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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第151話 マリアがコナン・ドイルとマシュー・バリーを煽る
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そう、原因はマリアだった——
マリアはふたりのうしろから、ミアズマに大剣でとどめをさしていた。
が、そのスピードがどんどんあがっていき、コナン・ドイルとマシュー・バリーをを追い立てていたのだ。
荒ぶるマリアの剣は、動きをとめたミアズマも、動いているものもかまわず、容赦なく浴びせられた。
その太刀がミアズマの体躯を前にむかって空中たかくはね上げていた。
コナン・ドイルやマシュー・バリーからすると、先ほどまでのマリアが先陣で斬りまくっていたときのほうがましだったかもしれない。正面から肉片や体液が降り注いでくるだけだからだ。
だが、いまの彼らはまるで背後から、馬車ほどおおきさの噴石を投げつけられているようなもので、ドスン、ドスンという地面を揺るがす衝撃音が背後から迫ってくるにつれ、顔色がうしなわれていっていた。
「よし、抜けたぞ!」
マリアが晴れがましい声で叫んだ。
コナン・ドイルもマシュー・バリーも石畳の上に突っ伏すように転がり、大の字に倒れ込んだ。マリアはブンと剣をふるって、刃先についたミアズマの体液を振り払うと、仰向けに倒れたままのふたりのほうへ歩みよって、「さぁ、いくぜ」と声をかけた。
ふたりとも恨みがましい目で、マリアをみあげたが、背中で息をするほどの状態では、呻き声ひとつでないようだった。
エヴァはマリアの無軌道ぶりに突き合わされた、コナン・ドイルもマシュー・バリーを憐れに思ったが、とりあえずセイたちのほうへむかうことができそうだと判断した。
エヴァは自分のお腹をぎゅっと掴んでいるネルの手を、すこし強めにパンパンと叩いた。その合図に呼応して、ネルが目をひらく。
エヴァはそれを確認することもなく、下を指さした。道路を埋め尽くすようにして死んでいるミアズマに、ネルがおおきな声をあげた。
「エヴァさん、あれはなんですの!」
エヴァはネルの耳元にうんと口を近づけると、大声を張りあげた。
「あなたを襲うことになるバケモノです。正体はわかりません」
自分たちがネルを守っているのは、そういうことなのだとわかってもらう必要があった。だから見てもらった。だが、あのミアズマの背中に見知ったここの住人の顔が貼り付いていることは言わないことにした。
さいわい、この薄暗さではそこまでは確認できない。
「安心してください、ネルさん。あなたをあのバケモノから守るのが、わたしたちの使命です」
ネルはその異形をみて、怖さを実感したのだろう。エヴァの腰に手をまわして、ぎゅっと力をこめてきた。
「セイさんたちのいるところへ戻ります」
「あたしはどうすればいいの……?」
エヴァはこれ以上ないほど声を張りあげた。
「これまで以上に、目と耳をふさいでいてください」
マリアはふたりのうしろから、ミアズマに大剣でとどめをさしていた。
が、そのスピードがどんどんあがっていき、コナン・ドイルとマシュー・バリーをを追い立てていたのだ。
荒ぶるマリアの剣は、動きをとめたミアズマも、動いているものもかまわず、容赦なく浴びせられた。
その太刀がミアズマの体躯を前にむかって空中たかくはね上げていた。
コナン・ドイルやマシュー・バリーからすると、先ほどまでのマリアが先陣で斬りまくっていたときのほうがましだったかもしれない。正面から肉片や体液が降り注いでくるだけだからだ。
だが、いまの彼らはまるで背後から、馬車ほどおおきさの噴石を投げつけられているようなもので、ドスン、ドスンという地面を揺るがす衝撃音が背後から迫ってくるにつれ、顔色がうしなわれていっていた。
「よし、抜けたぞ!」
マリアが晴れがましい声で叫んだ。
コナン・ドイルもマシュー・バリーも石畳の上に突っ伏すように転がり、大の字に倒れ込んだ。マリアはブンと剣をふるって、刃先についたミアズマの体液を振り払うと、仰向けに倒れたままのふたりのほうへ歩みよって、「さぁ、いくぜ」と声をかけた。
ふたりとも恨みがましい目で、マリアをみあげたが、背中で息をするほどの状態では、呻き声ひとつでないようだった。
エヴァはマリアの無軌道ぶりに突き合わされた、コナン・ドイルもマシュー・バリーを憐れに思ったが、とりあえずセイたちのほうへむかうことができそうだと判断した。
エヴァは自分のお腹をぎゅっと掴んでいるネルの手を、すこし強めにパンパンと叩いた。その合図に呼応して、ネルが目をひらく。
エヴァはそれを確認することもなく、下を指さした。道路を埋め尽くすようにして死んでいるミアズマに、ネルがおおきな声をあげた。
「エヴァさん、あれはなんですの!」
エヴァはネルの耳元にうんと口を近づけると、大声を張りあげた。
「あなたを襲うことになるバケモノです。正体はわかりません」
自分たちがネルを守っているのは、そういうことなのだとわかってもらう必要があった。だから見てもらった。だが、あのミアズマの背中に見知ったここの住人の顔が貼り付いていることは言わないことにした。
さいわい、この薄暗さではそこまでは確認できない。
「安心してください、ネルさん。あなたをあのバケモノから守るのが、わたしたちの使命です」
ネルはその異形をみて、怖さを実感したのだろう。エヴァの腰に手をまわして、ぎゅっと力をこめてきた。
「セイさんたちのいるところへ戻ります」
「あたしはどうすればいいの……?」
エヴァはこれ以上ないほど声を張りあげた。
「これまで以上に、目と耳をふさいでいてください」
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