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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第100話 マーサ・タブラムが殺されました
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内密の話があるということで、セイをはじめとするサイコ・ダイバーズの5人は用意された別の部屋でアバーラインから話を聞くことになった。
ドイル、リンタロウとネル、H・G・ウェルズを連れたゴードリーは部屋の外で待機してもらうことになった。
スピロがアバーラインにきりだした。
「それで、アバーライン様、みんなの前で話せないこととはなんです?」
が、アバーラインはドアのほうを指さしながら、スピロに尋ねた。
「それより、本当なんですか?。あの青年がなんとかの始祖、そのサイエンス・フィク……」
「サイエンス・フィクション。通称『SF』。彼こそがSFの始祖『H・G・ウェルズ』そのひとです。さきほど言っていた『時の探検家たち』こそ、のちの小説『タイム・マシン』の原形ですからね」
「タイム・マシン……?。なんかすごそうな話ですね」
アバーラインが感心しきりの様子だったが、スピロは先を急がせた。
「で、なにが起きたのです?」
詰め寄るような口調に、アバーラインがすっと真顔になった。一度喉をはらってから言った。
「マーサ・タブラム嬢が殺されました」
「ほんとうですか!」
スピロはみんながおどろくほど、おおきな声をあげた。
「本来の事件よりも一ヶ月も早い!」
「ええ。ですが、手口はスピロさんあなたが教えてくれた手口そのものでした」
「じゃあ、からだじゅうをめった刺しにされてたっていうのかい?」
ゾーイがアバーラインに尋ねた。
「ええ、そうです」
「で、事件はいつ起きたんですの?」
エヴァも興味をそそられたらしい。
「昨晩です。すぐにお伝えしようとしたのですが、みなさんがどこに行っているかわかりませんでしたので。それにこれは私の事件ではなかったもので、事件の詳細を聞き出すのにも骨が折れましてね。なんでもメアリー・アン・コネリーという娼婦と、ふたりの兵士相手にパブで飲んだあと、ペアになった相手と12時頃に、ジョージ・ヤードのほうに向ったのが最後だったらしいんです」
「一ヶ月もはやく事件が起きたってぇことは、その次の事件も実際より早くなるんじゃねぇか、スピロ」
マリアが口にした可能性をきいて、セイもその先を考えた提案をした。
「スピロ。次の事件は今晩にでも起きるかもしれないよ。急いで戻ろう」
スピロは「そうですね」とちいさく呟いたが、そのままなにかを考え込んでから言った。
「いえ、今日はこのままにしましょう」
「なぜだい?。『切り裂きジャック』を捕まえないといけないんじゃないのかい?」
「セイ様。まだその名前は早いですよ。この時点ではその名称は使われていません。最初のうちは『レザー・エプロン』と呼ばれていました。そう呼んでください。なるべく時系列にそったほうが良いので」
「なんだ?。その『レザー・エプロン』なんていう間抜けな名前は?」
マリアが小馬鹿にしたような口をはさんできた。
ドイル、リンタロウとネル、H・G・ウェルズを連れたゴードリーは部屋の外で待機してもらうことになった。
スピロがアバーラインにきりだした。
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が、アバーラインはドアのほうを指さしながら、スピロに尋ねた。
「それより、本当なんですか?。あの青年がなんとかの始祖、そのサイエンス・フィク……」
「サイエンス・フィクション。通称『SF』。彼こそがSFの始祖『H・G・ウェルズ』そのひとです。さきほど言っていた『時の探検家たち』こそ、のちの小説『タイム・マシン』の原形ですからね」
「タイム・マシン……?。なんかすごそうな話ですね」
アバーラインが感心しきりの様子だったが、スピロは先を急がせた。
「で、なにが起きたのです?」
詰め寄るような口調に、アバーラインがすっと真顔になった。一度喉をはらってから言った。
「マーサ・タブラム嬢が殺されました」
「ほんとうですか!」
スピロはみんながおどろくほど、おおきな声をあげた。
「本来の事件よりも一ヶ月も早い!」
「ええ。ですが、手口はスピロさんあなたが教えてくれた手口そのものでした」
「じゃあ、からだじゅうをめった刺しにされてたっていうのかい?」
ゾーイがアバーラインに尋ねた。
「ええ、そうです」
「で、事件はいつ起きたんですの?」
エヴァも興味をそそられたらしい。
「昨晩です。すぐにお伝えしようとしたのですが、みなさんがどこに行っているかわかりませんでしたので。それにこれは私の事件ではなかったもので、事件の詳細を聞き出すのにも骨が折れましてね。なんでもメアリー・アン・コネリーという娼婦と、ふたりの兵士相手にパブで飲んだあと、ペアになった相手と12時頃に、ジョージ・ヤードのほうに向ったのが最後だったらしいんです」
「一ヶ月もはやく事件が起きたってぇことは、その次の事件も実際より早くなるんじゃねぇか、スピロ」
マリアが口にした可能性をきいて、セイもその先を考えた提案をした。
「スピロ。次の事件は今晩にでも起きるかもしれないよ。急いで戻ろう」
スピロは「そうですね」とちいさく呟いたが、そのままなにかを考え込んでから言った。
「いえ、今日はこのままにしましょう」
「なぜだい?。『切り裂きジャック』を捕まえないといけないんじゃないのかい?」
「セイ様。まだその名前は早いですよ。この時点ではその名称は使われていません。最初のうちは『レザー・エプロン』と呼ばれていました。そう呼んでください。なるべく時系列にそったほうが良いので」
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