800 / 935
ダイブ7 第二次ポエニ戦争の巻 〜 ハンニバル・バルカ編 〜
第32話 エヴァ、ヒッポカムポスと対峙する
しおりを挟む
「日本語の『金』が含まれる文字のなかにね……『銃』……っていうのもあるの」
「銃!!! これだから平和の国、日本人ってヤツは!! お嬢ちゃん、相手は500体だ。銃一丁でなんとかなる数じゃねぇよ」
ローガンがなかば怒り気味に言った。
「あら、ローガン。あなたって銃社会の住人のくせに、想像力が乏しいのね」
「なにぃ」
「ハンドガンが『銃』でないでしょう」
わたしはビジェイにむかって言った。
「ビジェイ、わたしが合図したら、この氷の壁をなくしてくれるかしら……」
「エ、エヴァちゃん。そんなことしたら、蜂の巣になってしまう」
「ええ。その通りよ、ビジェイ……」
わたしの足元の空間から、せりあがってきた『ガトリング・ガン』に手をかけてから言った。
「むこうがね」
「な、なんだ…… そ、その銃は…… そんなの見たことないぞ」
ローガンの声はなぜか裏返っていた。
まさか、うろたえてる?
「あら、ローガン、あなたやったことないの?」
わたしは腰を落として、ガトリングガンを構えてから言った。
「これ、コンピュータゲームの『バイオ・ハザード』シリーズに出てくる『無限ガトリング・ガン』よ」
その瞬間、ビジェイの氷の壁が砕けた。
ヒッポカムポスの間断のない水の弾丸攻撃に、とうとう耐えきれなかったみたいだった。
氷の上部が崩れて、向こうの様子がかいま見えた。
「ビジェイ。あなたの見立て、まちがえてたわよ」
「敵の数、500じゃない……」
わたしはビジェイにウインクした。
「たぶん一万体はいる」
わたしは10000の敵にむけて、ガトリング・ガンの引金をひきしぼった。
ブーーーーンといううなるような音。
とたんに数百発の弾丸が一斉に放たれる。
ガガガガガガガガがガガガガガガガガ!!!!!!!
耳をつんざくような銃声。
この時代のひとはけっして耳にすることのない音。
銃口を左右に横にふる。
薙ぐようにしてビジェイの造った氷の壁が砕かれていくと、むこうに群がっていたヒッポカムポスが見えた。
が、そう思う間もなくバタバタと倒れていった。
わたしは無心で引きがねを引き続けた。
ふと、かなたのアドリア海のほうに視線をむけると、すでにカルタゴ軍とローマ軍の戦いに決着がついていることがわかった。
わずか2キロ平方メートルほどの平原は、七万もの死体で埋め尽くされていた。
歴史通り、ローマ軍はほぼ全滅……していた。
「銃!!! これだから平和の国、日本人ってヤツは!! お嬢ちゃん、相手は500体だ。銃一丁でなんとかなる数じゃねぇよ」
ローガンがなかば怒り気味に言った。
「あら、ローガン。あなたって銃社会の住人のくせに、想像力が乏しいのね」
「なにぃ」
「ハンドガンが『銃』でないでしょう」
わたしはビジェイにむかって言った。
「ビジェイ、わたしが合図したら、この氷の壁をなくしてくれるかしら……」
「エ、エヴァちゃん。そんなことしたら、蜂の巣になってしまう」
「ええ。その通りよ、ビジェイ……」
わたしの足元の空間から、せりあがってきた『ガトリング・ガン』に手をかけてから言った。
「むこうがね」
「な、なんだ…… そ、その銃は…… そんなの見たことないぞ」
ローガンの声はなぜか裏返っていた。
まさか、うろたえてる?
「あら、ローガン、あなたやったことないの?」
わたしは腰を落として、ガトリングガンを構えてから言った。
「これ、コンピュータゲームの『バイオ・ハザード』シリーズに出てくる『無限ガトリング・ガン』よ」
その瞬間、ビジェイの氷の壁が砕けた。
ヒッポカムポスの間断のない水の弾丸攻撃に、とうとう耐えきれなかったみたいだった。
氷の上部が崩れて、向こうの様子がかいま見えた。
「ビジェイ。あなたの見立て、まちがえてたわよ」
「敵の数、500じゃない……」
わたしはビジェイにウインクした。
「たぶん一万体はいる」
わたしは10000の敵にむけて、ガトリング・ガンの引金をひきしぼった。
ブーーーーンといううなるような音。
とたんに数百発の弾丸が一斉に放たれる。
ガガガガガガガガがガガガガガガガガ!!!!!!!
耳をつんざくような銃声。
この時代のひとはけっして耳にすることのない音。
銃口を左右に横にふる。
薙ぐようにしてビジェイの造った氷の壁が砕かれていくと、むこうに群がっていたヒッポカムポスが見えた。
が、そう思う間もなくバタバタと倒れていった。
わたしは無心で引きがねを引き続けた。
ふと、かなたのアドリア海のほうに視線をむけると、すでにカルタゴ軍とローマ軍の戦いに決着がついていることがわかった。
わずか2キロ平方メートルほどの平原は、七万もの死体で埋め尽くされていた。
歴史通り、ローマ軍はほぼ全滅……していた。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる