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三章
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七月二十日、午前九時五十分。
場所は、道場へ通じる坂道。
この神社は小さな山を中心に、半径600メートルをその境内としている。小さな山の頂上には道場が建てられており、その道場へ続く急勾配の坂道の入り口から、末吉の声がかかった。
「準備はできたかにゃ、眠留」
「あと少し、最後の一台をここに置いて動作確認をして」
四台のハイ子の準備を終えた僕は、末吉へ合図を送った。
「よし、準備完了だ。末吉、いつでもいいよ!」
「了解にゃ。二か月間の練習の成果を、見せてやるにゃ!」
末吉は頭を地面に近づけ前傾姿勢をとる。そして突き上げたお尻をブルブル震わせると、弾丸のように坂道を駆け上がり始めた。高等哺乳類の中で最も速筋比率の高い猫がその能力を振り絞ったスピードの、なんと速いことか。茶虎の弾丸と化した末吉が、足音の立たない無音走行で僕の前を駆け抜けてゆく。蝉の声に隠れ微かに聞こえた風切音がなければ、音声オフの3D映像と錯覚してしまうほどの未知の走りを、末吉は獲得したのだった。
坂道を上り切った先、道場横の木陰に身を横たえていた末吉が、走り寄る僕へ首をもたげた。
「どうだったかにゃ?」
まだ全身で息をしているから頭を持ち上げるだけでも気力を要するだろうに、末吉はその端正な小顔を真っ直ぐこちらに向け、計測結果を尋ねたのである。誇り高い友の前で片膝着き、僕は敬意を込め告げた。
「速さは二か月前の二割増し。にもかかわらず、足音は二か月前の十分の一しかなかった。素晴らしい成果だ。やったな、末吉」
「やったにゃ」
一言そう呟き、末吉はパタンと頭を下ろす。そして満面の笑みを浮かべ、眠りの世界へ去って行った。
そんな友の眠りを妨げぬよう、僕はそっと立ち上がり道場へ向かった。
道場の入り口で靴を脱ぎ、一礼して中に入る。入るなり、遥か眼下に雲海を望む高峰の頂にいるが如き空気に包まれ、僕は目を閉じ立ち止まった。そして、
――精霊猫の白と昴は、やはり気性が似ているな
改めてそう感じた。精霊猫は色に準じる個性を持つからか、同じ神通力を使っても結果に微妙な違いが出る。清冽かつ凄烈な個性を有する精霊猫の白は、星の雫たる昴に似ている気がかねてよりしていた。その白が、試験に臨む昴のために清浄な空気で道場を満たしてくれたのだから、昴のパートナーはきっと白なんだろうな。なんて考えつつ、僕は目を開け昴を探す。昴は道場南西の隅に正座し、黙想していた。その邪魔をせぬよう、僕は反対の方角へ足を忍ばせる。けどすかさず、
「眠留、待っていたよ」
昴に呼び止められてしまった。この幼馴染を誤魔化せる訳なかったのだと観念し、僕は声の方へ歩を進めた。
「昴の基本動作を僕はぜひ見たかったんだ。一応僕が、基本動作を教えたって事になってるしね」
「一応どころか、私に翔刀術を教えてくれた先生はあなたよ。だから私、眠留を待っていたの。練習の成果を、先生に見てもらいたかったから」
隣に腰を下ろした僕へ、昴は柔らかな笑みを投げかける。コイツのことだから緊張で硬くなっているとは思っていなかったが、さすが百戦錬磨といった処だろうか。心にも体にも、強張りが微塵も感じられないその姿に、昴の試験合格を僕は確信した。まあこの破格の女性が落ちるなんてこと、最初から無いんだけどさ。
「そんなこと無いわ。だって私、とても気にかかっている事があるから」
しかし昴は、試験への不安を口にした。
「ん? なにその気にかかっていることって」
「それは、その・・・」
途中で言葉を濁し、昴は身を硬くする。というか、頬を紅く染めモジモジしていた。コイツの肌の透明感は半端ないから、こうなるとホント鮮やかな紅に染まるよなあ、なんて感心している場合ではないことに遅ればせながら気づいた僕は、繊細な表情を浮かべる幼馴染に、なるべく砕けた調子で話しかけた。
「今でも後でもいいから、気になることがあったら何でも言ってね」
昴は肩に力を込め、俯いたまま答えた。
「うん、わかった。気になるから今訊く。ええっと眠留、あのね」
「うん、なに」
「・・・・・どの星なの?」
「へ、星?」
「ほ、星の雫の星よ。いつまで経っても眠留ったら教えてくれないじゃない」
「ええっっ、星の雫って僕、口にしたっけ??」
昴は瞼をぎゅっと閉じ、袴の上に揃えた手を握りしめた。
「口にしなくても、あなた会議室でそう思ったし、私が離れを使うようになってからずっと思ってたし、今だって道場に入って来るなりそう思ったじゃない」
「ど、どひゃあ」
どひゃあと言う以外、一体なにができただろう。あまりの筒抜け振りに、いつものお約束の、頭を抱えて床に激突することすら僕にはできなかったのである。だが試験開始時刻が迫っていることを思い出し、星の雫に関する記憶を僕は探った。すると不意に、かなたに輝く星々を目指し常闇の洞窟を歩く光景が、脳裏を駆け抜けた。閃きを得て、その記憶を探ってみる。いや違う、僕は記憶を探ったのではない。二人で実際にそうしてきた数千年分の記憶を、僕は呼び覚ましたのだ。
島々の浮かぶ青い海と岩山に挟まれた荒れ地を、姉弟で耕し続けた日々。
文明の中心地たる巨大な古代都市で、ウェスタの巫女との友情を姉弟で育んだ日々。
キャラバン隊の一員として、どこまでも続く草原を馬に乗り二人で駆けた日々。
草原の道が貫く様々な地域に生まれ、様々な文化と宗教を学んでいった日々。
その道の東の果てに世界帝国が誕生するのを、仲間たちと共に陰から支えた日々。
千年ぶりに再会した道教の少女と、千年後の再会を三人で約束した日々。
その地を離れ二人で海を渡り、新天地の島国で共に過ごした日々。
そして再会の日のため、姉弟二人で切磋琢磨した日々。
地球最大の大陸を数千年かけ西から東へ移動し、更に海を越えたこの日いずる国で、最も近しい家族として共に過ごして来た無数の日々が、積層化した時間の中で僕を貫き、消える。
それは意識した時には跡形もなく消え去っていたが、余韻だけは微かに残っていた。それを胸に僕は告げる。
「数千年に渡り僕を導いてくれた星。その星の名は、すばる。昴は、昴の雫だ」
「ありがとう、これで心置きなく試験に臨めるわ。眠留、見ていてね」
昴はすくっと立ち上がり、道場中央へ進み出る。
道場北面の神棚を背に、光り輝く十二匹の精霊猫が降臨する。
十分後。
昴は見事、翔刀術の基本動作試験に、合格したのだった。
翔人見習いとなった昴がまず向かったのは、宝物庫だった。鎌倉時代から続く猫将軍家には、魔想戦用の薙刀が道場裏の宝物庫に四振り保管されている。そのうちの一つ、江戸時代に造られた女薙刀が昴の手に馴染んだ。手にした瞬間、生き別れになっていた相棒にやっと再会できた感覚が体を駆け抜けたと、昴は話している。
この薙刀は神社の奉納品として登録してあるからこの道場で用いるぶんには届け出は必要ないが、御両親が銃刀法に基づき許可を得れば、昴の家に持って行ってもかまわないと祖父が言った。約一か月前の六月中旬、昴は自宅の庭に直径12メートル高さ6メートルの円柱型道場を建て終えていたので、祖父が気を利かせたのである。今は未熟者ですが将来自宅で翔人の訓練を行うようになったら有難くお借りしますと、昴は祖父の厚意を快く受けたのだった。
ちなみに昴は両親へ新しいAICAをプレゼントし、両親のおさがりを自分のAICAにしたそうだが、道場建設費用と新車購入費用を合わせても、貯蓄は2%も減らなかったと言う。いやはや、なんとも規格外な女の子だ。
規格外はもう一つある。それは昴が、伊勢総本家の翔薙刀術を学ぶよう水晶に勧められた事。今回の件で初めて知ったのだけど、水晶は伊勢総本家の重鎮でもあるらしく、特に薙刀では鎌倉時代の技を直接受け継ぐ唯一の陽晶として、最高師範を務めているのだそうだ。
「日いずる国で魔想との戦いに用いられる全ての武器に精通せねば、月晶(翔描等)は陽晶(精霊猫等)になれぬ。それゆえ伊勢総本家では、全国各地から集まった大勢の月晶が、陽晶になるべく修行に励んでいる。儂はその月晶らを教えるだけで、人の弟子は滅多に取らぬのだが、数百年ぶりに人の弟子を取ろうと思うたのじゃ。汝、天川昴よ。儂の弟子にならぬか?」
しかし昴は、眼前に広げられたその破格の待遇に難色を示した。怪訝な目を向ける水晶へ、彼女は凛と言った。
「輝夜が望むなら、輝夜も一緒に学ぶことを、お許し願えませんか」
よくぞ申した、と水晶は小さな顔を隅から隅まで使い、相好をくずしたのだった。
それが、今日の午前十一時半の話。水晶の許可を得て昴がすぐさまメールを出すと、昴の予見どおりその四十五分後、袴姿の輝夜さんが息を切らせて道場に現れた。正午に部活を終え清掃当番でもなかった輝夜さんは、メールを読むなり更衣室を飛び出し、道場へ一気に駆けて来たのである。昴の用意した氷水タオルで汗を止め、呼吸を沈め居住まいを正し正座して、輝夜さんは感謝の言葉と、昴と共にぜひ自分も翔薙刀術を学ばせてくださいと水晶へ伝えた。水晶は大きく頷き、人の弟子二名を五百年ぶりに持つことを道場の神棚へ誓う。
二人の修行は、その日の午後二時から始まったのだった。
場所は、道場へ通じる坂道。
この神社は小さな山を中心に、半径600メートルをその境内としている。小さな山の頂上には道場が建てられており、その道場へ続く急勾配の坂道の入り口から、末吉の声がかかった。
「準備はできたかにゃ、眠留」
「あと少し、最後の一台をここに置いて動作確認をして」
四台のハイ子の準備を終えた僕は、末吉へ合図を送った。
「よし、準備完了だ。末吉、いつでもいいよ!」
「了解にゃ。二か月間の練習の成果を、見せてやるにゃ!」
末吉は頭を地面に近づけ前傾姿勢をとる。そして突き上げたお尻をブルブル震わせると、弾丸のように坂道を駆け上がり始めた。高等哺乳類の中で最も速筋比率の高い猫がその能力を振り絞ったスピードの、なんと速いことか。茶虎の弾丸と化した末吉が、足音の立たない無音走行で僕の前を駆け抜けてゆく。蝉の声に隠れ微かに聞こえた風切音がなければ、音声オフの3D映像と錯覚してしまうほどの未知の走りを、末吉は獲得したのだった。
坂道を上り切った先、道場横の木陰に身を横たえていた末吉が、走り寄る僕へ首をもたげた。
「どうだったかにゃ?」
まだ全身で息をしているから頭を持ち上げるだけでも気力を要するだろうに、末吉はその端正な小顔を真っ直ぐこちらに向け、計測結果を尋ねたのである。誇り高い友の前で片膝着き、僕は敬意を込め告げた。
「速さは二か月前の二割増し。にもかかわらず、足音は二か月前の十分の一しかなかった。素晴らしい成果だ。やったな、末吉」
「やったにゃ」
一言そう呟き、末吉はパタンと頭を下ろす。そして満面の笑みを浮かべ、眠りの世界へ去って行った。
そんな友の眠りを妨げぬよう、僕はそっと立ち上がり道場へ向かった。
道場の入り口で靴を脱ぎ、一礼して中に入る。入るなり、遥か眼下に雲海を望む高峰の頂にいるが如き空気に包まれ、僕は目を閉じ立ち止まった。そして、
――精霊猫の白と昴は、やはり気性が似ているな
改めてそう感じた。精霊猫は色に準じる個性を持つからか、同じ神通力を使っても結果に微妙な違いが出る。清冽かつ凄烈な個性を有する精霊猫の白は、星の雫たる昴に似ている気がかねてよりしていた。その白が、試験に臨む昴のために清浄な空気で道場を満たしてくれたのだから、昴のパートナーはきっと白なんだろうな。なんて考えつつ、僕は目を開け昴を探す。昴は道場南西の隅に正座し、黙想していた。その邪魔をせぬよう、僕は反対の方角へ足を忍ばせる。けどすかさず、
「眠留、待っていたよ」
昴に呼び止められてしまった。この幼馴染を誤魔化せる訳なかったのだと観念し、僕は声の方へ歩を進めた。
「昴の基本動作を僕はぜひ見たかったんだ。一応僕が、基本動作を教えたって事になってるしね」
「一応どころか、私に翔刀術を教えてくれた先生はあなたよ。だから私、眠留を待っていたの。練習の成果を、先生に見てもらいたかったから」
隣に腰を下ろした僕へ、昴は柔らかな笑みを投げかける。コイツのことだから緊張で硬くなっているとは思っていなかったが、さすが百戦錬磨といった処だろうか。心にも体にも、強張りが微塵も感じられないその姿に、昴の試験合格を僕は確信した。まあこの破格の女性が落ちるなんてこと、最初から無いんだけどさ。
「そんなこと無いわ。だって私、とても気にかかっている事があるから」
しかし昴は、試験への不安を口にした。
「ん? なにその気にかかっていることって」
「それは、その・・・」
途中で言葉を濁し、昴は身を硬くする。というか、頬を紅く染めモジモジしていた。コイツの肌の透明感は半端ないから、こうなるとホント鮮やかな紅に染まるよなあ、なんて感心している場合ではないことに遅ればせながら気づいた僕は、繊細な表情を浮かべる幼馴染に、なるべく砕けた調子で話しかけた。
「今でも後でもいいから、気になることがあったら何でも言ってね」
昴は肩に力を込め、俯いたまま答えた。
「うん、わかった。気になるから今訊く。ええっと眠留、あのね」
「うん、なに」
「・・・・・どの星なの?」
「へ、星?」
「ほ、星の雫の星よ。いつまで経っても眠留ったら教えてくれないじゃない」
「ええっっ、星の雫って僕、口にしたっけ??」
昴は瞼をぎゅっと閉じ、袴の上に揃えた手を握りしめた。
「口にしなくても、あなた会議室でそう思ったし、私が離れを使うようになってからずっと思ってたし、今だって道場に入って来るなりそう思ったじゃない」
「ど、どひゃあ」
どひゃあと言う以外、一体なにができただろう。あまりの筒抜け振りに、いつものお約束の、頭を抱えて床に激突することすら僕にはできなかったのである。だが試験開始時刻が迫っていることを思い出し、星の雫に関する記憶を僕は探った。すると不意に、かなたに輝く星々を目指し常闇の洞窟を歩く光景が、脳裏を駆け抜けた。閃きを得て、その記憶を探ってみる。いや違う、僕は記憶を探ったのではない。二人で実際にそうしてきた数千年分の記憶を、僕は呼び覚ましたのだ。
島々の浮かぶ青い海と岩山に挟まれた荒れ地を、姉弟で耕し続けた日々。
文明の中心地たる巨大な古代都市で、ウェスタの巫女との友情を姉弟で育んだ日々。
キャラバン隊の一員として、どこまでも続く草原を馬に乗り二人で駆けた日々。
草原の道が貫く様々な地域に生まれ、様々な文化と宗教を学んでいった日々。
その道の東の果てに世界帝国が誕生するのを、仲間たちと共に陰から支えた日々。
千年ぶりに再会した道教の少女と、千年後の再会を三人で約束した日々。
その地を離れ二人で海を渡り、新天地の島国で共に過ごした日々。
そして再会の日のため、姉弟二人で切磋琢磨した日々。
地球最大の大陸を数千年かけ西から東へ移動し、更に海を越えたこの日いずる国で、最も近しい家族として共に過ごして来た無数の日々が、積層化した時間の中で僕を貫き、消える。
それは意識した時には跡形もなく消え去っていたが、余韻だけは微かに残っていた。それを胸に僕は告げる。
「数千年に渡り僕を導いてくれた星。その星の名は、すばる。昴は、昴の雫だ」
「ありがとう、これで心置きなく試験に臨めるわ。眠留、見ていてね」
昴はすくっと立ち上がり、道場中央へ進み出る。
道場北面の神棚を背に、光り輝く十二匹の精霊猫が降臨する。
十分後。
昴は見事、翔刀術の基本動作試験に、合格したのだった。
翔人見習いとなった昴がまず向かったのは、宝物庫だった。鎌倉時代から続く猫将軍家には、魔想戦用の薙刀が道場裏の宝物庫に四振り保管されている。そのうちの一つ、江戸時代に造られた女薙刀が昴の手に馴染んだ。手にした瞬間、生き別れになっていた相棒にやっと再会できた感覚が体を駆け抜けたと、昴は話している。
この薙刀は神社の奉納品として登録してあるからこの道場で用いるぶんには届け出は必要ないが、御両親が銃刀法に基づき許可を得れば、昴の家に持って行ってもかまわないと祖父が言った。約一か月前の六月中旬、昴は自宅の庭に直径12メートル高さ6メートルの円柱型道場を建て終えていたので、祖父が気を利かせたのである。今は未熟者ですが将来自宅で翔人の訓練を行うようになったら有難くお借りしますと、昴は祖父の厚意を快く受けたのだった。
ちなみに昴は両親へ新しいAICAをプレゼントし、両親のおさがりを自分のAICAにしたそうだが、道場建設費用と新車購入費用を合わせても、貯蓄は2%も減らなかったと言う。いやはや、なんとも規格外な女の子だ。
規格外はもう一つある。それは昴が、伊勢総本家の翔薙刀術を学ぶよう水晶に勧められた事。今回の件で初めて知ったのだけど、水晶は伊勢総本家の重鎮でもあるらしく、特に薙刀では鎌倉時代の技を直接受け継ぐ唯一の陽晶として、最高師範を務めているのだそうだ。
「日いずる国で魔想との戦いに用いられる全ての武器に精通せねば、月晶(翔描等)は陽晶(精霊猫等)になれぬ。それゆえ伊勢総本家では、全国各地から集まった大勢の月晶が、陽晶になるべく修行に励んでいる。儂はその月晶らを教えるだけで、人の弟子は滅多に取らぬのだが、数百年ぶりに人の弟子を取ろうと思うたのじゃ。汝、天川昴よ。儂の弟子にならぬか?」
しかし昴は、眼前に広げられたその破格の待遇に難色を示した。怪訝な目を向ける水晶へ、彼女は凛と言った。
「輝夜が望むなら、輝夜も一緒に学ぶことを、お許し願えませんか」
よくぞ申した、と水晶は小さな顔を隅から隅まで使い、相好をくずしたのだった。
それが、今日の午前十一時半の話。水晶の許可を得て昴がすぐさまメールを出すと、昴の予見どおりその四十五分後、袴姿の輝夜さんが息を切らせて道場に現れた。正午に部活を終え清掃当番でもなかった輝夜さんは、メールを読むなり更衣室を飛び出し、道場へ一気に駆けて来たのである。昴の用意した氷水タオルで汗を止め、呼吸を沈め居住まいを正し正座して、輝夜さんは感謝の言葉と、昴と共にぜひ自分も翔薙刀術を学ばせてくださいと水晶へ伝えた。水晶は大きく頷き、人の弟子二名を五百年ぶりに持つことを道場の神棚へ誓う。
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