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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第40話 リアム・ミィシェーレ、参戦!
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「美しき公爵さま」
ジャンヌが目を見開いたまま、目の前に立つアランソン公を見つめたままつぶやくように言った。
「あなたはなぜここへ。イングランド軍と戦ってはだめなのではないですか?」
「ジャンヌ、すまない。じつはわたしはアランソン公ではない」
整った顔をすこしゆがませて、アランソン公が申し訳なさそうに言った。
「どういうこと……」
「ジャンヌ、わたしはリアム・ミィシェーレ。セイとおなじ未来人なのだ。アランソン公のからだを借りてこの世界に潜入していた」
アランソン公の姿がしろい靄のようなものに包まれはじめたかと思うと、リアムが姿に変貌していった。
「ま、さすがにやばいんで、正体、現わすことにしたのさ」
若くうつくしい貴族が、むつけき中年の姿に変わったのをみて、みんな呆然としていた。とくにジャンヌのおどろきはおおきく、口元を手でふさいだまま身じろぎもできずにいた。
「ジャンヌ。すまないねぇ。中身がこんな野暮ったいおっさんで」
リアムはそう自虐的に言いながら、そしてロワール川の水面を蹴り上げながら、こちらに迫ってくる黒い兵士たちを見た。リアムは手のひらに力をためこむ仕草をすると、そのまま押しだすようにして、手を黒騎士たちのほうへ突き出した。
途端に、突き出した手の先の導線にいた黒い兵士たちがはじけ飛んだ。
なんにも見えなかった。
突進してくる兵士たちは、まえがかりの姿勢のまま、腕や脚、頭を吹き飛ばされた。あまりにも苛烈な攻撃に、自分が頭を飛ばされたことに気づかず、兵士たちはしばらく走り続け、電池が切れたように突然倒れた。
一瞬で10人ちかい兵士を掃討していた。
すごい!
「セイ、こんなことで驚いてもらっちゃ困る」
リアムはにこりと笑うと、上空に手をつきあげてぐるりと手を回した。
数体の黒い兵士が空へ舞いあげられた。ちかくにいるフランス兵の周りにはそよ風ほども揺らがなかったが、イングランドの死者だけが空を飛んでいた。
「おれの『力』は……」
リアムが手のひらを下に叩きつけるようなジェスチャーをすると、中空に浮いていた黒い兵士が、ものすごい力で地面に叩きつけられた。
ベチャという音すら聞こえないほど、圧倒的な力で兵士のからだはぐちゃぐちゃに潰れていた。
「『空気』だ。空気を自在に操る」
それを聞いてセイはごくりと唾を飲んだ。
自然の摂理を操る力というのは、並大抵のことではないと直感でわかったからだ。
ジャンヌが目を見開いたまま、目の前に立つアランソン公を見つめたままつぶやくように言った。
「あなたはなぜここへ。イングランド軍と戦ってはだめなのではないですか?」
「ジャンヌ、すまない。じつはわたしはアランソン公ではない」
整った顔をすこしゆがませて、アランソン公が申し訳なさそうに言った。
「どういうこと……」
「ジャンヌ、わたしはリアム・ミィシェーレ。セイとおなじ未来人なのだ。アランソン公のからだを借りてこの世界に潜入していた」
アランソン公の姿がしろい靄のようなものに包まれはじめたかと思うと、リアムが姿に変貌していった。
「ま、さすがにやばいんで、正体、現わすことにしたのさ」
若くうつくしい貴族が、むつけき中年の姿に変わったのをみて、みんな呆然としていた。とくにジャンヌのおどろきはおおきく、口元を手でふさいだまま身じろぎもできずにいた。
「ジャンヌ。すまないねぇ。中身がこんな野暮ったいおっさんで」
リアムはそう自虐的に言いながら、そしてロワール川の水面を蹴り上げながら、こちらに迫ってくる黒い兵士たちを見た。リアムは手のひらに力をためこむ仕草をすると、そのまま押しだすようにして、手を黒騎士たちのほうへ突き出した。
途端に、突き出した手の先の導線にいた黒い兵士たちがはじけ飛んだ。
なんにも見えなかった。
突進してくる兵士たちは、まえがかりの姿勢のまま、腕や脚、頭を吹き飛ばされた。あまりにも苛烈な攻撃に、自分が頭を飛ばされたことに気づかず、兵士たちはしばらく走り続け、電池が切れたように突然倒れた。
一瞬で10人ちかい兵士を掃討していた。
すごい!
「セイ、こんなことで驚いてもらっちゃ困る」
リアムはにこりと笑うと、上空に手をつきあげてぐるりと手を回した。
数体の黒い兵士が空へ舞いあげられた。ちかくにいるフランス兵の周りにはそよ風ほども揺らがなかったが、イングランドの死者だけが空を飛んでいた。
「おれの『力』は……」
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ベチャという音すら聞こえないほど、圧倒的な力で兵士のからだはぐちゃぐちゃに潰れていた。
「『空気』だ。空気を自在に操る」
それを聞いてセイはごくりと唾を飲んだ。
自然の摂理を操る力というのは、並大抵のことではないと直感でわかったからだ。
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