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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第51話 セイはふたたび喀血した
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勢いそのままに振り降ろしたが、なくなった剣先ではハマリエルに届かない。
完全にからぶりになった。セイはそのまま刀を投げ捨てると、振り降ろした先の空間からあたらしい刀を引き抜いた。
そのまま下から上へと剣をはねあげる。
セイの剣の切っ先はハマリエルのからだを下から上へ寸断したはずだった。
まちがいなくそういう軌跡を描いていた。
だが実際にはセイはうしろへはね飛ばされていた。
ガシャンガシャン!
刀身同士がぶつかる金属音が響く。
気づくとセイは自分がリアムのために作っていた刀の防御壁に激突していた。
あわててからだを起こそうとしたが、その途端、セイは口から血を吐いた。
どてっぱらに腹に穴があいていた。どくどくと血が噴きだしている。
かはっ!!
セイはふたたび喀血した。
まずい——
「あら、死ななかったの? ずいぶんメンタルがタフなのね」
ハマリエルの姿がぼやっとしてみえた。
精神集中だ。傷を修復しろ。
セイは頭のなかでありったけのアラートを鳴らした。そして必死で怪我した箇所に精神を集中させた。が、頭がぼうっとして集中ができない。まずは腹への致命傷を修復してから、ほかの箇所をと、わかっていても、精神の集中が散漫になる。
ゆっくりとハマリエルが近づいてくる。
ハマリエルは刀の壁に寄りかかったセイの前までくると、屈みこんでセイの目を覗き込んだ。
「まだ限界じゃなさそうね」
そう言って指先をセイの眉間に押し当てた。
「でも、これでおしまい……」
自分の眉間に押し付けられたハマリエルの指先からビームが放たれようとした瞬間、セイは空中から今の力でだせるだけの剣を中空から呼びだして、ドラゴンの腹にむかって一気に突き立てた。
やわらかい腹を数十本の剣で貫かれて、ドラゴンのからだがおおきく傾いだ。断末魔を思わせる、これまでで一番のおおきな叫びがあがる。
ハマリエルがドラゴンの動きに揺さぶられて、もんどりうってうしろへ転がる。セイの眉間を貫くはずだったビームは、あらぬ方向へと乱れ飛ぶ。
セイはたくみにその隙をついた。
ドラゴンの身体が傾いたのを利用してジャンプすると、ハマリエルの上からのしかかった。
その手に新しい剣が握られていた。ハマリエルのからだへ振り降ろす。
今度は手応えがあった。
セイの剣がハマリエルの左腕を斬り落していた。
「セイ! 頭だ。頭を刎ねないと再生する!」
背後からリアムの声がとんだ。
セイはハッとして、今度は水平に剣を振り抜こうとした。
が、遅かった——
完全にからぶりになった。セイはそのまま刀を投げ捨てると、振り降ろした先の空間からあたらしい刀を引き抜いた。
そのまま下から上へと剣をはねあげる。
セイの剣の切っ先はハマリエルのからだを下から上へ寸断したはずだった。
まちがいなくそういう軌跡を描いていた。
だが実際にはセイはうしろへはね飛ばされていた。
ガシャンガシャン!
刀身同士がぶつかる金属音が響く。
気づくとセイは自分がリアムのために作っていた刀の防御壁に激突していた。
あわててからだを起こそうとしたが、その途端、セイは口から血を吐いた。
どてっぱらに腹に穴があいていた。どくどくと血が噴きだしている。
かはっ!!
セイはふたたび喀血した。
まずい——
「あら、死ななかったの? ずいぶんメンタルがタフなのね」
ハマリエルの姿がぼやっとしてみえた。
精神集中だ。傷を修復しろ。
セイは頭のなかでありったけのアラートを鳴らした。そして必死で怪我した箇所に精神を集中させた。が、頭がぼうっとして集中ができない。まずは腹への致命傷を修復してから、ほかの箇所をと、わかっていても、精神の集中が散漫になる。
ゆっくりとハマリエルが近づいてくる。
ハマリエルは刀の壁に寄りかかったセイの前までくると、屈みこんでセイの目を覗き込んだ。
「まだ限界じゃなさそうね」
そう言って指先をセイの眉間に押し当てた。
「でも、これでおしまい……」
自分の眉間に押し付けられたハマリエルの指先からビームが放たれようとした瞬間、セイは空中から今の力でだせるだけの剣を中空から呼びだして、ドラゴンの腹にむかって一気に突き立てた。
やわらかい腹を数十本の剣で貫かれて、ドラゴンのからだがおおきく傾いだ。断末魔を思わせる、これまでで一番のおおきな叫びがあがる。
ハマリエルがドラゴンの動きに揺さぶられて、もんどりうってうしろへ転がる。セイの眉間を貫くはずだったビームは、あらぬ方向へと乱れ飛ぶ。
セイはたくみにその隙をついた。
ドラゴンの身体が傾いたのを利用してジャンプすると、ハマリエルの上からのしかかった。
その手に新しい剣が握られていた。ハマリエルのからだへ振り降ろす。
今度は手応えがあった。
セイの剣がハマリエルの左腕を斬り落していた。
「セイ! 頭だ。頭を刎ねないと再生する!」
背後からリアムの声がとんだ。
セイはハッとして、今度は水平に剣を振り抜こうとした。
が、遅かった——
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