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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第211話 マリア&エヴァ 大型ドラゴン討伐3
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マリアは手を伸ばして、すぐ真上にあるドラゴンの腹をこづいてみた。表面はそれなりに硬かったが、押すと案外ぶよぶよしているのがわかった。
背中ほどには硬くねぇってことか——
ドラゴンの腹の硬さを確認していると、バイクの前部を真上にして、こちらへ突っ込んでくるエヴァのピストル・バイクの車影が見えた。
「エヴァ、そこから腹を撃て! こっちは背中ほど硬くねぇ」
マリアがぜんぶ言い終わるまえに、エヴァはトリガーをひいていた。
ガガガガガガガガ……
闇をつんざくような、けたたましい音がこちらへむかって放たれた。弾丸はマリアの横をかすめながら、ドラゴンの腹に着弾した。背中とは比較にならないほど、易々と弾丸がめりこんでいく。噴き出す緑の体液。
その脇を下からロケットのような勢いで、エヴァのバイクが駆け抜けていく。
グォグォグォォォォォオ……
痛みにのたうちまわり、ドラゴンがからだをくねらせた。ロープがたわんで、マリアは四方八方へ振り回された。マリアはムチのようにしなるロープにしがみつきながら、上空にむかって悪態をついた。
「なんだ、エヴァ。思い切りがわりぃな。バズーカー一発で終わりだったろう!」
エヴァからの返事はなかった。
おそらく声が届かないほど、上空まで駆け上がってしまったのだろう。マリアはしかたなく、自分でとどめを刺すことにした。
だが、予測もつかない動きで、ぐるぐると回るロープ片手に、背中から剣を抜くのは至難の技だった。
マリアが悪戦苦闘していると、そこへエヴァのピストル・バイクがやってきて、マリアの脇に横付けした。
「マリアさん。思い切ってよかったのですか? わたしがバズーカーを撃ったら、あなたの活躍の場がなくなってしまうでしょうに。だから加減したのです」
「は、それはお気遣いどうも!」
「で、どうするんです?」
マリアはロープをもったまま、バイクの後部座席へ飛び乗った。
「こいつの弱点は腹だとわかったんだ。腹を狙うさ」
「どうやって?」
「こうやってだ」
そう言うと渾身の力をこめてロープをひいた。ドラゴンの首がぐっとバイクのほうへ引寄せられる。そのままドラゴンの頭がバイクをこすりそうなところまでひっぱったが、マリアは手をゆるめない。
「マリアさん。力自慢はわかりました。でもドラゴンと目があいましたよ。まずくはないのですか?」
「いいや。これでいい」
背中ほどには硬くねぇってことか——
ドラゴンの腹の硬さを確認していると、バイクの前部を真上にして、こちらへ突っ込んでくるエヴァのピストル・バイクの車影が見えた。
「エヴァ、そこから腹を撃て! こっちは背中ほど硬くねぇ」
マリアがぜんぶ言い終わるまえに、エヴァはトリガーをひいていた。
ガガガガガガガガ……
闇をつんざくような、けたたましい音がこちらへむかって放たれた。弾丸はマリアの横をかすめながら、ドラゴンの腹に着弾した。背中とは比較にならないほど、易々と弾丸がめりこんでいく。噴き出す緑の体液。
その脇を下からロケットのような勢いで、エヴァのバイクが駆け抜けていく。
グォグォグォォォォォオ……
痛みにのたうちまわり、ドラゴンがからだをくねらせた。ロープがたわんで、マリアは四方八方へ振り回された。マリアはムチのようにしなるロープにしがみつきながら、上空にむかって悪態をついた。
「なんだ、エヴァ。思い切りがわりぃな。バズーカー一発で終わりだったろう!」
エヴァからの返事はなかった。
おそらく声が届かないほど、上空まで駆け上がってしまったのだろう。マリアはしかたなく、自分でとどめを刺すことにした。
だが、予測もつかない動きで、ぐるぐると回るロープ片手に、背中から剣を抜くのは至難の技だった。
マリアが悪戦苦闘していると、そこへエヴァのピストル・バイクがやってきて、マリアの脇に横付けした。
「マリアさん。思い切ってよかったのですか? わたしがバズーカーを撃ったら、あなたの活躍の場がなくなってしまうでしょうに。だから加減したのです」
「は、それはお気遣いどうも!」
「で、どうするんです?」
マリアはロープをもったまま、バイクの後部座席へ飛び乗った。
「こいつの弱点は腹だとわかったんだ。腹を狙うさ」
「どうやって?」
「こうやってだ」
そう言うと渾身の力をこめてロープをひいた。ドラゴンの首がぐっとバイクのほうへ引寄せられる。そのままドラゴンの頭がバイクをこすりそうなところまでひっぱったが、マリアは手をゆるめない。
「マリアさん。力自慢はわかりました。でもドラゴンと目があいましたよ。まずくはないのですか?」
「いいや。これでいい」
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