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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第254話 ピーター、大丈夫かい?
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「い、いや、そんな…… そりゃ、たしかに……無理ですけどね」
「だから……」
「だったら、あたしゃ、走って追いかけますよ」
「走ってぇ?」
「ええ、走ってです。おかげさまで走り回るのには馴れましたからね」
「いや、それはさすがに……」
「追いついてみせますって! だいたいこんな夜中に街中をうろつくのは、好きじゃないです。さっさと帰ってベッドに潜り込みたいですよ。だってあんな化物が現われたんですよ」
そう言ってロンドンの中心部のほうを指さした。
ロンドン各所から現われたトライポッドが、一箇所にむかっていた。スピロがつかまっているアバーラインの悪魔を守護するためだろう。
進みながら各機体があたり一体にビームを放っているのが遠雷のように見えた。
「そうですね。コナン・ドイルさんは戻っていてください。ぼくらはあいつらを倒して、スピロを救いにいきます」
そう言うとすぐに、バイクに乗ってスタンバイしているエヴァに指示をした。
「エヴァ、ピーターとリンタロウさんをベーカー街まで送ったら、すぐにあのトライポッドのほうへ向ってくれないか」
「ええ、もちろんです。もう切り裂きジャックのことを気にしなくていいですからね。存分に悪魔をとっちめさせていただきますわ」
セイは後部座席でエヴァとリンタロウのあいだに挟まって、縮こまっているピーターに目をむけた。
「ピーター、大丈夫かい?」
「たぶんね。血がとまんなくて困るけどさ」
「きみは切り裂きジャックを見たのかい?」
「ああ、セイ、見たさ。残念ながら顔はあんまわかんなかったけどね」
「顔は見てない? じゃあ、だれかわからないのか?」
「なーんで、そーなんのさ」
「ぼくはヤツの手を見た。ぼくを切りつけたナイフを持った手をね」
「手? それでわかるのかい」
「痣があった」
「たぶん、犯人を数人に絞ることができると思う」
自信たっぷりに言い放ったピーターのことばに、セイはほっとする思いがした。
バイクが上昇しはじめた。
ピーターが上から顔を覗かせると、にんまりとした顔でセイにむけて言った。
「だけど、この情報料は安くないからね!」
「だから……」
「だったら、あたしゃ、走って追いかけますよ」
「走ってぇ?」
「ええ、走ってです。おかげさまで走り回るのには馴れましたからね」
「いや、それはさすがに……」
「追いついてみせますって! だいたいこんな夜中に街中をうろつくのは、好きじゃないです。さっさと帰ってベッドに潜り込みたいですよ。だってあんな化物が現われたんですよ」
そう言ってロンドンの中心部のほうを指さした。
ロンドン各所から現われたトライポッドが、一箇所にむかっていた。スピロがつかまっているアバーラインの悪魔を守護するためだろう。
進みながら各機体があたり一体にビームを放っているのが遠雷のように見えた。
「そうですね。コナン・ドイルさんは戻っていてください。ぼくらはあいつらを倒して、スピロを救いにいきます」
そう言うとすぐに、バイクに乗ってスタンバイしているエヴァに指示をした。
「エヴァ、ピーターとリンタロウさんをベーカー街まで送ったら、すぐにあのトライポッドのほうへ向ってくれないか」
「ええ、もちろんです。もう切り裂きジャックのことを気にしなくていいですからね。存分に悪魔をとっちめさせていただきますわ」
セイは後部座席でエヴァとリンタロウのあいだに挟まって、縮こまっているピーターに目をむけた。
「ピーター、大丈夫かい?」
「たぶんね。血がとまんなくて困るけどさ」
「きみは切り裂きジャックを見たのかい?」
「ああ、セイ、見たさ。残念ながら顔はあんまわかんなかったけどね」
「顔は見てない? じゃあ、だれかわからないのか?」
「なーんで、そーなんのさ」
「ぼくはヤツの手を見た。ぼくを切りつけたナイフを持った手をね」
「手? それでわかるのかい」
「痣があった」
「たぶん、犯人を数人に絞ることができると思う」
自信たっぷりに言い放ったピーターのことばに、セイはほっとする思いがした。
バイクが上昇しはじめた。
ピーターが上から顔を覗かせると、にんまりとした顔でセイにむけて言った。
「だけど、この情報料は安くないからね!」
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