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六章
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寮の朝食は素晴らしいの一言に尽きるものだった。まず口を付けたお味噌汁から、僕は唸りっぱなしだったのである。
「先輩方によると、夏は赤味噌を使ったシンプルな味噌汁が多く、冬は白味噌を使った具だくさん味噌汁が多いらしいな」
猛の解説に無言で頷きながら、麩だけの入ったお味噌汁を僕は一気に飲み干した。白味噌より熟成期間の長い赤味噌は旨味成分が多いことを、僕は知識として知っていた。だが、味噌本来の旨味がこれほど凝縮したお味噌汁を昴と美鈴以外から頂いたのは、これが初めてだったのである。
「お味噌汁はお代わり一回まで無料だから、後で一緒に行こう。眠留、良かったら次は冷奴を食べてみて」
真山に促されるまま冷奴を口に含んだ。誇張抜きで頬が落ちそうになった。これ、美鈴どころか昴の冷奴より美味しいんですけど!
「眠留が今食べた冷奴は、湖校の近くに店を構えている職人さんが、今朝作った豆腐。朝六時に出来上がった豆腐を、俺らは何と、朝七時に食べさせて貰っているんだよ」
「薬味も周囲の農家で今朝採れたものだし、おまけにポン酢も調理師さんの手作り。八つの寮の半分は常に和食の朝ごはんだからこそできる、贅沢だな」
この豆腐は数が足らずお昼の食堂に出せないため、湖校でこの豆腐を食べられるのは寮生の特権なのだと言う。そう解説されるも、お箸を止める事がどうしてもできなかった僕は、半丁の豆腐をまたもや無言で一気に平らげてしまった。
その次の茄子とピーマンの胡麻味噌炒めも、野菜の火加減と胡麻味噌の風味が絶妙過ぎて一度で平らげた僕に、二人は再び肩を震わせた。我ながら不躾だとさすがに反省し、その後はお惣菜とお米をバランスよく食べるよう心掛けた。
のだけど、
「たっ、卵かけご飯が美味し過ぎるんですけど!」
お代わり一回目を牡蠣醤油の卵かけご飯にした僕は、その美味しさに悶絶した。二人によると、近くの養鶏場で今朝産まれた卵ご飯専用の卵を、今僕は食べているのだと言う。小学校の社会科見学で隣の市の巨大養鶏場を見学したことを思い出し、養鶏場の人達へ僕は胸中手を合わせた。
ご飯の追加料金はお代わり四回目からだったので二回目も卵ご飯にして、三回目を納豆と海苔と味噌汁でしめた。味と量はもちろん、空になったお椀を手に持ち近づくだけで新しいご飯やお味噌汁をニッコリ差し出してくれるお代わりロボットも大変興味深く、僕は大満足した。お蔭でトレーを返却する際、「ごちそうさまでした」と調理師の皆さんに心から言うことができた。返却口にいた調理師さんは、顔をくしゃくしゃにして喜んでくれた。
四階の十七号室に戻り、簡単な掃除をした。畳と床だけなので五分とかからず掃除を終え、トイレと歯磨きを済ませ制服に着替えている最中、閃きがふと口から出た。
「女子寮はトイレが小さいぶん、洗面スペースが広いんじゃないかな」
正解と声を揃え、二人は僕の背中をしきりと叩いた。その音に、教育AIの呼び出し音が重なる。まさかこのネタは罰則対象だったのでは、とギョッとする僕の眼前に、僕だけに見える2D画面が浮かび上がった。半ば涙目で目を通すと、そこにはこんなことが書かれていた。
「那須夏奈さんと大和幸さんが、できれば一緒に登校したいと言っているわ。眠留はどうかしら?」
食堂の光景の意味に今更ながら気づき、胸に針が刺さる。僕は3Dキーボードに十指を走らせた。
「新忍道サークルの練習場に僕が寄るつもりでいる事と、猛と真山が一緒でも構わないかを、那須さんと大和さんに尋ねてください」
十秒とかからず、どちらもOKの返信が来た。一連のやり取りをアイに映してもらい、二人に詫びる。
「二人の承諾を得ないまま、こういうやり取りをした。先約があるなら、遠慮なくそちらを優先してね」
猛と真山は同じ表情と同じ口調で、同じ趣旨のことを言った。
「兜さんは今朝、食堂に現れなかった。俺達に先約はないし、あってもこっちを優先するから安心しろ」と。
二人へ謝意を伝えると同時に、真山が3Dキーボードに指を走らせた。ほどなく教育AIから、僕ら五人が男子昇降口前で自然に出会うための計画が送られて来た。僕らは出発の準備をすべて整え、アイの知らせを待った。
一分と経たず、部屋出発のカウントダウンが宙に映し出された。三人でドアの前に集合し、カウントゼロで真山がドアノブに手を掛ける。真山、猛、僕の順で、僕らは十七号室を後にした。
一年生も二年生もいない廊下を経て、無人の階段を下りる。誰にも会わぬまま昇降口に着き、下駄箱から靴を取り出す。十秒後に昇降口のドアを潜るよう2D表示が出て少し焦るも、真山と猛が会話を振って来たのでそれに応じた。「寮はどうだった」「最高だったに決まってるじゃんか」と演技の必要のない話題に盛り上がりつつドアを潜ったところで、
「あ、噂の一日寮生だ」
「三人は本当に仲がいいのね。みなさん、おはおう」
女子の先輩方に混ざって歩いていた那須さんと大和さんが僕らに声を掛けた。一緒にいた先輩方は大人としか思えないお姉さん達だったから、きっと六年生だったのだろう。一年の男子三人へ優しげに微笑むだけで話しかけてくる人はおらず、先輩方のみで会話を始めた。よって僕ら男子三人は、日常会話に偽装した重要案件を切り出すことができた。
「あれ、兜さんはどうしたの?」
陸上部の話題に絡めて訊いた猛へ、感謝をほんのりにじませた顔を那須さんは向けた。
「そうだ龍造寺君。将子は今日、ちょっと体調が悪いみたいで学校を休むの。部活も無理だろうから、心に留めておいてくれるかな」
「大事はないの?」「ほんの軽い不調みたい」「了解、先輩に訊かれたらそう答えておくよ」
同じ陸上部員として二人は普通に会話を進めてゆく。次いで真山が、これまた何気なく大和さんに話しかけた。
「大和さんは兜さんに会った?」「はっ、はい会いました」「ええっと大和さん、そんなに緊張しないで欲しいんだけど」「しっ、失礼いたしました!」
真山に好意を寄せているのがバレバレの大和さんのお蔭で、もとい大和さんのファインプレーのお蔭で、場が一気に和む。それに乗っかり、僕は那須さんへ話しかけた。
「小さい頃からずっと一緒に育った那須さんがそう言うのだから、心配ないんだろうね」
「私は大丈夫なのにあなたが俯いてどうするのって、さっき将子から叱られちゃったの。だからわたし将子のためにも、今日は元気でいようって決めたんだ」
今日は何があっても学校で俯くまいという誓いを、那須さんは僕にハキハキ伝えた。
僕も同じだよ、那須さんのメッセージはしっかり受け取ったからね、という想いを込め、僕は那須さんに笑顔で頷いたのだった。
とのやり取りを、第五寮と第六寮に差しかかる寸前で終えられたのだから、兜さんがいない理由を那須さんに負担を掛けず教えてもらうという当初の目的を、男子三人は達成したと言えるだろう。なぜならその後、僕らのグループは人数を順次増やしていき、そしてそのグループの男女数の違いが、兜さんの話題を絶対切り出せない状況を造り上げたからだ。
教育AIに助けてもらい、第八寮と第七寮の友人知人に会うことなく僕らはここまで歩いて来た。しかし第五寮と第六寮からはさすがにそうもいかず、以降は六つの寮に住む陸上部とサッカー部の友人と、そしてその友人達が僕らに次々合流していった。二つの部で仲良くなった奴らが積極的に話しかけてくれたお陰で、面識のない人達ともすぐ打ち解け、寮エリアを出る頃にはなんとも賑やかなグループが出来あがっていた。しかしそれは三人から二十人に増加した男子のみに当てはまることであり、二人が四人に増えただけの女子の方は、意識して普通に振る舞っている空気を拭えないでいた。大和さんの友人が新たに二人加わっただけで、それ以外の女子は、誰も加わってこなかったのである。
寮エリア縦断道を歩いている最中、真山を見かけた幾人もの女の子が真山に声を掛けようとした。だが同じグループに那須さんがいると知るや、彼女達は皆それを躊躇った。大和さんと同じ部活の二人の女の子だけが、透明なその壁を乗り越え、僕らのグループにやって来たのだ。しかも彼女達は初対面の那須さんときちんと挨拶を交わし、打ち解けた雰囲気を作ろうと努力していた。大和さんの二人の友人は、まこと賞賛すべき勇気の持ち主だったのである。
那須さんもそれに応えようと、一生懸命普通さを装っていた。四人のその振る舞いは胸に迫るものがあり、僕は男子達と盛り上がりつつも、心の一部を割き彼女達の会話に耳を傾けていた。その甲斐あって、第一グラウンドを望む坂道を下っている最中、彼女達の会話に入るきっかけを僕は見つけることができた。
「大和さん、剣筋を通す感覚は竹刀でやるより、木刀をゆっくり動かした方が得られやすいと思うよ」
「先輩方によると、夏は赤味噌を使ったシンプルな味噌汁が多く、冬は白味噌を使った具だくさん味噌汁が多いらしいな」
猛の解説に無言で頷きながら、麩だけの入ったお味噌汁を僕は一気に飲み干した。白味噌より熟成期間の長い赤味噌は旨味成分が多いことを、僕は知識として知っていた。だが、味噌本来の旨味がこれほど凝縮したお味噌汁を昴と美鈴以外から頂いたのは、これが初めてだったのである。
「お味噌汁はお代わり一回まで無料だから、後で一緒に行こう。眠留、良かったら次は冷奴を食べてみて」
真山に促されるまま冷奴を口に含んだ。誇張抜きで頬が落ちそうになった。これ、美鈴どころか昴の冷奴より美味しいんですけど!
「眠留が今食べた冷奴は、湖校の近くに店を構えている職人さんが、今朝作った豆腐。朝六時に出来上がった豆腐を、俺らは何と、朝七時に食べさせて貰っているんだよ」
「薬味も周囲の農家で今朝採れたものだし、おまけにポン酢も調理師さんの手作り。八つの寮の半分は常に和食の朝ごはんだからこそできる、贅沢だな」
この豆腐は数が足らずお昼の食堂に出せないため、湖校でこの豆腐を食べられるのは寮生の特権なのだと言う。そう解説されるも、お箸を止める事がどうしてもできなかった僕は、半丁の豆腐をまたもや無言で一気に平らげてしまった。
その次の茄子とピーマンの胡麻味噌炒めも、野菜の火加減と胡麻味噌の風味が絶妙過ぎて一度で平らげた僕に、二人は再び肩を震わせた。我ながら不躾だとさすがに反省し、その後はお惣菜とお米をバランスよく食べるよう心掛けた。
のだけど、
「たっ、卵かけご飯が美味し過ぎるんですけど!」
お代わり一回目を牡蠣醤油の卵かけご飯にした僕は、その美味しさに悶絶した。二人によると、近くの養鶏場で今朝産まれた卵ご飯専用の卵を、今僕は食べているのだと言う。小学校の社会科見学で隣の市の巨大養鶏場を見学したことを思い出し、養鶏場の人達へ僕は胸中手を合わせた。
ご飯の追加料金はお代わり四回目からだったので二回目も卵ご飯にして、三回目を納豆と海苔と味噌汁でしめた。味と量はもちろん、空になったお椀を手に持ち近づくだけで新しいご飯やお味噌汁をニッコリ差し出してくれるお代わりロボットも大変興味深く、僕は大満足した。お蔭でトレーを返却する際、「ごちそうさまでした」と調理師の皆さんに心から言うことができた。返却口にいた調理師さんは、顔をくしゃくしゃにして喜んでくれた。
四階の十七号室に戻り、簡単な掃除をした。畳と床だけなので五分とかからず掃除を終え、トイレと歯磨きを済ませ制服に着替えている最中、閃きがふと口から出た。
「女子寮はトイレが小さいぶん、洗面スペースが広いんじゃないかな」
正解と声を揃え、二人は僕の背中をしきりと叩いた。その音に、教育AIの呼び出し音が重なる。まさかこのネタは罰則対象だったのでは、とギョッとする僕の眼前に、僕だけに見える2D画面が浮かび上がった。半ば涙目で目を通すと、そこにはこんなことが書かれていた。
「那須夏奈さんと大和幸さんが、できれば一緒に登校したいと言っているわ。眠留はどうかしら?」
食堂の光景の意味に今更ながら気づき、胸に針が刺さる。僕は3Dキーボードに十指を走らせた。
「新忍道サークルの練習場に僕が寄るつもりでいる事と、猛と真山が一緒でも構わないかを、那須さんと大和さんに尋ねてください」
十秒とかからず、どちらもOKの返信が来た。一連のやり取りをアイに映してもらい、二人に詫びる。
「二人の承諾を得ないまま、こういうやり取りをした。先約があるなら、遠慮なくそちらを優先してね」
猛と真山は同じ表情と同じ口調で、同じ趣旨のことを言った。
「兜さんは今朝、食堂に現れなかった。俺達に先約はないし、あってもこっちを優先するから安心しろ」と。
二人へ謝意を伝えると同時に、真山が3Dキーボードに指を走らせた。ほどなく教育AIから、僕ら五人が男子昇降口前で自然に出会うための計画が送られて来た。僕らは出発の準備をすべて整え、アイの知らせを待った。
一分と経たず、部屋出発のカウントダウンが宙に映し出された。三人でドアの前に集合し、カウントゼロで真山がドアノブに手を掛ける。真山、猛、僕の順で、僕らは十七号室を後にした。
一年生も二年生もいない廊下を経て、無人の階段を下りる。誰にも会わぬまま昇降口に着き、下駄箱から靴を取り出す。十秒後に昇降口のドアを潜るよう2D表示が出て少し焦るも、真山と猛が会話を振って来たのでそれに応じた。「寮はどうだった」「最高だったに決まってるじゃんか」と演技の必要のない話題に盛り上がりつつドアを潜ったところで、
「あ、噂の一日寮生だ」
「三人は本当に仲がいいのね。みなさん、おはおう」
女子の先輩方に混ざって歩いていた那須さんと大和さんが僕らに声を掛けた。一緒にいた先輩方は大人としか思えないお姉さん達だったから、きっと六年生だったのだろう。一年の男子三人へ優しげに微笑むだけで話しかけてくる人はおらず、先輩方のみで会話を始めた。よって僕ら男子三人は、日常会話に偽装した重要案件を切り出すことができた。
「あれ、兜さんはどうしたの?」
陸上部の話題に絡めて訊いた猛へ、感謝をほんのりにじませた顔を那須さんは向けた。
「そうだ龍造寺君。将子は今日、ちょっと体調が悪いみたいで学校を休むの。部活も無理だろうから、心に留めておいてくれるかな」
「大事はないの?」「ほんの軽い不調みたい」「了解、先輩に訊かれたらそう答えておくよ」
同じ陸上部員として二人は普通に会話を進めてゆく。次いで真山が、これまた何気なく大和さんに話しかけた。
「大和さんは兜さんに会った?」「はっ、はい会いました」「ええっと大和さん、そんなに緊張しないで欲しいんだけど」「しっ、失礼いたしました!」
真山に好意を寄せているのがバレバレの大和さんのお蔭で、もとい大和さんのファインプレーのお蔭で、場が一気に和む。それに乗っかり、僕は那須さんへ話しかけた。
「小さい頃からずっと一緒に育った那須さんがそう言うのだから、心配ないんだろうね」
「私は大丈夫なのにあなたが俯いてどうするのって、さっき将子から叱られちゃったの。だからわたし将子のためにも、今日は元気でいようって決めたんだ」
今日は何があっても学校で俯くまいという誓いを、那須さんは僕にハキハキ伝えた。
僕も同じだよ、那須さんのメッセージはしっかり受け取ったからね、という想いを込め、僕は那須さんに笑顔で頷いたのだった。
とのやり取りを、第五寮と第六寮に差しかかる寸前で終えられたのだから、兜さんがいない理由を那須さんに負担を掛けず教えてもらうという当初の目的を、男子三人は達成したと言えるだろう。なぜならその後、僕らのグループは人数を順次増やしていき、そしてそのグループの男女数の違いが、兜さんの話題を絶対切り出せない状況を造り上げたからだ。
教育AIに助けてもらい、第八寮と第七寮の友人知人に会うことなく僕らはここまで歩いて来た。しかし第五寮と第六寮からはさすがにそうもいかず、以降は六つの寮に住む陸上部とサッカー部の友人と、そしてその友人達が僕らに次々合流していった。二つの部で仲良くなった奴らが積極的に話しかけてくれたお陰で、面識のない人達ともすぐ打ち解け、寮エリアを出る頃にはなんとも賑やかなグループが出来あがっていた。しかしそれは三人から二十人に増加した男子のみに当てはまることであり、二人が四人に増えただけの女子の方は、意識して普通に振る舞っている空気を拭えないでいた。大和さんの友人が新たに二人加わっただけで、それ以外の女子は、誰も加わってこなかったのである。
寮エリア縦断道を歩いている最中、真山を見かけた幾人もの女の子が真山に声を掛けようとした。だが同じグループに那須さんがいると知るや、彼女達は皆それを躊躇った。大和さんと同じ部活の二人の女の子だけが、透明なその壁を乗り越え、僕らのグループにやって来たのだ。しかも彼女達は初対面の那須さんときちんと挨拶を交わし、打ち解けた雰囲気を作ろうと努力していた。大和さんの二人の友人は、まこと賞賛すべき勇気の持ち主だったのである。
那須さんもそれに応えようと、一生懸命普通さを装っていた。四人のその振る舞いは胸に迫るものがあり、僕は男子達と盛り上がりつつも、心の一部を割き彼女達の会話に耳を傾けていた。その甲斐あって、第一グラウンドを望む坂道を下っている最中、彼女達の会話に入るきっかけを僕は見つけることができた。
「大和さん、剣筋を通す感覚は竹刀でやるより、木刀をゆっくり動かした方が得られやすいと思うよ」
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