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ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
第118話 あなたの望みを叶える
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「あなたの望みを叶える」
ロルフがそう言った瞬間、ドラキュラの足元が歪んだ。空気がまるで陽炎のように揺らいでみえたかと思うと、地面から何十本という槍が一気に突き出し、あっという間もなくドラキュラの体を貫いた。槍はそのまま天空に突きあげられ、ドラキュラの体は空中に踊る。
串刺しにされて中空に無残な姿を晒されて、ドラキュラは絶命していた。
「あなたが望んだドラキュラの死です」
ラドゥがジグムントの肩を乱暴に揺らした。
するとジグムントの頭上の空間が光に包まれ、別の男の顔がうっすらと浮かびでた。それはむさくるしい顎髭を生やした中年の男の顔だった。だが、その顔だちは、柔軟な思考を持つ聡明さと、融通のきかない厳格さをも同時に感じさせた。
その男性の魂がジグムントのからだから抜け出していく。
あまりにあっけない終わりに呆然としてたマリアは、ハッとして自分を取り戻すと、反射的にロルフに斬りかかった。真横に渾身の一撃を振りおろす。怒りと憤りと悔しさのこもった一撃だった。だが、その剣をロルフは避けようとしなかった。マリアの剣先をじっと見つめているだけだった。
その剣が振り抜かれたとき、ロルフのからだを輪切りにしたはずだった。だがその衝撃は手に伝わってこなかった。ロルフは落ち着いた目で言った。
「マリア、もうおしまいだ。要引揚者の魂の引き揚げは成功し、任務は完了した」
マリアは自分が振るった剣を見た。すでに刀身の先から半分以上が消えていた。剣先が届いていなかったのだ。マリアはもう一度剣を振り上げたが、そのとたん足が地面から浮きあがった。
「ちくしょう(verdammt)」
マリアは無駄を承知でロルフにむかって剣を振り回した。すでに柄の部分しかない剣は届くはずがなかった。
「ちくしょう(verdammt)」……」
ロルフのからだが上昇しはじめた。殴りかかってやろうと、空中でもがいた。だが、おなじスピードで上昇を続けている状態では、1ミリたりとも近づくことができなかった。
「【ちくしょう】」
マリアは日本語で吐き出した。
自分よりかなり上のほうにレオンとノアのからだが浮かんでいるのが見えた。ふたりはミッション・コンプリートにこころから満足そうな笑みをうかべて語りあっていた。
「【ちくしょう……】」
ロルフが下からこちらを見ていた。すでにその顔からは満足も、安堵もすっかり消えうせていた。要引揚者にトラウマを与えながら、引き揚げするという離れ業ですら、片手間であったかのような余裕をみせている。
「【ちくしょう……!!!、ちくしょおおおーーーっ!!!!!】」
ロルフがそう言った瞬間、ドラキュラの足元が歪んだ。空気がまるで陽炎のように揺らいでみえたかと思うと、地面から何十本という槍が一気に突き出し、あっという間もなくドラキュラの体を貫いた。槍はそのまま天空に突きあげられ、ドラキュラの体は空中に踊る。
串刺しにされて中空に無残な姿を晒されて、ドラキュラは絶命していた。
「あなたが望んだドラキュラの死です」
ラドゥがジグムントの肩を乱暴に揺らした。
するとジグムントの頭上の空間が光に包まれ、別の男の顔がうっすらと浮かびでた。それはむさくるしい顎髭を生やした中年の男の顔だった。だが、その顔だちは、柔軟な思考を持つ聡明さと、融通のきかない厳格さをも同時に感じさせた。
その男性の魂がジグムントのからだから抜け出していく。
あまりにあっけない終わりに呆然としてたマリアは、ハッとして自分を取り戻すと、反射的にロルフに斬りかかった。真横に渾身の一撃を振りおろす。怒りと憤りと悔しさのこもった一撃だった。だが、その剣をロルフは避けようとしなかった。マリアの剣先をじっと見つめているだけだった。
その剣が振り抜かれたとき、ロルフのからだを輪切りにしたはずだった。だがその衝撃は手に伝わってこなかった。ロルフは落ち着いた目で言った。
「マリア、もうおしまいだ。要引揚者の魂の引き揚げは成功し、任務は完了した」
マリアは自分が振るった剣を見た。すでに刀身の先から半分以上が消えていた。剣先が届いていなかったのだ。マリアはもう一度剣を振り上げたが、そのとたん足が地面から浮きあがった。
「ちくしょう(verdammt)」
マリアは無駄を承知でロルフにむかって剣を振り回した。すでに柄の部分しかない剣は届くはずがなかった。
「ちくしょう(verdammt)」……」
ロルフのからだが上昇しはじめた。殴りかかってやろうと、空中でもがいた。だが、おなじスピードで上昇を続けている状態では、1ミリたりとも近づくことができなかった。
「【ちくしょう】」
マリアは日本語で吐き出した。
自分よりかなり上のほうにレオンとノアのからだが浮かんでいるのが見えた。ふたりはミッション・コンプリートにこころから満足そうな笑みをうかべて語りあっていた。
「【ちくしょう……】」
ロルフが下からこちらを見ていた。すでにその顔からは満足も、安堵もすっかり消えうせていた。要引揚者にトラウマを与えながら、引き揚げするという離れ業ですら、片手間であったかのような余裕をみせている。
「【ちくしょう……!!!、ちくしょおおおーーーっ!!!!!】」
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