855 / 935
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第21話 日本人だからサムライ・ソードっていうわけか
しおりを挟む
「そうなんですね。安心しました。あなたがトラウマでなくて……」
「そうか…… じゃあ、安心ついでにその物騒なものしまってくんねぇか」
リアムはセイが身構えたままの刀を指さしながら言った。
「あ、す、すみません」
セイは刀を横に突き出した。とたんに中空に黒い空間があらわれ、その刀を吸い込んで消えた。
「やはり日本人だからサムライ・ソードっていうわけか」
「まぁ、そうかもしれませんね。ところで、ミィシェーレさん、なぜ、あなたはアランソン公に化けてたんです」
「セイ、リアムと呼んでくれ。まぁ、アランソン公に化けているあいだは、ちゃんと敬意をもって呼んでくれよ。あまり目立ちたくないからね」
「それは目立つとぼくみたいに、いろいろ説明をしなくちゃならないからですか?」
「まぁ、それもある。だけどさっきも言ったように、おれはあくまでもサポート役……」
「主役の前にしゃしゃりでるような野暮はしたくないってことさ……」
「いくらおれがSS級だとしてもな」
------------------------------------------------------------
リアム・ミィシェーレは目の前の日本人の少年をあらためて見つめた。
まがりなりにも小姓の格好をしているが、この時代、この場所ではありえない東洋人の顔と肌は、どうやっても違和感がある。
まるでポリコレまみれの、クソ映画みたいだな……
「SS級? 階級があるんですか?」
セイが困惑を隠しきれない表情を浮かべていた。
「あ、ああ…… ま、気にしないでくれ。わたしたちの組織での序列だ。ところでさきほどおれのことをトラウマと呼んでたな。そいつぁはなんだ」
「あ、すみません。ぼくが勝手にそう呼んでるんです。この前世に現世の魂を引きずりこんで、歴史を変えさせまいと邪魔するヤツラのことを」
「なるほどね……」
リムルは前世の記憶へ潜る能力を得ながら、セイが自分たちとはちがう世界で生きていることにあらためて気づいた。
「セイ、失礼だが、きみが信じている宗教ってなにか教えてくれるかい?」
「信じてる宗教? そんなものないですよ」
「無宗教! マジで? あ、いや、そうか、きみは日本人だものね」
「ええ、まぁ。日本人の7割が無宗教って言われてますからね」
リムルは自分が戦っているものの正体をセイに告げようかどうか迷った。もしそれを明確に指摘すれば、キリスト教の世界観を押しつけることになる。
「そうか…… じゃあ、安心ついでにその物騒なものしまってくんねぇか」
リアムはセイが身構えたままの刀を指さしながら言った。
「あ、す、すみません」
セイは刀を横に突き出した。とたんに中空に黒い空間があらわれ、その刀を吸い込んで消えた。
「やはり日本人だからサムライ・ソードっていうわけか」
「まぁ、そうかもしれませんね。ところで、ミィシェーレさん、なぜ、あなたはアランソン公に化けてたんです」
「セイ、リアムと呼んでくれ。まぁ、アランソン公に化けているあいだは、ちゃんと敬意をもって呼んでくれよ。あまり目立ちたくないからね」
「それは目立つとぼくみたいに、いろいろ説明をしなくちゃならないからですか?」
「まぁ、それもある。だけどさっきも言ったように、おれはあくまでもサポート役……」
「主役の前にしゃしゃりでるような野暮はしたくないってことさ……」
「いくらおれがSS級だとしてもな」
------------------------------------------------------------
リアム・ミィシェーレは目の前の日本人の少年をあらためて見つめた。
まがりなりにも小姓の格好をしているが、この時代、この場所ではありえない東洋人の顔と肌は、どうやっても違和感がある。
まるでポリコレまみれの、クソ映画みたいだな……
「SS級? 階級があるんですか?」
セイが困惑を隠しきれない表情を浮かべていた。
「あ、ああ…… ま、気にしないでくれ。わたしたちの組織での序列だ。ところでさきほどおれのことをトラウマと呼んでたな。そいつぁはなんだ」
「あ、すみません。ぼくが勝手にそう呼んでるんです。この前世に現世の魂を引きずりこんで、歴史を変えさせまいと邪魔するヤツラのことを」
「なるほどね……」
リムルは前世の記憶へ潜る能力を得ながら、セイが自分たちとはちがう世界で生きていることにあらためて気づいた。
「セイ、失礼だが、きみが信じている宗教ってなにか教えてくれるかい?」
「信じてる宗教? そんなものないですよ」
「無宗教! マジで? あ、いや、そうか、きみは日本人だものね」
「ええ、まぁ。日本人の7割が無宗教って言われてますからね」
リムルは自分が戦っているものの正体をセイに告げようかどうか迷った。もしそれを明確に指摘すれば、キリスト教の世界観を押しつけることになる。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる