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ダイブ7 第二次ポエニ戦争の巻 〜 ハンニバル・バルカ編 〜
第4話 コーマ・ディジーズ財団
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父は母の葬式のあと、親権やらなんやらの手続きを、日本でも有数の大手弁護士事務所に依頼すると、すぐにわたしをロスアンゼルスにある『コーマ・ディジーズ財団』の本社に連れてきた。
おそろしく広い敷地内にいくつもの低層ビルが点在し、それらの中心に位置する建物が本社ビルだった。
父は車のなかから誇らしげに、敷地内を案内して回ったが、本社ビル内の『マインド・ダイブ』をおこなう装置を紹介するときが、一番嬉しそうだった。
「ここは外部の者には公開していないんだよ」
「わたしも外部の人間だけど」
「いいんだ。おまえは身内だからな。それにひとの記憶のなかにダイブするという概念を知っている。我が財団は表向きには『昏睡病』を薬を中心とした治療で、患者を治癒させていることになっているからな」
「この施設の存在は隠しておきたいってことね」
「ああ。NIH(アメリカ国立衛生研究所)やCDCからは許認可はでているが、あまり公にはしてくれるな、というお達しでね」
「で、わたしにこれを見せてどうするつもり?」
父は顔を輝かせて言った。
「おまえの力をはからせてもらいたい」
そうして紹介されたのが、ローガン・ニュートン・ハワードとビジェイ・スターンだった。
「へえ。ガードナーCEOの娘さんも、マインド・ダイブできる能力者だったとはね」
はじめてあったときから、ローガンはわたしのことを色眼鏡でみてきた。
「ああ。この子の母親も、かなりの能力者だったからね」
「で、でもガードナーさん。まだエヴァちゃんは11歳なんですよね。マインド・ダイブをするには早すぎるんじゃあ……」
ビジェイがおそるおそる異議を唱えた。
「ビジェイ。きみがはじめてダイブしたのは何歳だったかね」
「あ、そう。13歳です。でもあれは偶然できただけで……」
「我が財団で育成しているマインド・ダイバーの最年少は10歳だ。まだ感応力は低く実戦には投じられないが、それでも潜っている子供はいる。たしか、ドイツには8歳くらいから実戦でダイブしている優秀な少女がいた、と聞いているよ」
そう諭されても、ビジェイはあまり賛成できない様子だった。
「ビジェイ。心配はいらんよ。この子と一緒にわたしも潜るつもりだ。それにきみたちふたりもだ」
「ちょ、ちょっとCEO。お嬢ちゃんのお守りのために、あっしら三人が雁首揃えてダイブするっていうんですかい?」
おそろしく広い敷地内にいくつもの低層ビルが点在し、それらの中心に位置する建物が本社ビルだった。
父は車のなかから誇らしげに、敷地内を案内して回ったが、本社ビル内の『マインド・ダイブ』をおこなう装置を紹介するときが、一番嬉しそうだった。
「ここは外部の者には公開していないんだよ」
「わたしも外部の人間だけど」
「いいんだ。おまえは身内だからな。それにひとの記憶のなかにダイブするという概念を知っている。我が財団は表向きには『昏睡病』を薬を中心とした治療で、患者を治癒させていることになっているからな」
「この施設の存在は隠しておきたいってことね」
「ああ。NIH(アメリカ国立衛生研究所)やCDCからは許認可はでているが、あまり公にはしてくれるな、というお達しでね」
「で、わたしにこれを見せてどうするつもり?」
父は顔を輝かせて言った。
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「ああ。この子の母親も、かなりの能力者だったからね」
「で、でもガードナーさん。まだエヴァちゃんは11歳なんですよね。マインド・ダイブをするには早すぎるんじゃあ……」
ビジェイがおそるおそる異議を唱えた。
「ビジェイ。きみがはじめてダイブしたのは何歳だったかね」
「あ、そう。13歳です。でもあれは偶然できただけで……」
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そう諭されても、ビジェイはあまり賛成できない様子だった。
「ビジェイ。心配はいらんよ。この子と一緒にわたしも潜るつもりだ。それにきみたちふたりもだ」
「ちょ、ちょっとCEO。お嬢ちゃんのお守りのために、あっしら三人が雁首揃えてダイブするっていうんですかい?」
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