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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第53話 役立たずは始末します
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「まぁいいですわ。役立たずは始末します」
ハマリエルがくっついたばかりの左腕を後方へむけてふりまわした。その瞬間、ドラゴンの首が根元からスパッと切断された。
悲鳴も咆哮もあげる暇さえなかった。
首からぴゅーぴゅーと勢いよく血柱がたちあがる。
そのとたん、ガクンと足元が揺れ、一気に落下速度が加速しはじめた。
「気でも狂ったか! この高度ならおまえもただじゃ済まんはずだ!」
「ええ。でもわたしは飛べますから」
ハマリエルがチャーミングな笑みをこちらにむけた。背中からバッとおおきな羽根が広がる。
「あなたがたこそ大変じゃなくって? この高さからの落下ですからね」
リアムはセイのほうに目をむけた。
セイは依然として自分の回復に全力をふりむけているようだった。この状況を脱出するためになにかできるとは思えなかった。
「じゃあね。もし生きてたら地上で再会しましょ。生きてたらね……」
バサッと羽根が羽ばたいたかと思うと、ハマリエルは上空に舞いあがっていった。おもわずそれを目で追う。が、重力に任せるまま落下している状態では、あっと言う間にはるか上に遠ざかり見えなくなった。
「くそぅ! どうする?」
空気のぶ厚いクッション——
リアムは地面への激突寸前で、自分が作った空気のクッションを展開する姿を思い描いた。そのシミュレーションではセイを抱えた自分が、ドラゴンの背中から飛び降り、空気の層でうまく受けとめられそうだっだ。
大丈夫だ——
そう思った瞬間、上方に気配を感じた。反射的に空にむけて空気の壁をはる。
ドーン!
雷を思わせる音がして、空気の壁に電撃が激突したのがわかった。その衝撃に空気の壁が端から霧消しはじめたのがわかった。
リアムはふたたび腕を空にむけてつきあげて、空気の壁を厚くする。
そこへ電撃が降り注いできた。
ビシャーン!
今度は鼓膜を破らんばかりの金属的な大音声がして、空気の壁が弾け飛んだ。かろうじて電撃をはね返していたが、真ん中の空気の層がおおきく凹んでいるのがわかる。
なにが、『生きていたら地上で再会しましょう』だ!
リアムはこころのなかで悪態をついた。
そもそも悪魔の言うことを真に受けた自分が甘いのはわかっていたが、まんまと奸計にはめられたのが腹立たしかった。
リアムは薄くなった空気の層をすぐさま修復し、次の攻撃に備えた。
バリバリバリ!!!
今度はなにかを引き裂くような音とともに、電撃が空気の層に襲いかかった。
ハマリエルがくっついたばかりの左腕を後方へむけてふりまわした。その瞬間、ドラゴンの首が根元からスパッと切断された。
悲鳴も咆哮もあげる暇さえなかった。
首からぴゅーぴゅーと勢いよく血柱がたちあがる。
そのとたん、ガクンと足元が揺れ、一気に落下速度が加速しはじめた。
「気でも狂ったか! この高度ならおまえもただじゃ済まんはずだ!」
「ええ。でもわたしは飛べますから」
ハマリエルがチャーミングな笑みをこちらにむけた。背中からバッとおおきな羽根が広がる。
「あなたがたこそ大変じゃなくって? この高さからの落下ですからね」
リアムはセイのほうに目をむけた。
セイは依然として自分の回復に全力をふりむけているようだった。この状況を脱出するためになにかできるとは思えなかった。
「じゃあね。もし生きてたら地上で再会しましょ。生きてたらね……」
バサッと羽根が羽ばたいたかと思うと、ハマリエルは上空に舞いあがっていった。おもわずそれを目で追う。が、重力に任せるまま落下している状態では、あっと言う間にはるか上に遠ざかり見えなくなった。
「くそぅ! どうする?」
空気のぶ厚いクッション——
リアムは地面への激突寸前で、自分が作った空気のクッションを展開する姿を思い描いた。そのシミュレーションではセイを抱えた自分が、ドラゴンの背中から飛び降り、空気の層でうまく受けとめられそうだっだ。
大丈夫だ——
そう思った瞬間、上方に気配を感じた。反射的に空にむけて空気の壁をはる。
ドーン!
雷を思わせる音がして、空気の壁に電撃が激突したのがわかった。その衝撃に空気の壁が端から霧消しはじめたのがわかった。
リアムはふたたび腕を空にむけてつきあげて、空気の壁を厚くする。
そこへ電撃が降り注いできた。
ビシャーン!
今度は鼓膜を破らんばかりの金属的な大音声がして、空気の壁が弾け飛んだ。かろうじて電撃をはね返していたが、真ん中の空気の層がおおきく凹んでいるのがわかる。
なにが、『生きていたら地上で再会しましょう』だ!
リアムはこころのなかで悪態をついた。
そもそも悪魔の言うことを真に受けた自分が甘いのはわかっていたが、まんまと奸計にはめられたのが腹立たしかった。
リアムは薄くなった空気の層をすぐさま修復し、次の攻撃に備えた。
バリバリバリ!!!
今度はなにかを引き裂くような音とともに、電撃が空気の層に襲いかかった。
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