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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第242話 エヴァ、トライポッドへ攻撃をしかける
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機械であるのに、まるで大木の幹を思わせるような質感のトライポッドの脚。
それを真横にみながら、エヴァはどの位置にミサイルを撃ち込めばいいかをさぐった。
が、いやな機械音と、ズシーン、ズシーンと響く足音、そしてひとびとの叫び声がいりまじりはじると、そんなことはどうでもよくなった。
倒せばいいんですよね!
エヴァはトライポッドの脚の一本の足先へミサイルを撃ち込んだ。
ドーンという爆発音がして足先の一部が破壊されると、トライポッドはその次の一歩をうまく踏み出せなくなった。その場で停止したかと思うと、ミシミシというなにかが軋む音がしはじめた。
上からマリアの大声が降ってきた。
「おーーい、エヴァ。オレは倒せって言ったんだぜ。止めろじゃなくてな!!」
エヴァは上に顔をむけて負けじと叫んだ。
「もうすぐ倒れますわ! それよりマリアさん、投げ出されないようにしてください。それだけの高さから落ちたら、さすがに怪我のひとつやふたつしてしまいますわよ」
「なに言ってやが……」
その瞬間、トライポッドの脚がボキリと折れて、前のめりに傾ぎはじめた。脚の一部が手前の貸間長屋を潰しながら、倒れていく。
それを横目で見送っていると、頭部につかまっていたマリアの姿が見えてきた。
「ーーったく、エヴァ。これを倒したら、ほかのも倒しにいく——」
ドォォオンという激しい倒壊音とともに、トライポッドが倒れ、頭部が貸間長屋の屋根にぶつかってへしゃげる。まいあがった粉塵のなかに、マリアの姿が消えた。
だがエヴァはまったく心配していなかった。
次の瞬間、へしゃげたトライポッドの頭部に光が走ったかと思うと、真ん中からばっくりと割れて爆発した。
マリアが大剣を振り回しながら、そのなかから飛び出してくる。屋根の上に飛び乗ると、エヴァのほうにむかって叫んだ。
「おい、まったく手応えねぇぞ。なんだ、このハリボテわぁぁぁ」
エヴァはそのマリアの悪態が心強かった。
さきほどみた地獄絵図に落ち込みかけた気分が、あっという間に吹き飛んでかんじられた。
エヴァは屋根の上のマリアの横まで降りていくと、ウエストエンド方向を手でさししめしながら言った。
「どうされます? わたしはあなたとゾーイを連れてくるように言われました。切り裂きジャックの凶行を一緒に防いで欲しいそうです」
「おいおい、オレにそいつが現われるまで、ぼーっと待てってか?」
「まーー あなたなら、そう言うでしょうね。いいですよ。わたしはゾーイを拾っていきますから、マリアさん、あなたはあのトライポッドを倒しにいってきてください」
「おう、わかってんな!」
「悪魔はあのトライポッドの力に自信をもっているようですから、けちょんけちょんにしてやってくださいな」
それを真横にみながら、エヴァはどの位置にミサイルを撃ち込めばいいかをさぐった。
が、いやな機械音と、ズシーン、ズシーンと響く足音、そしてひとびとの叫び声がいりまじりはじると、そんなことはどうでもよくなった。
倒せばいいんですよね!
エヴァはトライポッドの脚の一本の足先へミサイルを撃ち込んだ。
ドーンという爆発音がして足先の一部が破壊されると、トライポッドはその次の一歩をうまく踏み出せなくなった。その場で停止したかと思うと、ミシミシというなにかが軋む音がしはじめた。
上からマリアの大声が降ってきた。
「おーーい、エヴァ。オレは倒せって言ったんだぜ。止めろじゃなくてな!!」
エヴァは上に顔をむけて負けじと叫んだ。
「もうすぐ倒れますわ! それよりマリアさん、投げ出されないようにしてください。それだけの高さから落ちたら、さすがに怪我のひとつやふたつしてしまいますわよ」
「なに言ってやが……」
その瞬間、トライポッドの脚がボキリと折れて、前のめりに傾ぎはじめた。脚の一部が手前の貸間長屋を潰しながら、倒れていく。
それを横目で見送っていると、頭部につかまっていたマリアの姿が見えてきた。
「ーーったく、エヴァ。これを倒したら、ほかのも倒しにいく——」
ドォォオンという激しい倒壊音とともに、トライポッドが倒れ、頭部が貸間長屋の屋根にぶつかってへしゃげる。まいあがった粉塵のなかに、マリアの姿が消えた。
だがエヴァはまったく心配していなかった。
次の瞬間、へしゃげたトライポッドの頭部に光が走ったかと思うと、真ん中からばっくりと割れて爆発した。
マリアが大剣を振り回しながら、そのなかから飛び出してくる。屋根の上に飛び乗ると、エヴァのほうにむかって叫んだ。
「おい、まったく手応えねぇぞ。なんだ、このハリボテわぁぁぁ」
エヴァはそのマリアの悪態が心強かった。
さきほどみた地獄絵図に落ち込みかけた気分が、あっという間に吹き飛んでかんじられた。
エヴァは屋根の上のマリアの横まで降りていくと、ウエストエンド方向を手でさししめしながら言った。
「どうされます? わたしはあなたとゾーイを連れてくるように言われました。切り裂きジャックの凶行を一緒に防いで欲しいそうです」
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「まーー あなたなら、そう言うでしょうね。いいですよ。わたしはゾーイを拾っていきますから、マリアさん、あなたはあのトライポッドを倒しにいってきてください」
「おう、わかってんな!」
「悪魔はあのトライポッドの力に自信をもっているようですから、けちょんけちょんにしてやってくださいな」
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