ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜

多比良栄一

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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜

第236話 あれはなんですの?

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 アバーラインの悪魔が手のひらを地面にむけた。

 そのとたん、あたりがぐらりと揺れ、ズズズという地鳴りがしはじめた。
「な、なにが起きてるの?」
 ネルが不安を口にした。
 と、その瞬間、アバーラインの悪魔の足元の地面がわれ、地中からなにかがせりだしてきた。

 それは円盤状の硬質な鋼材だった。
 それが路地の一角を破壊して飛び出していた。その円盤の一部分が円形状に、ゆっくりと開いていく。まるでハッチかなにかのように見える。中から赤や青の光がまたたき、蒸気がたちのぼる。

「わたくしめはあなたがたを邪魔するのではなく、排除することにきめましたわ」
「計画変更ですか」
「はい。せっかくあのセイ・ユメミが現われたのですからね。任務通りに邪魔をするだけでは能がないではないですか。セイ・ユメミを倒すことのほうが、よっぽどわたくしめに見合う任務ですもの」

 そう言うなりアバーラインの悪魔は、開いたハッチから円盤の中に飛び降りた。すぐにハッチが閉じていく。とどうじに、地面が先ほど以上にゆれはじめた。路面の各所にヒビがはいりはじめ、ブロックが砕けた。

 ゆっくりと円板状のものが上にあがっていく。

 そのとき、強い光が投げかけられた。

 えっ?

 セイが上空に放った光の玉によって、あたりは朝方くらいには明るくなっているにもかかわらず、それよりも強い光が差し込んだのだ。

 ありえない——

 セイは光の方角を見た。
 そこはテームズ川のある方角だった。
 そしてその付近からまるでサーチライトのような光が、こちらへ投げかけられていた。ゆうに一キロメートルは離れているのにはっきりと見えた。
 そしてその光は、おどろくほど高い位置にあった。 
 その高さは七階か八階建てのビルくらいの高さだろうか。もちろん、この時代にそんな高層ビルはほとんどないので、遥かかなたにあるその光まで見通すことができた。

 だが、なぜそんな高所に光が灯っているのかがわからない。
 しかもそのライトらしき光は、一灯だけではなかった。簡単には数えられないほどの数の光が中空に浮かんでいた。

「あれ、なんですの?」
 ネルが声をふるわせた

「まぁ、そいつとおなじものです」
 スピロが目の前ですでに十メートルほど上にあがっていた円盤を見あげながら言った。
 円盤の周りにライトが灯る。
 その異様な姿が浮かびあがった。
「あれは、H・G・ウエルズ様が創造したもののうち、もっとも怖れるべきもの……」


「『宇宙戦争』のトライポッドです」
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