683 / 935
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第207話 マリア・エヴァ 大型ドラゴン戦2
しおりを挟む
ど派手な爆発音がして、ドラゴンのからだが沈んだ。
「浅いっ!」
マリアが耳元で叫んだ。
「でも動きをとめました!」
「落ちるぞ!」
「どうします?」
「横につけろ!」
エヴァはスロットルをふかすと、羽根を必死で羽ばたかせて、落下しまいとあえいでいるドラゴンにちかづいた。マリアが後部座席のうえで立ちあがり剣を構えた。
「すれ違いざまに斬る」
「了解です!」
エヴァは悶絶するドラゴンの脇をすり抜ける軌道で、バイクを疾駆させた。
マリアが剣をおおきく振り抜いた。
グォォォォォォォン
苦しげな重々しい低い咆哮が響く。
エヴァには見えなかったが、マリアの剣がドラゴンのどこかしらを切り裂いたのは確かだった。だが斬りつけた反動でバイクがうしろに押し戻されそうになる。
思いっきりスロットルをまわす。
なんとかバイクはドラゴンの真横をすり抜けた。
「マリアさん、やりました?」
「だめだ!。あれじゃあ、表面をなめただけだ」
「切り裂いたんじゃないんですの?」
「角度が足りなかった。エヴァ、もう一度頼む! 今度はうまくやる」
エヴァはすぐさまハンドルをひねって、バイクを反転させた。
「今度は正面からになりますが、大丈夫ですか?」
「ああ、また背後にまわっている余裕はねぇ。それにヤツはすでに手負いだ。なんとかするさ」
「わかりました。仕損じなきよう願います」
エヴァはスピードをあげた。
ドラゴンはさきほどより高度を下げていた。
放っておけば、そのまま街中に墜落するのではないか、という思いが一瞬頭をよぎったが、そうなればまたセイの力を借りることになる、と思い直した。
「マリアさん! もうすぐです」
ドラゴンの顔にバイクが近づいていく。ドラゴンの頭は下をむいていたが、背後から近づいていくのとは、あきらかに威圧感がちがった。
「ぶっころしてやる!!」
後部座席からマリアの威勢のよい雄叫びが聞こえた。
その瞬間、ふいにドラゴンが首をもちあげた。真正面からぐっとこちらを睨みつけている。
ドラゴンが口をおおきくひらいた。
まずい!!
「マリアさん、バイクにつかまってくださいっっっっっ!」
そう叫ぶやいなや、エヴァはバイクを真横に引き倒して、そのまま上下さかさまになるまで傾けた。
ドラゴンの口から火炎が放たれた。
ひっくり返ったバイクの底を炎がなめるように通り抜けていく。なにかが焦げる臭いがつんと鼻をつく。
あぶなかった——
逆さまのままバイクを下方にむけて走らせながら、エヴァはほっと胸をなでおろした。
「こらぁ、エヴァ。あいつ、口から火ぃ吹くなら、最初からそう言えぇ」
真下からマリアの叫び声が聞こえてきた。
うしろに目をむけると、マリアがバイクのでっぱり部分を掴んで、ぶらんとぶら下がっているのがみえた。
「おかげで剣を落としちまったじゃねぇか」
「あら、マリアさん。ドラゴンは火を吹くっていうのがお約束でしょうに」
「なぁにが、お約束だぁ。もうすこしで丸焼きになるところだったんだぜ」
エヴァはハンドルをひねってバイクを正常な位置に戻しながら嘆息した。
「では、次は丸焼けにならない妙案をお願いしますわ」
「浅いっ!」
マリアが耳元で叫んだ。
「でも動きをとめました!」
「落ちるぞ!」
「どうします?」
「横につけろ!」
エヴァはスロットルをふかすと、羽根を必死で羽ばたかせて、落下しまいとあえいでいるドラゴンにちかづいた。マリアが後部座席のうえで立ちあがり剣を構えた。
「すれ違いざまに斬る」
「了解です!」
エヴァは悶絶するドラゴンの脇をすり抜ける軌道で、バイクを疾駆させた。
マリアが剣をおおきく振り抜いた。
グォォォォォォォン
苦しげな重々しい低い咆哮が響く。
エヴァには見えなかったが、マリアの剣がドラゴンのどこかしらを切り裂いたのは確かだった。だが斬りつけた反動でバイクがうしろに押し戻されそうになる。
思いっきりスロットルをまわす。
なんとかバイクはドラゴンの真横をすり抜けた。
「マリアさん、やりました?」
「だめだ!。あれじゃあ、表面をなめただけだ」
「切り裂いたんじゃないんですの?」
「角度が足りなかった。エヴァ、もう一度頼む! 今度はうまくやる」
エヴァはすぐさまハンドルをひねって、バイクを反転させた。
「今度は正面からになりますが、大丈夫ですか?」
「ああ、また背後にまわっている余裕はねぇ。それにヤツはすでに手負いだ。なんとかするさ」
「わかりました。仕損じなきよう願います」
エヴァはスピードをあげた。
ドラゴンはさきほどより高度を下げていた。
放っておけば、そのまま街中に墜落するのではないか、という思いが一瞬頭をよぎったが、そうなればまたセイの力を借りることになる、と思い直した。
「マリアさん! もうすぐです」
ドラゴンの顔にバイクが近づいていく。ドラゴンの頭は下をむいていたが、背後から近づいていくのとは、あきらかに威圧感がちがった。
「ぶっころしてやる!!」
後部座席からマリアの威勢のよい雄叫びが聞こえた。
その瞬間、ふいにドラゴンが首をもちあげた。真正面からぐっとこちらを睨みつけている。
ドラゴンが口をおおきくひらいた。
まずい!!
「マリアさん、バイクにつかまってくださいっっっっっ!」
そう叫ぶやいなや、エヴァはバイクを真横に引き倒して、そのまま上下さかさまになるまで傾けた。
ドラゴンの口から火炎が放たれた。
ひっくり返ったバイクの底を炎がなめるように通り抜けていく。なにかが焦げる臭いがつんと鼻をつく。
あぶなかった——
逆さまのままバイクを下方にむけて走らせながら、エヴァはほっと胸をなでおろした。
「こらぁ、エヴァ。あいつ、口から火ぃ吹くなら、最初からそう言えぇ」
真下からマリアの叫び声が聞こえてきた。
うしろに目をむけると、マリアがバイクのでっぱり部分を掴んで、ぶらんとぶら下がっているのがみえた。
「おかげで剣を落としちまったじゃねぇか」
「あら、マリアさん。ドラゴンは火を吹くっていうのがお約束でしょうに」
「なぁにが、お約束だぁ。もうすこしで丸焼きになるところだったんだぜ」
エヴァはハンドルをひねってバイクを正常な位置に戻しながら嘆息した。
「では、次は丸焼けにならない妙案をお願いしますわ」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる