913 / 935
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第79話 なぁに まだ死んでなかったの?
しおりを挟む
セイは前に出ようとしたが、今度はハマリエルの左手からビームが撃ち込まれ、さらに後方へとよけることになった。
「近づけさせないわよ。あたくしは遠い距離のほうが有利なの。きさまなぞ、近づけなければなにもできないわ」
セイはからだの前で刀をぐっと身構え、ハマリエルとの距離をはかった。
学校のプールほどの距離感がある。最低でも25メートルは離れてしまったとみるべきだろうか? 不意打ちをくらって思った以上に後退させられていることがわかっ
「そんなに離れちゃあ、届かないでしょ」
ハマリエルが薄ら笑いを浮かべながら、左手をもちあげてセイのほうへむけようとした。ジル・ド・レやラ・イールはハマリエルの背後に回り込んでいたが、満腔から放たれている異様な邪気にからだがすくんでいるのか、身動きできずにいる。
が、その左腕がぴたりととまった。
リアムだった。
瀕死のリアムがハマリエルの左腕を上から押さえつけていた。
「なぁに まだ死んでなかったの?」
「ああ、おまえさんのような、性悪女を置いてひとりで逝けるわけないだろ。道連れにするさ」
「道連れ? ふざけないでよね」
ハマリエルがリアムの腹を貫いている右腕を引き抜こうとした。が、リアムはその手をがっちりと抑え込んで離さなかった。
「ちょ、ちょっとぉ、離しなさいよ」
「そうはいかない」
リアムはさらに腕に力をこめる。
「セイ! やれ!」
リアムが叫んだ。
セイはくちびるをぐっと噛みしめた。
すでに余力など残っていないはずなのに……
セイは刀を横に寝かせると、その柄に力をこめた。
「は、セイ、近づけさせやしないわよ」
セイが刀を横におおきく振る。
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
刀身が伸びる。
伸びる! 伸びる! 伸びる!
「このクソトラウマぁぁぁ、貴様を浄化してやるぅぅぅぅ」
ゆうに30メートルを超えるほどに伸びた刀身が、自分のほうへ迫ってくるのをみてハマリエルがうろたえた。
「ちょ、ちょっと……そんな」
必死でリアムのからだから腕を引き抜こうとあがく。
「この人間、離しなさい!」
「させねぇって言ってンだろ」
「ふざけないで!」
「ふざけるさ。命懸けでな」
「ちょ、待って!」
「遠慮すンな」
「一緒に逝こうぜ」
その瞬間、リアムの頭上ぎりぎりをすずやかな風が吹き抜けた。その風はハマリエルの首元にはぎらついた閃光となってすり抜けていった。
え?
という不思議そうな表情のまま、ハマリエルの頭が刎ね飛んでいた。
ハマリエルは自分の首がからだから切り離されたかも、なにがそうしたのかもわからなかったにちがいなかった。
「近づけさせないわよ。あたくしは遠い距離のほうが有利なの。きさまなぞ、近づけなければなにもできないわ」
セイはからだの前で刀をぐっと身構え、ハマリエルとの距離をはかった。
学校のプールほどの距離感がある。最低でも25メートルは離れてしまったとみるべきだろうか? 不意打ちをくらって思った以上に後退させられていることがわかっ
「そんなに離れちゃあ、届かないでしょ」
ハマリエルが薄ら笑いを浮かべながら、左手をもちあげてセイのほうへむけようとした。ジル・ド・レやラ・イールはハマリエルの背後に回り込んでいたが、満腔から放たれている異様な邪気にからだがすくんでいるのか、身動きできずにいる。
が、その左腕がぴたりととまった。
リアムだった。
瀕死のリアムがハマリエルの左腕を上から押さえつけていた。
「なぁに まだ死んでなかったの?」
「ああ、おまえさんのような、性悪女を置いてひとりで逝けるわけないだろ。道連れにするさ」
「道連れ? ふざけないでよね」
ハマリエルがリアムの腹を貫いている右腕を引き抜こうとした。が、リアムはその手をがっちりと抑え込んで離さなかった。
「ちょ、ちょっとぉ、離しなさいよ」
「そうはいかない」
リアムはさらに腕に力をこめる。
「セイ! やれ!」
リアムが叫んだ。
セイはくちびるをぐっと噛みしめた。
すでに余力など残っていないはずなのに……
セイは刀を横に寝かせると、その柄に力をこめた。
「は、セイ、近づけさせやしないわよ」
セイが刀を横におおきく振る。
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
刀身が伸びる。
伸びる! 伸びる! 伸びる!
「このクソトラウマぁぁぁ、貴様を浄化してやるぅぅぅぅ」
ゆうに30メートルを超えるほどに伸びた刀身が、自分のほうへ迫ってくるのをみてハマリエルがうろたえた。
「ちょ、ちょっと……そんな」
必死でリアムのからだから腕を引き抜こうとあがく。
「この人間、離しなさい!」
「させねぇって言ってンだろ」
「ふざけないで!」
「ふざけるさ。命懸けでな」
「ちょ、待って!」
「遠慮すンな」
「一緒に逝こうぜ」
その瞬間、リアムの頭上ぎりぎりをすずやかな風が吹き抜けた。その風はハマリエルの首元にはぎらついた閃光となってすり抜けていった。
え?
という不思議そうな表情のまま、ハマリエルの頭が刎ね飛んでいた。
ハマリエルは自分の首がからだから切り離されたかも、なにがそうしたのかもわからなかったにちがいなかった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる