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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第71話 人間って愚かね
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その瞬間、5本の指から同時にビームが放たれた。剣先がハマリエルの首元に届くかどうかという近距離。
目の前にハマリエルの顔があった。
5本のビームのうち、一本は服の一部を焦がしたが、一本は剣ではじき飛ばした。だが残り3本がセイのからだを貫いた。一本は側頭部を切り裂き、一本は肩の筋肉を削り取り、最後の一本は胸を貫いた。
セイの口から血が噴き出す。振り抜いた剣は空を切り、セイのからだは真っ逆さまに落ちていく。数メートル落下したところで、ゆっくりとあがってきていた剣の絨緞の上に落ちた。
ぐはっ!
セイはさらに血へどを吐いた。
ハマリエルは満足そうな笑みを浮かべると、ゆっくりとセイに近づいてきた。
「剣の絨緞…… セイ、あなた、ずいぶん大がかりな秘密兵器を隠してたのね」
ハマリエルは足元の絨緞をわざとらしく、ぐっと踏みしめてみせてから言った。
「でもね。こっちもちゃんと秘密兵器を隠してたのよ。油断してたでしょ。片腕しか使えないって。だから5本指全部からビームだせるっていう発想にいきつかなかった」
「ああ……油断した……」
セイはそう言ったが、穴のあいた気管から音がもれて、ひゅーひゅーという音しか出せなかった。
「ホント、人間って愚かね。さ、とどめをささせてもらうわ」
ハマリエルがセイにむけて手をつきだした。
その瞬間、ハマリエルのまわりの剣の絨緞が音もたてずにいっせいに形を解いた。そしてハマリエルのからだに突き刺さった。
「ふーん。そちらも切り札があったのね」
何本もの剣に貫かれたままハマリエルが鼻でわらった。
「でも、何本刺しても無駄よ。首を刎ねない限りね」
ハマリエルはからだ中を貫いている剣を、引き抜こうとして、それが自分のからだをその場所に固定していることに気づいた。刺さった剣の柄部分に別の剣が複雑にひっかかって、その場から動けないようになっていた。
「ははーん、動けなくしたのね。でも肝心のおまえが動けなくなったンじゃあ、意味ないんじゃない?」
セイはゆっくりとからだを起こしながら答えた。
「動……けるさ。動い……てみせ……る」
「無駄ね。わたしは動けなくても、おまえを攻撃できるから」
ハマリエルが五本の指を前に突き出した。
その先からビームが放たれると、ふたたびセイを直撃した。
なんとか剣をふってそのビームをはじき飛ばしたが、セイのからだはさらにうしろ側に吹き飛ばされて、ごろごろと転がっていった。
「あはははは……無様なものね」
セイはからだを起こそうとした。
が、力がはいらなかった。
『くそう。あとすこしだ……もうすこしで仕留められるンだ』
目の前にハマリエルの顔があった。
5本のビームのうち、一本は服の一部を焦がしたが、一本は剣ではじき飛ばした。だが残り3本がセイのからだを貫いた。一本は側頭部を切り裂き、一本は肩の筋肉を削り取り、最後の一本は胸を貫いた。
セイの口から血が噴き出す。振り抜いた剣は空を切り、セイのからだは真っ逆さまに落ちていく。数メートル落下したところで、ゆっくりとあがってきていた剣の絨緞の上に落ちた。
ぐはっ!
セイはさらに血へどを吐いた。
ハマリエルは満足そうな笑みを浮かべると、ゆっくりとセイに近づいてきた。
「剣の絨緞…… セイ、あなた、ずいぶん大がかりな秘密兵器を隠してたのね」
ハマリエルは足元の絨緞をわざとらしく、ぐっと踏みしめてみせてから言った。
「でもね。こっちもちゃんと秘密兵器を隠してたのよ。油断してたでしょ。片腕しか使えないって。だから5本指全部からビームだせるっていう発想にいきつかなかった」
「ああ……油断した……」
セイはそう言ったが、穴のあいた気管から音がもれて、ひゅーひゅーという音しか出せなかった。
「ホント、人間って愚かね。さ、とどめをささせてもらうわ」
ハマリエルがセイにむけて手をつきだした。
その瞬間、ハマリエルのまわりの剣の絨緞が音もたてずにいっせいに形を解いた。そしてハマリエルのからだに突き刺さった。
「ふーん。そちらも切り札があったのね」
何本もの剣に貫かれたままハマリエルが鼻でわらった。
「でも、何本刺しても無駄よ。首を刎ねない限りね」
ハマリエルはからだ中を貫いている剣を、引き抜こうとして、それが自分のからだをその場所に固定していることに気づいた。刺さった剣の柄部分に別の剣が複雑にひっかかって、その場から動けないようになっていた。
「ははーん、動けなくしたのね。でも肝心のおまえが動けなくなったンじゃあ、意味ないんじゃない?」
セイはゆっくりとからだを起こしながら答えた。
「動……けるさ。動い……てみせ……る」
「無駄ね。わたしは動けなくても、おまえを攻撃できるから」
ハマリエルが五本の指を前に突き出した。
その先からビームが放たれると、ふたたびセイを直撃した。
なんとか剣をふってそのビームをはじき飛ばしたが、セイのからだはさらにうしろ側に吹き飛ばされて、ごろごろと転がっていった。
「あはははは……無様なものね」
セイはからだを起こそうとした。
が、力がはいらなかった。
『くそう。あとすこしだ……もうすこしで仕留められるンだ』
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