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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第205話 セイ対レッド・ドラゴン4
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「なるほど、通路が狭かったのはこういうわけですか!」
スピロが感嘆の声をあげた。
ひとひとりしか通れない細い空間を、両側から剣で仕切っていたのは、剣でふたをして屋根をつくるためだったのだ。
そこまで見越したセイの戦術に、ゾーイはもう苦笑いしか浮かばなかった。
レッド・ドラゴンは空からも攻めあぐねてくれた。
「このまま通り抜けられれば、なんとかアニー・チャップマン嬢に追いつけそうです」
スピロが走りながら叫んだ。
それがセイにむけたものか、自分にむけたものかわからなかったが、ゾーイは相槌をいれた。
「お姉さま、殺害前に見つけてみせるさ」
「ゾーイ、お願いします!」
「まかせておくれ!」
ゾーイが決意もあらたに、そう答えた刹那、狭い道路のむこうから、おおきな物体がこちらにむかって滑空してくるのがみえた。
大型ドラゴンだった。
背後からエヴァとマリアが乗ったピストル・バイクが追撃している。
ガガガガガガガガ……
マシンガンの音が響いた。
「セイさん!、どいてくださいぃぃぃぃぃ」
上空からエヴァの警告の声が聞こえてくる。
「こっちに突っ込んできますわ!」
ネルが悲鳴とも思える声をあげた。
「みんな、ふせて!!」
セイの号令に、あわてて全員がその場で腹ばいになる。
大型ドラゴンが空を翔んでいるレッド・ドラゴンをはね飛ばし、さらに地上にいる連中をもなぎ倒しながら、地面すれすれで滑空してきた。
セイがいそいで刀剣の柵を正面にふりむけて、防壁にしようとしたが間に合わなかった。
ガチャガチャと刃同士が盛大な音をたててぶつかり、横に上にと構築していた刀剣の柵が、あたりに勢いよくはじき飛ばされていった。
寝そべったゾーイたちの背中の上を、ドラゴンが通り抜けていく。
と、それに続いて、エヴァのピストル・バイクが駆け抜ける。
「エヴァ、なにやってやがる!」
マリアの声が真上を駆け抜けていったが、そのままドラゴンを追いかけて、声ごと上空に消えていった。
「やってくれるよ……」
セイが服をはたきながらたちあがった。
スピロは呆れ返って上を見あげながら言った。
「まったく、マリア様もエヴァ様も、無茶ばかりされますね」
「せっかく、セイさんが作った、刀剣の柵がだいなしじゃないか」
ゾーイは腹立たしさ半分で、セイを気づかった。セイはさばさばとした口調で、肩をすくめてみせた。
「まぁ、しかたがないさ……」
「空を翔んでいるレッド・ドラゴンは、責任をもって片づけてくれって、マリアに言ったのはぼくだからね」
「こうなることを予想してなかった、ぼくがわるいのさ」
スピロが感嘆の声をあげた。
ひとひとりしか通れない細い空間を、両側から剣で仕切っていたのは、剣でふたをして屋根をつくるためだったのだ。
そこまで見越したセイの戦術に、ゾーイはもう苦笑いしか浮かばなかった。
レッド・ドラゴンは空からも攻めあぐねてくれた。
「このまま通り抜けられれば、なんとかアニー・チャップマン嬢に追いつけそうです」
スピロが走りながら叫んだ。
それがセイにむけたものか、自分にむけたものかわからなかったが、ゾーイは相槌をいれた。
「お姉さま、殺害前に見つけてみせるさ」
「ゾーイ、お願いします!」
「まかせておくれ!」
ゾーイが決意もあらたに、そう答えた刹那、狭い道路のむこうから、おおきな物体がこちらにむかって滑空してくるのがみえた。
大型ドラゴンだった。
背後からエヴァとマリアが乗ったピストル・バイクが追撃している。
ガガガガガガガガ……
マシンガンの音が響いた。
「セイさん!、どいてくださいぃぃぃぃぃ」
上空からエヴァの警告の声が聞こえてくる。
「こっちに突っ込んできますわ!」
ネルが悲鳴とも思える声をあげた。
「みんな、ふせて!!」
セイの号令に、あわてて全員がその場で腹ばいになる。
大型ドラゴンが空を翔んでいるレッド・ドラゴンをはね飛ばし、さらに地上にいる連中をもなぎ倒しながら、地面すれすれで滑空してきた。
セイがいそいで刀剣の柵を正面にふりむけて、防壁にしようとしたが間に合わなかった。
ガチャガチャと刃同士が盛大な音をたててぶつかり、横に上にと構築していた刀剣の柵が、あたりに勢いよくはじき飛ばされていった。
寝そべったゾーイたちの背中の上を、ドラゴンが通り抜けていく。
と、それに続いて、エヴァのピストル・バイクが駆け抜ける。
「エヴァ、なにやってやがる!」
マリアの声が真上を駆け抜けていったが、そのままドラゴンを追いかけて、声ごと上空に消えていった。
「やってくれるよ……」
セイが服をはたきながらたちあがった。
スピロは呆れ返って上を見あげながら言った。
「まったく、マリア様もエヴァ様も、無茶ばかりされますね」
「せっかく、セイさんが作った、刀剣の柵がだいなしじゃないか」
ゾーイは腹立たしさ半分で、セイを気づかった。セイはさばさばとした口調で、肩をすくめてみせた。
「まぁ、しかたがないさ……」
「空を翔んでいるレッド・ドラゴンは、責任をもって片づけてくれって、マリアに言ったのはぼくだからね」
「こうなることを予想してなかった、ぼくがわるいのさ」
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