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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第280話 モリ・リンタロウ感謝する
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「スピロさん、あなたの博識ぶりには感嘆させられました」
モリ・リンタロウがスピロに会釈をしながら感謝を述べた。
「それに、エヴァさんにはお金の工面で助けていただいた。それにあの空を飛ぶ『バイク』とかいう乗り物、あれには度肝を抜かれました。そしてゾーイさん、あなたにはずいぶん助けられましたね。守りに徹していただき、小生もアーサーも心強かったです」
最後にリンタロウはマリアの前に歩みでた。
「マリアさん。あなたにはずいぶん酷い目にあわされた」
「そうか? オレたちには茶飯事だけどね」
「茶飯事ですって? だってアーサーと一緒にあのクモのようなモンスターの間をメチャクチャ走らされたし、獣人たちに襲われたときも、小生たちはおいてけぼりでした。ゾーイさんがいなければ、怪我のひとつもしているところです」
リンタロウがすっとマリアの前に手をさしだした。
マリアが怪訝そうな顔をする。
「でも、とっても楽しかった! あなたがエリーゼが小生を追いかけて来日する、という未来を言ってくれなければ、小生はこの地に留まろうと思わなかったし、こんなトンでもない事件に巻込まれなかった。ありがとう、マリアさん」
面とむかってそう言われたマリアは照れくさそうに顔をそむけながら、差し出されたリンタロウの手をにぎった。
「まぁ、よかったじゃねぇか」
「ええ」
リンタロウは満面の笑みをマリアにむけてから、コナン・ドイルのほうへむかった。
「アーサー、きみとはいいバディだったような気がするよ。別れるのがほんとうにつらい」
「ええ。あたしもつらいです。あなたとはホームズとワトソンのような、いい相棒だったと思いますよ。どっちがホームズかは言えませんけどね」
リンタロウはコナン・ドイルの手を力強く握った。
「きみは人類史上もっとも有名な探偵を産み出す、すごい作家になるんだろう。きみがホームズそのひとだ。ぜひ今回のことを活かして、世界を驚かせてくれ」
「ええ。リンタロウさん、あたしはおもしろい探偵小説を書いてみせますよ。ほんとうは歴史作家として名を残したかったんですがね」
「小生も負けずに良い小説を書いてみせるよ。でも軍医としても名を残してみせるつもりだ」
「あたしはもうジャンルにこだわらずにいろいろ書いていきますよ。ウエルズくんのようなサイエンス・フィクションだって、ものにしてみせます」
「アーサー、きみならできるさ」
ふたりはぎゅっと手を握りしめた。
モリ・リンタロウがスピロに会釈をしながら感謝を述べた。
「それに、エヴァさんにはお金の工面で助けていただいた。それにあの空を飛ぶ『バイク』とかいう乗り物、あれには度肝を抜かれました。そしてゾーイさん、あなたにはずいぶん助けられましたね。守りに徹していただき、小生もアーサーも心強かったです」
最後にリンタロウはマリアの前に歩みでた。
「マリアさん。あなたにはずいぶん酷い目にあわされた」
「そうか? オレたちには茶飯事だけどね」
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リンタロウがすっとマリアの前に手をさしだした。
マリアが怪訝そうな顔をする。
「でも、とっても楽しかった! あなたがエリーゼが小生を追いかけて来日する、という未来を言ってくれなければ、小生はこの地に留まろうと思わなかったし、こんなトンでもない事件に巻込まれなかった。ありがとう、マリアさん」
面とむかってそう言われたマリアは照れくさそうに顔をそむけながら、差し出されたリンタロウの手をにぎった。
「まぁ、よかったじゃねぇか」
「ええ」
リンタロウは満面の笑みをマリアにむけてから、コナン・ドイルのほうへむかった。
「アーサー、きみとはいいバディだったような気がするよ。別れるのがほんとうにつらい」
「ええ。あたしもつらいです。あなたとはホームズとワトソンのような、いい相棒だったと思いますよ。どっちがホームズかは言えませんけどね」
リンタロウはコナン・ドイルの手を力強く握った。
「きみは人類史上もっとも有名な探偵を産み出す、すごい作家になるんだろう。きみがホームズそのひとだ。ぜひ今回のことを活かして、世界を驚かせてくれ」
「ええ。リンタロウさん、あたしはおもしろい探偵小説を書いてみせますよ。ほんとうは歴史作家として名を残したかったんですがね」
「小生も負けずに良い小説を書いてみせるよ。でも軍医としても名を残してみせるつもりだ」
「あたしはもうジャンルにこだわらずにいろいろ書いていきますよ。ウエルズくんのようなサイエンス・フィクションだって、ものにしてみせます」
「アーサー、きみならできるさ」
ふたりはぎゅっと手を握りしめた。
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