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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第194話 ブラム・ストーカー殺される
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「フロイトさま、これはわたくしたち未来人に対抗する悪魔のルール、のようなものです。悪魔はひとのからだを乗っ取ることで、この世界に手を出すことができるのですが、そのときにその人物のもつ思考や想像力や創造の源などを利用して、自分の配下を作ることができるのです」
「ほら、みんなも前回みただろ。あたいらがミアズマって呼んでいたあのバケモノ」
ゾーイがむずかしい言い回しをするスピロを援護するように声をあげた。
「あいつはコナン・ドイルさんの指摘どおり、『プロビデンスの目』をモチーフにして創造されたもんだったんだ。そしてあれはフリーメーソンに所属していた王室の侍医ウィリアム・ガル卿の力を借りたものだったんだよ」
「古代ギリシアのときには、『デウス・エクス・マキナ』の力を得るために、悪魔は喜劇詩人アリストパネスさんを殺しましたからね」
エヴァはいまいましそうに言った。その口調からは、あの失敗を引きずっているのが見てとれた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ」
コナン・ドイルがいきなり割って入ってきた。
「ーーってことはなんです?。次の現場にはブラム・ストーカーさんの創造物、ドラキュラが現われるってぇことなんですか。いやぁ、そりゃ勘弁してほしいなーー。あたしゃね、血がどうにも苦手でしてね。ええ、だから外科医とか、血をみるような——」
「アーサー。そんなことはどうでもいいんだよ!」
マシュー・バリーは苛立ちをコナン・ドイルにぶつけた。
「今回はブラム・ストーカー氏の番だったが、このままつづけたら次はボクらのだれかが悪魔にやられるってことだよ」
室内がしずまりかえった。
だれもが薄々感じながら口にできなかったことを、あからさまに語ったのだ。
「おい、ジェームス!」
マリアがマシュー・バリーをにらみつけた。
「今回で終わりにすりゃいいだろうが。勝手に未来に怯えてんじゃねぇ」
「だが、俺様はもうこれ以上こんな危険なことに足を突っ込むのは勘弁だな」
スティーブンソンがマリアを否定するように言った。
「歴史に残る連続殺人事件ってぇのは魅力的だったが、殺される危険性があるんじゃあ、たまったモンじゃねぇ」
「ああ、そうだね。ロバートの言うとおりだ」
ワイルドも意見する。
「僕も命を賭してまで、この件には深入りはできそうもない。エイブラハムの亡骸を前にして泣き崩れているフローレンスの姿を見たあとではとてもね」
「ほら、みんなも前回みただろ。あたいらがミアズマって呼んでいたあのバケモノ」
ゾーイがむずかしい言い回しをするスピロを援護するように声をあげた。
「あいつはコナン・ドイルさんの指摘どおり、『プロビデンスの目』をモチーフにして創造されたもんだったんだ。そしてあれはフリーメーソンに所属していた王室の侍医ウィリアム・ガル卿の力を借りたものだったんだよ」
「古代ギリシアのときには、『デウス・エクス・マキナ』の力を得るために、悪魔は喜劇詩人アリストパネスさんを殺しましたからね」
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「ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ」
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「アーサー。そんなことはどうでもいいんだよ!」
マシュー・バリーは苛立ちをコナン・ドイルにぶつけた。
「今回はブラム・ストーカー氏の番だったが、このままつづけたら次はボクらのだれかが悪魔にやられるってことだよ」
室内がしずまりかえった。
だれもが薄々感じながら口にできなかったことを、あからさまに語ったのだ。
「おい、ジェームス!」
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「今回で終わりにすりゃいいだろうが。勝手に未来に怯えてんじゃねぇ」
「だが、俺様はもうこれ以上こんな危険なことに足を突っ込むのは勘弁だな」
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「歴史に残る連続殺人事件ってぇのは魅力的だったが、殺される危険性があるんじゃあ、たまったモンじゃねぇ」
「ああ、そうだね。ロバートの言うとおりだ」
ワイルドも意見する。
「僕も命を賭してまで、この件には深入りはできそうもない。エイブラハムの亡骸を前にして泣き崩れているフローレンスの姿を見たあとではとてもね」
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