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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第17話 ゾーイ、泥棒を捕らえる
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と、その時、暗がりの中を駆けていくちいさな影が見えた。そのあわただしい走り方は先ほどの泥棒にまちがいなかった。
「いました!」
その影は狭い路地からすっと抜けでてくると、馴れた様子で塀を軽々と乗り越え、壊れたレンガ塀の穴を当たり前のようにすりぬけて行った。
「見失うわけです。たいした手練れですわ」
「エヴァさん、高度落としとくれ!。あたいが飛びついて、あいつを捕まえるよ」
「手荒なマネは不要ですよ。あのお金を使わせないようにすればいいのですから」
エヴァはゾーイに注意を促しながら、バイクの車体を前に傾け、滑空するように一気に降下した。二階建ての貸間長屋の屋根すれすれまで近づくと、エンジン音をたてないよう慎重にバイクを路地の上空に侵入させる。
背後から見る限りでは、走っているのはどうやら少年らしい。ぱっと見た目ではマリアの背丈とさほどかわらない。暗くてよくわからなかったが、10歳程度だろうか。
路地の角を曲がったところで、やっと追手をまいたと確信したのか、彼はしだいに駆け足をゆるめ、ゆっくりと歩きはじめた。そして誰かを探すようにキョロキョロとあたりを見回した。
まさか背後……、しかも上空から追手が迫っているなどと、夢にも思いもしないだろう。
エヴァのバイクは、少年の頭のすぐ真上を通り抜けた。その瞬間、少年がハッとした。頭上を吹き抜けた風を、不自然に感じたのだろう。あわててうしろを振り向こうとした。
が、すでに遅かった。
バイクのリアシートからからだを踊らせていたゾーイが、背後から飛びかかり、少年を地面に押したおした。
ふいをつかれてなすすべもなく少年が地面に組み伏せられる。
地面に叩き伏せられた少年の、苦悶の声ともおどろきの声ともしれない「わっ」という短い声が、暗闇に響く。エヴァはすぐさま、ピストル・バイクを反転させるとゾーイのほうへ戻った。
「泥棒さん、わるいわね。盗んだお金かえしてもらいますわよ」
ゾーイはバイクを地面に着地させると、背中からゾーイの馬乗りされて抑え込まれている少年を見おろしながら言った。
少年は顔を地面からあげて悔しそうな目をエヴァにむけた。
「ここは『オールド・ニコル』だ。盗まれるほうが悪いのさ」
エヴァはその強気の態度の少年を腕組みして眺めた。
「そうですか。ではおなじように、捕まるほうが悪いってことですね」
少年は恨みがましい目をむけたが、すぐに背中の上のゾーイをなんとか振り落とそうと、からだをもがきはじめた。
だが、この世界でのゾーイのちからにかなうはずがない。
「いました!」
その影は狭い路地からすっと抜けでてくると、馴れた様子で塀を軽々と乗り越え、壊れたレンガ塀の穴を当たり前のようにすりぬけて行った。
「見失うわけです。たいした手練れですわ」
「エヴァさん、高度落としとくれ!。あたいが飛びついて、あいつを捕まえるよ」
「手荒なマネは不要ですよ。あのお金を使わせないようにすればいいのですから」
エヴァはゾーイに注意を促しながら、バイクの車体を前に傾け、滑空するように一気に降下した。二階建ての貸間長屋の屋根すれすれまで近づくと、エンジン音をたてないよう慎重にバイクを路地の上空に侵入させる。
背後から見る限りでは、走っているのはどうやら少年らしい。ぱっと見た目ではマリアの背丈とさほどかわらない。暗くてよくわからなかったが、10歳程度だろうか。
路地の角を曲がったところで、やっと追手をまいたと確信したのか、彼はしだいに駆け足をゆるめ、ゆっくりと歩きはじめた。そして誰かを探すようにキョロキョロとあたりを見回した。
まさか背後……、しかも上空から追手が迫っているなどと、夢にも思いもしないだろう。
エヴァのバイクは、少年の頭のすぐ真上を通り抜けた。その瞬間、少年がハッとした。頭上を吹き抜けた風を、不自然に感じたのだろう。あわててうしろを振り向こうとした。
が、すでに遅かった。
バイクのリアシートからからだを踊らせていたゾーイが、背後から飛びかかり、少年を地面に押したおした。
ふいをつかれてなすすべもなく少年が地面に組み伏せられる。
地面に叩き伏せられた少年の、苦悶の声ともおどろきの声ともしれない「わっ」という短い声が、暗闇に響く。エヴァはすぐさま、ピストル・バイクを反転させるとゾーイのほうへ戻った。
「泥棒さん、わるいわね。盗んだお金かえしてもらいますわよ」
ゾーイはバイクを地面に着地させると、背中からゾーイの馬乗りされて抑え込まれている少年を見おろしながら言った。
少年は顔を地面からあげて悔しそうな目をエヴァにむけた。
「ここは『オールド・ニコル』だ。盗まれるほうが悪いのさ」
エヴァはその強気の態度の少年を腕組みして眺めた。
「そうですか。ではおなじように、捕まるほうが悪いってことですね」
少年は恨みがましい目をむけたが、すぐに背中の上のゾーイをなんとか振り落とそうと、からだをもがきはじめた。
だが、この世界でのゾーイのちからにかなうはずがない。
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