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ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
第107話 おや、マリア。まさか無事だったとは
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「おや、おや、マリア。まさか無事だったとは」
ロルフは馬からゆっくりと降りながら挑発してきた。
「それにずいぶん派手な、そうこの時代にはそぐわない格好をしている」
「そうね。あなたがあたしを吹っ飛ばして冒険させるものだから、こちらもちょっと冒険させてもらったの」
マリアは余裕の表情であおり返した。
「まぁ、ここに現れたということは、ぼくたちを邪魔するつもりなのだよね」
「逆よ。任務遂行を邪魔しているのは、ロルフ・ギュンター、あなたのほうよね。悪魔と手を組むなんて卑しいったらないわ」
「マリア。先ほども言ったはずだ。ぼくは悪魔と手を組むようなことをするはずがない」「信じられやしないわ。あの城壁を破壊するのに、悪魔の召喚した吸血鬼や、あのこうもりの怪物の力を借りたでしょう」
「まさか。そんなことする必要などないよ」
ロルフはそう言うと、背後でなりゆきを見守っていたレオンに目で合図した。レオンはなにも言わず、馬車の隊列の最後尾にむかうと、なにかを引き摺りながらもどってきた。
レオンは手を持ちあげると、引き摺ってきたものを見えるようにした。
それはストイカだった。
顔はがぐちゃぐちゃに潰れて血塗れになっていたため判別不可能だったが、特徴的な服装のおかげでかろうじてわかった。その服もあちこちが破れ、砂や泥にまみれているうえ、全身のいたるところから血が滲んでいた。ストイカは。なにか見えないもので拘束されているらしく、
「引き摺ってきたの?。ずいぶんぞんざいな扱いだこと」
「マリア、相手は悪魔なのだよ。なにひとつ配慮することなどあるまい」
「ふうん。あんなにやすやすと吸血鬼やこうもり人間を産み出したしたくらいだから、そこそこの能力の悪魔だったでしょうに」
マリアが哀れなストイカに目をやりながら、そう言うとレオンが口を開いた。
「一撃だったよ、マリア。ロルフさんは一撃であの怪物どもを根こそぎ殲滅したんだ」
レオンの口ぶりがやけに鼻高々に聞こえたので、マリアはすこし腹がたった。
「だから?。手を組んでた悪魔が用済になっただけなんでしょ。それに十二使徒になろうかという実力があるのだから、その程度できて当たり前じゃないかしら」
マリアが剣を前にふりたてて構えた。ロルフも腰から剣をひき抜いた。
「あぁ……。瑣末なことだ。実にね」
「でもこれだけ大軍でくるってことは、メフメトを討つの簡単ではないってことみたいね」
「いや、ただの仕上げだよ。イスタンブール陥落のおまけのようなものさ」
そう言って口元を緩めると、ロルフはレオンにむけて目で合図した。レオンはそれだけでわかったらしく、今度は一番手前にある馬車のなかから、後ろ手に縛られたジグムント少年を連れてきた。
ロルフは馬からゆっくりと降りながら挑発してきた。
「それにずいぶん派手な、そうこの時代にはそぐわない格好をしている」
「そうね。あなたがあたしを吹っ飛ばして冒険させるものだから、こちらもちょっと冒険させてもらったの」
マリアは余裕の表情であおり返した。
「まぁ、ここに現れたということは、ぼくたちを邪魔するつもりなのだよね」
「逆よ。任務遂行を邪魔しているのは、ロルフ・ギュンター、あなたのほうよね。悪魔と手を組むなんて卑しいったらないわ」
「マリア。先ほども言ったはずだ。ぼくは悪魔と手を組むようなことをするはずがない」「信じられやしないわ。あの城壁を破壊するのに、悪魔の召喚した吸血鬼や、あのこうもりの怪物の力を借りたでしょう」
「まさか。そんなことする必要などないよ」
ロルフはそう言うと、背後でなりゆきを見守っていたレオンに目で合図した。レオンはなにも言わず、馬車の隊列の最後尾にむかうと、なにかを引き摺りながらもどってきた。
レオンは手を持ちあげると、引き摺ってきたものを見えるようにした。
それはストイカだった。
顔はがぐちゃぐちゃに潰れて血塗れになっていたため判別不可能だったが、特徴的な服装のおかげでかろうじてわかった。その服もあちこちが破れ、砂や泥にまみれているうえ、全身のいたるところから血が滲んでいた。ストイカは。なにか見えないもので拘束されているらしく、
「引き摺ってきたの?。ずいぶんぞんざいな扱いだこと」
「マリア、相手は悪魔なのだよ。なにひとつ配慮することなどあるまい」
「ふうん。あんなにやすやすと吸血鬼やこうもり人間を産み出したしたくらいだから、そこそこの能力の悪魔だったでしょうに」
マリアが哀れなストイカに目をやりながら、そう言うとレオンが口を開いた。
「一撃だったよ、マリア。ロルフさんは一撃であの怪物どもを根こそぎ殲滅したんだ」
レオンの口ぶりがやけに鼻高々に聞こえたので、マリアはすこし腹がたった。
「だから?。手を組んでた悪魔が用済になっただけなんでしょ。それに十二使徒になろうかという実力があるのだから、その程度できて当たり前じゃないかしら」
マリアが剣を前にふりたてて構えた。ロルフも腰から剣をひき抜いた。
「あぁ……。瑣末なことだ。実にね」
「でもこれだけ大軍でくるってことは、メフメトを討つの簡単ではないってことみたいね」
「いや、ただの仕上げだよ。イスタンブール陥落のおまけのようなものさ」
そう言って口元を緩めると、ロルフはレオンにむけて目で合図した。レオンはそれだけでわかったらしく、今度は一番手前にある馬車のなかから、後ろ手に縛られたジグムント少年を連れてきた。
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