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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第77話 ハマリエル腕を取り戻す
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「抜けでたわ!」
ハマリエルが邪悪な笑顔で快哉を叫んだ。と同時にちぎれていた腕がヌッと再生して現われた。
「そして腕を取り戻した」
目の前で不敵な笑みを浮かべるハマリエルに、セイはもう一度切りかかった。
「セイ、10本のビームははじき返せないでしょ!!」
ハマリエルが両方の腕を前に突き出すと、10本のビームをほぼ同時に撃ってきた。
10本のビーム、そしてそのあと連弾で撃ち込まれた数十の攻撃がセイに襲いかかる。数本ものビームがセイのからだの表面を焦がし、幾本かのビームがセイのからだを貫いた。
かはっ!
からだの数ヶ所から血が噴き出すと同時に、セイが喀血した。勢いをうしない、そのまま刃の橋の上に転がり落ちる。
「はん、あたくしが本気を出せば、たかが人間ごとき寄せつけはしないわ」
セイは橋の上でよろよろと立ち上がりながら、剣を身構えた。
『くそう、致命傷はない。だけどダメージは軽くない』
ハマリエルはすぐにたちあがったセイを、さげすんだような目で見ながら言った。
「あら、しぶといのね。でも……おまえはあとで相手してあげる」
いつの間にかハマリエルの視線は、ロワール川の対岸のほうにむけられていた。それがどういう意味なのか、セイはすぐに悟った。
「ジャンヌ!!! 逃げて!!」
セイは叫びながらハマリエルに飛びかかろうと身構えたが、そのときにはハマリエルの姿は目の前から消えうせていた。岸のほうを見る。暗闇のなかで炎のように燃え立つような光が幾筋か走るのが見えた。
セイは足に力をため込んで、おおきくジャンプした。
ジャンヌ・ダルクが倒れていた。何ヶ所か被弾したらしく、甲冑の肩部分と脚のすね当て部分が壊れていた。暗くて見えにくかったが、すくなくとも肩口は怪我をおっているようだった。
「ジャンヌ!」
「セイ様、ご心配なく。急所ははずれております」
セイが近づくと、半身を起こしたリアムが手を前につきだしていた。襲われる瞬間、空気の壁でジャンヌを守ろうとしたのだろう。
だがその空気の層はあまりに薄く、もはや儚げですらあった。
ジャンヌを守ろうとしたのはリアムだけではなかった。リアムの空気の壁の前に立ちはだかるように、ジル・ド・レとラ・イールが剣を構えていた。彼らの甲冑は胴の部分や兜の各部分が損傷していた。
彼らがその身をていして、ジャンヌを守ろうとしたことがわかった。
ハマリエルが邪悪な笑顔で快哉を叫んだ。と同時にちぎれていた腕がヌッと再生して現われた。
「そして腕を取り戻した」
目の前で不敵な笑みを浮かべるハマリエルに、セイはもう一度切りかかった。
「セイ、10本のビームははじき返せないでしょ!!」
ハマリエルが両方の腕を前に突き出すと、10本のビームをほぼ同時に撃ってきた。
10本のビーム、そしてそのあと連弾で撃ち込まれた数十の攻撃がセイに襲いかかる。数本ものビームがセイのからだの表面を焦がし、幾本かのビームがセイのからだを貫いた。
かはっ!
からだの数ヶ所から血が噴き出すと同時に、セイが喀血した。勢いをうしない、そのまま刃の橋の上に転がり落ちる。
「はん、あたくしが本気を出せば、たかが人間ごとき寄せつけはしないわ」
セイは橋の上でよろよろと立ち上がりながら、剣を身構えた。
『くそう、致命傷はない。だけどダメージは軽くない』
ハマリエルはすぐにたちあがったセイを、さげすんだような目で見ながら言った。
「あら、しぶといのね。でも……おまえはあとで相手してあげる」
いつの間にかハマリエルの視線は、ロワール川の対岸のほうにむけられていた。それがどういう意味なのか、セイはすぐに悟った。
「ジャンヌ!!! 逃げて!!」
セイは叫びながらハマリエルに飛びかかろうと身構えたが、そのときにはハマリエルの姿は目の前から消えうせていた。岸のほうを見る。暗闇のなかで炎のように燃え立つような光が幾筋か走るのが見えた。
セイは足に力をため込んで、おおきくジャンプした。
ジャンヌ・ダルクが倒れていた。何ヶ所か被弾したらしく、甲冑の肩部分と脚のすね当て部分が壊れていた。暗くて見えにくかったが、すくなくとも肩口は怪我をおっているようだった。
「ジャンヌ!」
「セイ様、ご心配なく。急所ははずれております」
セイが近づくと、半身を起こしたリアムが手を前につきだしていた。襲われる瞬間、空気の壁でジャンヌを守ろうとしたのだろう。
だがその空気の層はあまりに薄く、もはや儚げですらあった。
ジャンヌを守ろうとしたのはリアムだけではなかった。リアムの空気の壁の前に立ちはだかるように、ジル・ド・レとラ・イールが剣を構えていた。彼らの甲冑は胴の部分や兜の各部分が損傷していた。
彼らがその身をていして、ジャンヌを守ろうとしたことがわかった。
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