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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第212話 マリア&エヴァ 大型ドラゴン討伐4
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ドラゴンの口から、グルグルというくぐもった咆哮が聞こえてくる。
「マリアさん、火を吐きそうです」
「ああ、見えてるよ」
「マリアさん、わたしはなにをすればいいんです?」
エヴァの声がヒステリックな色を帯びはじめていた。
「今度はバズーカーを撃てばいいのですか? それとももう一度マシンガン?」
「いいや、エヴァ。おまえはなにもしなくていい」
マリアは後部座席の上に足をかけると、からだを半身乗り出して身構えた。
「おまえは囮だからな」
「え? どういうことですの?」
「丸焼けだけにはなるな!」
マリアは後部座席を蹴飛ばして、宙に飛んだ。
その瞬間、ドラゴンの口から炎がふきだす。
が、マリアは引っぱっていたロープから手を離していた。めいっぱい引寄せられていたドラゴンの頭は、その反動でうしろへのけぞった。
天空にむかって炎が放たれる。そしてそれとどうじに、ドラゴンの腹が無防備でさらけだされた。
エヴァが背後からなにか悪態じみたことを叫んでいたが、マリアは無視した。
精神を集中して、手の中にとびっきりデカイ超大剣を呼びだした。
ドラキュラの時代の際帆船のうえでふるった、ごてごてとした装飾やら、意味のよくわからないギミックがついたあの剣だ。
「ドラゴンなんてぇヤツを相手にするなら……」
剣は空中でみるみる変形していき、10メートル近くにまでおおきくなっていく。
「やっぱ、ゴリゴリ『厨二病』の剣だろうなぁぁぁ!!」
マリアはドラゴンの腹に、ドン!、と剣を突き立てた。刀身にパリパリといなずまが走る。
「いけぇぇぇぇぇ」
上から下へむけて力づくで剣をふりぬいていく。
ドラゴンの腹が縦に裂ける。
ギャァァァァァァァァン
断末魔の悲鳴ともいえる、聞いたこともないような叫び。
マリアはなおも剣をぐいぐいと押し込み、しっぽの付け根まで剣をふりぬいていった。
剣を振り切ると、すぐさまぶらさがっているロープへ飛び移り、するすると下まで滑り降りていく。そのまま3階建ての貸間長屋の屋根の上に降りたった。
「どんなもんだ! エヴァ」
マリアが天空にむかった叫んだ。
「どんなもんだ、じゃないでしょう。マリアさん、よくもまぁ、仲間を囮にできますわね」
「おまえなら、あれくらい避けられるだろう」
そう言った瞬間、空中で悶絶していたドラゴンの腹がガバッと裂けて、緑色の体液とともに、臓物が街のうえに降り注ぎはじめた。
真下にいたマリアはその洗礼を思いっきり浴びた。
「うわぁ、きたねぇ。うへ、くせぇぇ」
べちゃ、べちゃっと気持ちのわるい音をたてて、ドラゴンの緑の血や体液、臓物が、街中に叩きつけられていく。
「エヴァ、見てねぇで、助けろ!」
マリアが顔についた緑の肉片をぬぐいとりながら言うと、バイクの上から余裕の表情でエヴァが答えた。
「あら、マリア様、あなたでしたら、これくらい避けられるのではありませんの?」
「マリアさん、火を吐きそうです」
「ああ、見えてるよ」
「マリアさん、わたしはなにをすればいいんです?」
エヴァの声がヒステリックな色を帯びはじめていた。
「今度はバズーカーを撃てばいいのですか? それとももう一度マシンガン?」
「いいや、エヴァ。おまえはなにもしなくていい」
マリアは後部座席の上に足をかけると、からだを半身乗り出して身構えた。
「おまえは囮だからな」
「え? どういうことですの?」
「丸焼けだけにはなるな!」
マリアは後部座席を蹴飛ばして、宙に飛んだ。
その瞬間、ドラゴンの口から炎がふきだす。
が、マリアは引っぱっていたロープから手を離していた。めいっぱい引寄せられていたドラゴンの頭は、その反動でうしろへのけぞった。
天空にむかって炎が放たれる。そしてそれとどうじに、ドラゴンの腹が無防備でさらけだされた。
エヴァが背後からなにか悪態じみたことを叫んでいたが、マリアは無視した。
精神を集中して、手の中にとびっきりデカイ超大剣を呼びだした。
ドラキュラの時代の際帆船のうえでふるった、ごてごてとした装飾やら、意味のよくわからないギミックがついたあの剣だ。
「ドラゴンなんてぇヤツを相手にするなら……」
剣は空中でみるみる変形していき、10メートル近くにまでおおきくなっていく。
「やっぱ、ゴリゴリ『厨二病』の剣だろうなぁぁぁ!!」
マリアはドラゴンの腹に、ドン!、と剣を突き立てた。刀身にパリパリといなずまが走る。
「いけぇぇぇぇぇ」
上から下へむけて力づくで剣をふりぬいていく。
ドラゴンの腹が縦に裂ける。
ギャァァァァァァァァン
断末魔の悲鳴ともいえる、聞いたこともないような叫び。
マリアはなおも剣をぐいぐいと押し込み、しっぽの付け根まで剣をふりぬいていった。
剣を振り切ると、すぐさまぶらさがっているロープへ飛び移り、するすると下まで滑り降りていく。そのまま3階建ての貸間長屋の屋根の上に降りたった。
「どんなもんだ! エヴァ」
マリアが天空にむかった叫んだ。
「どんなもんだ、じゃないでしょう。マリアさん、よくもまぁ、仲間を囮にできますわね」
「おまえなら、あれくらい避けられるだろう」
そう言った瞬間、空中で悶絶していたドラゴンの腹がガバッと裂けて、緑色の体液とともに、臓物が街のうえに降り注ぎはじめた。
真下にいたマリアはその洗礼を思いっきり浴びた。
「うわぁ、きたねぇ。うへ、くせぇぇ」
べちゃ、べちゃっと気持ちのわるい音をたてて、ドラゴンの緑の血や体液、臓物が、街中に叩きつけられていく。
「エヴァ、見てねぇで、助けろ!」
マリアが顔についた緑の肉片をぬぐいとりながら言うと、バイクの上から余裕の表情でエヴァが答えた。
「あら、マリア様、あなたでしたら、これくらい避けられるのではありませんの?」
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