にからまれた。
神崎絵美莉というその女子は、絵に描いたようなザ・陽キャ。ユルオタの俺と接点なんてあろうはずもない……はずだった。
だが、その後のなりゆきから、俺は神崎の「秘密」を知ることになってしまい――!?
※ ご注意
この話はフィクションです。実在する団体、人物、Vtuberとは一切関係がございません。作者は、業界の関係者でもなければ関係者に直接取材をしたわけでもない、一介のVtuberファンにすぎません。Vtuberについての見解、業界事情等は100%作者の妄想であることをご理解の上、お楽しみくださいませ。
妹はわたくしの物を何でも欲しがる。何でも、わたくしの全てを……そうして妹の元に残るモノはさて、なんでしょう?
ラララキヲ
ファンタジー
姉と下に2歳離れた妹が居る侯爵家。
両親は可愛く生まれた妹だけを愛し、可愛い妹の為に何でもした。
妹が嫌がることを排除し、妹の好きなものだけを周りに置いた。
その為に『お城のような別邸』を作り、妹はその中でお姫様となった。
姉はそのお城には入れない。
本邸で使用人たちに育てられた姉は『次期侯爵家当主』として恥ずかしくないように育った。
しかしそれをお城の窓から妹は見ていて不満を抱く。
妹は騒いだ。
「お姉さまズルい!!」
そう言って姉の着ていたドレスや宝石を奪う。
しかし…………
末娘のお願いがこのままでは叶えられないと気付いた母親はやっと重い腰を上げた。愛する末娘の為に母親は無い頭を振り絞って素晴らしい方法を見つけた。
それは『悪魔召喚』
悪魔に願い、
妹は『姉の全てを手に入れる』……──
※作中は[姉視点]です。
※一話が短くブツブツ進みます
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる