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ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
第6話 八体の黒騎士がいっせいにセイに襲いかかる
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残りの黒騎士が剣を前に突き出したまま、セイを取り囲んでいた。
全部で8体。
セイは右腕を天井にむけてつきあげると、天井付近に空間を呼びだし、そこから何本もの剣を現出させた。
いきなり現われて、空中に浮かんでいる剣に、呆然として見入る騎士たち。
8体の黒騎士がいっせいにセイに襲いかかる。
セイは手に持った剣を空中で、頭上からふり降ろした。
その動きをトレースする形で、空中に浮かんだ剣が上から下へ打ち下ろされる。
ガチャン、ガチャン……
大広間に残響音を残しながら、甲高い金属音が響き渡った。
セイに襲いかかった黒騎士は、襲いかかった格好のまま潰れていた。数本もの剣が上から、一斉にふり降ろされ、まるで空のアルミ缶のようにへしゃげていた。黒騎士どもはぐらりと揺らいだかと思うと、ボワンと黒い煙を吐きだしてそのまま霧消した。
完全にトラウマの気配がなくなったのを確認すると、セイは手に持っていた剣を消し去った。
「みなさん、大丈夫ですか?」
セイは残った騎士たちにむかって、声をかけた。一瞬の間があったが、一番年配と思われる騎士があわてて返事をした。
「あ、ああ…… だが、ずいぶんやられてしまった」
「いまのは……あの骸骨の騎士はなんだったんだ?」
若い騎士がからだを震わせながらセイに尋ねた。
「あれは、ぼくらがトラウマ、って呼んでいる、歴史を変えさせまいとする異分子です」
「ト、トラウマ…… そなたは……そなたはいったい何者だ?」
「ぼくはセイ・ユメミ。未来からきた戦士です」
------------------------------------------------------------
「わたしは準騎士のベルトラン・ド・ブーランジイ(37歳)だ」
年配のほうがセイに名乗ると、若いほうも続いた。
「わたしはジャン・ド・メス(31歳)だ」
「おふたりしか救えなくてすみませんでした」
「いや、そなたがこなければ、ふたりともやられていた……」
「ところで、ここはどこ…… いえ、いつですか?」
「ここはフランス南西部にある、シノン城。そして今は1429年だ」
「ほぼ800年前か……」
「800年! そなたは800年後から来たというのか」
「まぁ……」
「そんな未来から、きみはなにをしに来たのかね?」
「それはね……」
そういいながらセイは、ジャン・ド・メスのほうへ近づくと、彼の頭の上に手をかざした。メスの頭の上に別の人物の顔が浮かびあがった。
全部で8体。
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いきなり現われて、空中に浮かんでいる剣に、呆然として見入る騎士たち。
8体の黒騎士がいっせいにセイに襲いかかる。
セイは手に持った剣を空中で、頭上からふり降ろした。
その動きをトレースする形で、空中に浮かんだ剣が上から下へ打ち下ろされる。
ガチャン、ガチャン……
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セイに襲いかかった黒騎士は、襲いかかった格好のまま潰れていた。数本もの剣が上から、一斉にふり降ろされ、まるで空のアルミ缶のようにへしゃげていた。黒騎士どもはぐらりと揺らいだかと思うと、ボワンと黒い煙を吐きだしてそのまま霧消した。
完全にトラウマの気配がなくなったのを確認すると、セイは手に持っていた剣を消し去った。
「みなさん、大丈夫ですか?」
セイは残った騎士たちにむかって、声をかけた。一瞬の間があったが、一番年配と思われる騎士があわてて返事をした。
「あ、ああ…… だが、ずいぶんやられてしまった」
「いまのは……あの骸骨の騎士はなんだったんだ?」
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「あれは、ぼくらがトラウマ、って呼んでいる、歴史を変えさせまいとする異分子です」
「ト、トラウマ…… そなたは……そなたはいったい何者だ?」
「ぼくはセイ・ユメミ。未来からきた戦士です」
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「わたしはジャン・ド・メス(31歳)だ」
「おふたりしか救えなくてすみませんでした」
「いや、そなたがこなければ、ふたりともやられていた……」
「ところで、ここはどこ…… いえ、いつですか?」
「ここはフランス南西部にある、シノン城。そして今は1429年だ」
「ほぼ800年前か……」
「800年! そなたは800年後から来たというのか」
「まぁ……」
「そんな未来から、きみはなにをしに来たのかね?」
「それはね……」
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