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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第91話 なぜ生きている?
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「セイ・ユメミ…… 残念だったわね。あたくし復活しましてよ」
ハマリエルは前回のときよりもさらに力を増しているように感じた。ハマリエルは手にしたロングソードをふりかざした。
「それに、今度はあらたに武器も手に入れた…… あたくしにまとわりつく、うざったい虫をはたき落とすためにネ」
「おまえの武器が近接戦向きじゃないとわかったからだろ?」
「まさか。二人がかりでちょっと油断しただけよ」
セイはすっかりと以前の姿に戻っているハマリエルを睨みつけたまま訊いた。
「なぜ、生きている? 首を刎ねたら、おまえたちは死ぬはずだ」
「そう。ふつうならね。だけど、このアガレスが寸前で時間を巻き戻したの」
「ハマリエル様、ほんとうにぎりぎりのタイミングでした」
「そう、危なかったわ。瞬きする時間くらいしか猶予はなかったんだから。あたしってほんとうに悪運がつよいったらないわ」
「だったら、もう一回刎ねてやる。今度は瞬きする時間すら与えないっ!」
「あーら、威勢がよいこと。あのイケメンオジの協力なしで、あたくしに勝てるとお思い? あたくしは黄道十二宮のハマリエルですのよ」
「一度は倒したんだ。もう一回だって倒せる」
------------------------------------------------------------
ハマリエルはいきなり五指の先からビームを放ってきた。
セイはその攻撃を読んでいたので、自分の前に瞬時にして刀のバリアをはりめぐらせてそれをはね返した。
「あら、バレバレだったかしら」
「あぁ。憐れなほどにね」
ハマリエルはその返事が気に入らなかったらしく、これ以上ないほど不機嫌な表情でにらみつけてきた。
「そのへらず口を血だらけにして……」
セイはその脅し文句を最後まで言わせなかった。ロケット弾のように中空へ飛び出すと、その勢いのままハマリエルの首筋めがけて、刀剣をふるった。
よけると踏んでいたが、意外にもハマリエルは手にした剣でセイの剣を受けとめてきた。
「ざんねーん」
「あたらしいオモチャを使って見たかっただけだろ」
刃先同士がかみあったまま、セイは剣をハマリエル側に押し込んだ。
「あら、あなた空中に浮いたままでいられるの?」
「いいや。自分のからだを浮かせたままなんて、力の浪費はしちゃいないさ」
「じゃあ、どうして?」
そう言いながらハマリエルがセイの足元をちらりと見た。ハマリエルはセイの足裏に浮かせた数本の刀が、足場のように組まれているのを目撃したはずだった。
セイはその一瞬を見逃さなかった。
自分の背後の空間へ黒い穴を現出させると、そこから刀剣を一気に前方へ射掛けられた。
その数100本以上。
至近距離から弓矢のように放たれた刀剣を、ハマリエルはよけきれなかった。セイも鍔迫り合いをしたまま、ハマリエルの動きを封じてよけさせなかった。
ぐじゅぐじゅ、っという鈍い打撃音。
目の前のハマリエルに数十本の刀剣が突き刺さっていた。
こんなのでやられるヤツじゃない——
ハマリエルは前回のときよりもさらに力を増しているように感じた。ハマリエルは手にしたロングソードをふりかざした。
「それに、今度はあらたに武器も手に入れた…… あたくしにまとわりつく、うざったい虫をはたき落とすためにネ」
「おまえの武器が近接戦向きじゃないとわかったからだろ?」
「まさか。二人がかりでちょっと油断しただけよ」
セイはすっかりと以前の姿に戻っているハマリエルを睨みつけたまま訊いた。
「なぜ、生きている? 首を刎ねたら、おまえたちは死ぬはずだ」
「そう。ふつうならね。だけど、このアガレスが寸前で時間を巻き戻したの」
「ハマリエル様、ほんとうにぎりぎりのタイミングでした」
「そう、危なかったわ。瞬きする時間くらいしか猶予はなかったんだから。あたしってほんとうに悪運がつよいったらないわ」
「だったら、もう一回刎ねてやる。今度は瞬きする時間すら与えないっ!」
「あーら、威勢がよいこと。あのイケメンオジの協力なしで、あたくしに勝てるとお思い? あたくしは黄道十二宮のハマリエルですのよ」
「一度は倒したんだ。もう一回だって倒せる」
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ハマリエルはいきなり五指の先からビームを放ってきた。
セイはその攻撃を読んでいたので、自分の前に瞬時にして刀のバリアをはりめぐらせてそれをはね返した。
「あら、バレバレだったかしら」
「あぁ。憐れなほどにね」
ハマリエルはその返事が気に入らなかったらしく、これ以上ないほど不機嫌な表情でにらみつけてきた。
「そのへらず口を血だらけにして……」
セイはその脅し文句を最後まで言わせなかった。ロケット弾のように中空へ飛び出すと、その勢いのままハマリエルの首筋めがけて、刀剣をふるった。
よけると踏んでいたが、意外にもハマリエルは手にした剣でセイの剣を受けとめてきた。
「ざんねーん」
「あたらしいオモチャを使って見たかっただけだろ」
刃先同士がかみあったまま、セイは剣をハマリエル側に押し込んだ。
「あら、あなた空中に浮いたままでいられるの?」
「いいや。自分のからだを浮かせたままなんて、力の浪費はしちゃいないさ」
「じゃあ、どうして?」
そう言いながらハマリエルがセイの足元をちらりと見た。ハマリエルはセイの足裏に浮かせた数本の刀が、足場のように組まれているのを目撃したはずだった。
セイはその一瞬を見逃さなかった。
自分の背後の空間へ黒い穴を現出させると、そこから刀剣を一気に前方へ射掛けられた。
その数100本以上。
至近距離から弓矢のように放たれた刀剣を、ハマリエルはよけきれなかった。セイも鍔迫り合いをしたまま、ハマリエルの動きを封じてよけさせなかった。
ぐじゅぐじゅ、っという鈍い打撃音。
目の前のハマリエルに数十本の刀剣が突き刺さっていた。
こんなのでやられるヤツじゃない——
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