661 / 935
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第185話 エレファントマンとの出会い3
しおりを挟む
「ジョゼフ・メリック様。わたしは未来のギリシアから参りました。スピロ・クロニスです。お目にかかれて光栄です」
スピロたちは簡単に自己紹介を済ませると、自分たちが未来から来た人物であることを手短に話した。
メリックは突拍子もない話を、拍子抜けするほど簡単に信じてくれた。
「わたし・の・ような・ものが・この世にいる・のだ。なんだって・信じられ・るさ」
メリックのウィットにとんだひとことで、どこか張りつめていた空気がゆるんだ。
スピロはメリックの部屋をさっと見回した。
部屋のひろさは、今借りている下宿の居間をひとまわりちいさくしたほどだろうか。その部屋に、ベッドとベッドサイドテーブル、机と椅子、そして、ちいさな丸テーブルを囲む応接セット。そして部屋の壁に暖炉がある。
応接セットには、自分とマリア、対面にメリックとトレヴェス医師が座り、セイ、ゾーイ、そしてリンタロウは、そのうしろに立っていた。
この人数ではさすがに狭いが、ひとりでゆったりと暮らすには充分だろう。
ただ、窓から見える景色は快適とはほど遠い。
ここはベーカー・ストリートを見おろせる二階ではない。
地下室につくられたメリックの部屋から見えるのは、ベッドステッド・スクエアと名付けられた殺風景な中庭だけ。
それを下から見あげるだけだった。
「きみらは・どうして・この世界・に?」
「切り裂きジャックの犯行をとめにきたんです」
セイが言った
「切・り裂き・ジャック?」
「これから、 ロンドン中を恐怖におとしいれる殺人鬼の名前です」
リンタロウがくちぞえすると、マリアも会話にくわわってきた。
「つい三日前、ひとり目がホワイトチャペルで殺されたのを知らねぇか?」
「ああ…… 新聞・で・読んだ」
「それが第一の事件なんですよ。ぼくたちは犯行をとめようとしたんですけど、悪魔にはばまれてしまって……」
「悪魔? きみ・たちは・悪魔と戦って・いるのかい?」
「まぁな。そういう特別なパワーももってるからな」
「未来の・人間も・たいへん・だね」
メリックのつよい希望があったので、スピロは切裂きジャックの5つの事件をかいつまんで説明することになった。
表情がまったく読み取れなかったので、どんな気持ちを話を聞いていたかはわからなかったが、メリックが開口一番に言ってきたのは意外なことだった。
スピロたちは簡単に自己紹介を済ませると、自分たちが未来から来た人物であることを手短に話した。
メリックは突拍子もない話を、拍子抜けするほど簡単に信じてくれた。
「わたし・の・ような・ものが・この世にいる・のだ。なんだって・信じられ・るさ」
メリックのウィットにとんだひとことで、どこか張りつめていた空気がゆるんだ。
スピロはメリックの部屋をさっと見回した。
部屋のひろさは、今借りている下宿の居間をひとまわりちいさくしたほどだろうか。その部屋に、ベッドとベッドサイドテーブル、机と椅子、そして、ちいさな丸テーブルを囲む応接セット。そして部屋の壁に暖炉がある。
応接セットには、自分とマリア、対面にメリックとトレヴェス医師が座り、セイ、ゾーイ、そしてリンタロウは、そのうしろに立っていた。
この人数ではさすがに狭いが、ひとりでゆったりと暮らすには充分だろう。
ただ、窓から見える景色は快適とはほど遠い。
ここはベーカー・ストリートを見おろせる二階ではない。
地下室につくられたメリックの部屋から見えるのは、ベッドステッド・スクエアと名付けられた殺風景な中庭だけ。
それを下から見あげるだけだった。
「きみらは・どうして・この世界・に?」
「切り裂きジャックの犯行をとめにきたんです」
セイが言った
「切・り裂き・ジャック?」
「これから、 ロンドン中を恐怖におとしいれる殺人鬼の名前です」
リンタロウがくちぞえすると、マリアも会話にくわわってきた。
「つい三日前、ひとり目がホワイトチャペルで殺されたのを知らねぇか?」
「ああ…… 新聞・で・読んだ」
「それが第一の事件なんですよ。ぼくたちは犯行をとめようとしたんですけど、悪魔にはばまれてしまって……」
「悪魔? きみ・たちは・悪魔と戦って・いるのかい?」
「まぁな。そういう特別なパワーももってるからな」
「未来の・人間も・たいへん・だね」
メリックのつよい希望があったので、スピロは切裂きジャックの5つの事件をかいつまんで説明することになった。
表情がまったく読み取れなかったので、どんな気持ちを話を聞いていたかはわからなかったが、メリックが開口一番に言ってきたのは意外なことだった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる