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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第145話 コスミンスキーの居場所を確認
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「そういうことだよ。アーサー」
マシュー・バリーがマリアのことばを受け取って、ドイルに問いかけた。
「はて、そりゃ、どういう?」
「この真夜中に、どこの工場が稼動して、どこの汽車が動いているっていうんだ!」
ようやく合点がいったのか、コナン・ドイルがはたと手を打った。
「ああ。なるほどねぇ。いやぁ、あたしのような田舎もんでは、とんと気づきゃしませんよ」
「ちょっと待ってくれ、アーサー」
コナン・ドイルのしょうもない言い訳を、マシュー・バリーが真顔で制した。
「おかしい。コスミンスキーの部屋、突然ひと気が感じられなくなった」
「ジェームス。おかしかないでしょう。こんな時間ですよ。寝たにきまってるじゃないですかぁ」
「確認しようじゃないか」
「ど、どうやってぇ?」
「部屋にちかづいて、じかになかを覗くしかないだろう」
「部屋ンなかを覗くぅ?。ジェームス。いきなり襲われたら、ど、どうすンですかぁ」
なかば本気でおそれおののいているコナン・ドイルに、バリーはうんざりとした目をむけた。
「アーサー、君はボクシングができるのだろう。もし何者かに襲われたとしても、君だけは自分の身を守れるだろう」
「いや、だって……、そのコスミンスキーって人、精神が病んでる、ビョーキだって話じゃないですかぁ」
「アーサー、君は医者だろ。病気をなおす専門家が、そんなにこのコスミンスキーをおそれてどうするのかね
」
「いや……、そう言われましてもですねぇ。こころの病は専門外でしてぇ……」
なおも尻込みするドイルをマシュー・バリーが、背中に力をこめてなかば強引に前に押しだした。
「さぁ、確認しようじゃないか」
そう言うや、マシュー・バリーは堂々と通路を横切ると、明かりの漏れているコスミンスキーの部屋の下まで近づいた。見つからないよう距離をとっていたことなど、すっかり忘れた風で、薄汚れたガラス窓から中を覗き込もうとした。だが身長160センチほどしかない小柄のマシュー・バリーは、必死で背伸びをししてもギリギリ目線が届かないようだった。
「アーサー、すまない。ボクの身長ではどうにも内部をうかがいしれん」
そうマシュー・バリーに促されたが、コナン・ドイルはどうにも近づきたくないらしく、「ジェームス、ぼくが君を持ちあげるから、自分の目で確認してみてくれないか」と提案してきた。
「おい、アーサー!!。おまえ、なんて言い草だ。背の低いのバカにすんじゃねえぞ!」
マリアがバリーより先に声をあげた。自分の背丈のことを小馬鹿にされた気分になって、つい声がおおきくなる。
「し、しずかに!。マリアさん」
おどろいてドイルが口元に人さし指をあてがったが、マリアはそんなことかまわず、さらに怒鳴りつけた。
「アーサー、さっさと部屋ンなかをのぞけぇ!」
その剣幕におそれをなしたのか、コナン・ドイルは巨体を前につんのめらせるようにして窓にちかづいた。
「ややっ、だれもいない!!」
「い・な・い・だとぉ。ずっとオレたちはあの部屋と、あの建物の入り口から目を離さなかったはずだぞ」
マシュー・バリーがマリアのことばを受け取って、ドイルに問いかけた。
「はて、そりゃ、どういう?」
「この真夜中に、どこの工場が稼動して、どこの汽車が動いているっていうんだ!」
ようやく合点がいったのか、コナン・ドイルがはたと手を打った。
「ああ。なるほどねぇ。いやぁ、あたしのような田舎もんでは、とんと気づきゃしませんよ」
「ちょっと待ってくれ、アーサー」
コナン・ドイルのしょうもない言い訳を、マシュー・バリーが真顔で制した。
「おかしい。コスミンスキーの部屋、突然ひと気が感じられなくなった」
「ジェームス。おかしかないでしょう。こんな時間ですよ。寝たにきまってるじゃないですかぁ」
「確認しようじゃないか」
「ど、どうやってぇ?」
「部屋にちかづいて、じかになかを覗くしかないだろう」
「部屋ンなかを覗くぅ?。ジェームス。いきなり襲われたら、ど、どうすンですかぁ」
なかば本気でおそれおののいているコナン・ドイルに、バリーはうんざりとした目をむけた。
「アーサー、君はボクシングができるのだろう。もし何者かに襲われたとしても、君だけは自分の身を守れるだろう」
「いや、だって……、そのコスミンスキーって人、精神が病んでる、ビョーキだって話じゃないですかぁ」
「アーサー、君は医者だろ。病気をなおす専門家が、そんなにこのコスミンスキーをおそれてどうするのかね
」
「いや……、そう言われましてもですねぇ。こころの病は専門外でしてぇ……」
なおも尻込みするドイルをマシュー・バリーが、背中に力をこめてなかば強引に前に押しだした。
「さぁ、確認しようじゃないか」
そう言うや、マシュー・バリーは堂々と通路を横切ると、明かりの漏れているコスミンスキーの部屋の下まで近づいた。見つからないよう距離をとっていたことなど、すっかり忘れた風で、薄汚れたガラス窓から中を覗き込もうとした。だが身長160センチほどしかない小柄のマシュー・バリーは、必死で背伸びをししてもギリギリ目線が届かないようだった。
「アーサー、すまない。ボクの身長ではどうにも内部をうかがいしれん」
そうマシュー・バリーに促されたが、コナン・ドイルはどうにも近づきたくないらしく、「ジェームス、ぼくが君を持ちあげるから、自分の目で確認してみてくれないか」と提案してきた。
「おい、アーサー!!。おまえ、なんて言い草だ。背の低いのバカにすんじゃねえぞ!」
マリアがバリーより先に声をあげた。自分の背丈のことを小馬鹿にされた気分になって、つい声がおおきくなる。
「し、しずかに!。マリアさん」
おどろいてドイルが口元に人さし指をあてがったが、マリアはそんなことかまわず、さらに怒鳴りつけた。
「アーサー、さっさと部屋ンなかをのぞけぇ!」
その剣幕におそれをなしたのか、コナン・ドイルは巨体を前につんのめらせるようにして窓にちかづいた。
「ややっ、だれもいない!!」
「い・な・い・だとぉ。ずっとオレたちはあの部屋と、あの建物の入り口から目を離さなかったはずだぞ」
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