724 / 935
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第248話 エヴァを阻む透明火星人
しおりを挟む
あとすこしなのに!
ゾーイがみさかいなく空中に吹っ飛ばし、それを撃ちまくっているにもかかわらず、エヴァには目の前に立ちはだかっている『なにか』がちっとも減っていない気分だった。あともうすこし進んだ先にある路地を曲がれば、セイとネルがいるとわかっているのに、まったく進めない。
ゾーイが上空をみあげてエヴァに声をかけてきた。
「エヴァさん、こいつぁ、キリがないよ。先にセイさんところに行っておくれ」
「ええ、そうですね。でもゾーイさん、ひとりで大丈夫ですか?」
「こいつらを近づけさせないだけならなんとかするよ。それより、もう切り裂きジャックが現われる時間だよ」
「わかりました。そちらを優先させます」
エヴァはバイクを上昇させようとした。
見えない壁がどこまでの高さあるかわからない以上、ある程度の高さまで昇るほうが安全だ。
が、エヴァがバイクのスロットルを捻ろうとした瞬間、目の間の空間が突然黒くなった。
ハッとして正面に目をむける。
そこにおおきな赤い目があった。
エヴァは息を飲んだ。
咽喉のふちまで悲鳴が駆け上がってきていたが、ぐっと歯を食いしばり、息ごと胃の中に落とし込んだ。
目の前の壁一面におおきな目が光っていた。エヴァはすぐに火星人が姿を現わしたのだと見てとった。
上を見あげる。
ほんのすこし上に、火星人の壁の切れ目があることがわかった。ほんの数メートル上昇するだけで、この壁の上を通り抜けられたのだ。
エヴァは嘆息すると、バイクを垂直に上昇させていった。バイクのフロントライトの光を至近距離から浴びた『目』が、たまらずまぶたをとじた。
火星人の壁を超えると、エヴァはすぐにセイの姿を探した。が、それより先に路地の近くを走りまくっているモリ・リンタロウとコナン・ドイルの姿が目に入った。降りてすぐにセイのところに向わせたはずなのに、まだこんな近くでうろうろしているのに驚いた。
「リンタロウさん! コナン・ドイルさん! なにをやってるんです!!」
「ああ、エヴァさん。なにをって、セイさんを探してるんですよ」
「え、だってすぐわきの路地ですよ」
エヴァが指さすと、ふたりそろって路地の入り口を見た。
「エヴァさん、からかわないでくださいよぉ。だって、ここ壁があるじゃないですか?」
「壁?」
ゾーイがみさかいなく空中に吹っ飛ばし、それを撃ちまくっているにもかかわらず、エヴァには目の前に立ちはだかっている『なにか』がちっとも減っていない気分だった。あともうすこし進んだ先にある路地を曲がれば、セイとネルがいるとわかっているのに、まったく進めない。
ゾーイが上空をみあげてエヴァに声をかけてきた。
「エヴァさん、こいつぁ、キリがないよ。先にセイさんところに行っておくれ」
「ええ、そうですね。でもゾーイさん、ひとりで大丈夫ですか?」
「こいつらを近づけさせないだけならなんとかするよ。それより、もう切り裂きジャックが現われる時間だよ」
「わかりました。そちらを優先させます」
エヴァはバイクを上昇させようとした。
見えない壁がどこまでの高さあるかわからない以上、ある程度の高さまで昇るほうが安全だ。
が、エヴァがバイクのスロットルを捻ろうとした瞬間、目の間の空間が突然黒くなった。
ハッとして正面に目をむける。
そこにおおきな赤い目があった。
エヴァは息を飲んだ。
咽喉のふちまで悲鳴が駆け上がってきていたが、ぐっと歯を食いしばり、息ごと胃の中に落とし込んだ。
目の前の壁一面におおきな目が光っていた。エヴァはすぐに火星人が姿を現わしたのだと見てとった。
上を見あげる。
ほんのすこし上に、火星人の壁の切れ目があることがわかった。ほんの数メートル上昇するだけで、この壁の上を通り抜けられたのだ。
エヴァは嘆息すると、バイクを垂直に上昇させていった。バイクのフロントライトの光を至近距離から浴びた『目』が、たまらずまぶたをとじた。
火星人の壁を超えると、エヴァはすぐにセイの姿を探した。が、それより先に路地の近くを走りまくっているモリ・リンタロウとコナン・ドイルの姿が目に入った。降りてすぐにセイのところに向わせたはずなのに、まだこんな近くでうろうろしているのに驚いた。
「リンタロウさん! コナン・ドイルさん! なにをやってるんです!!」
「ああ、エヴァさん。なにをって、セイさんを探してるんですよ」
「え、だってすぐわきの路地ですよ」
エヴァが指さすと、ふたりそろって路地の入り口を見た。
「エヴァさん、からかわないでくださいよぉ。だって、ここ壁があるじゃないですか?」
「壁?」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる