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ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
第99話 イスタンブール奪還!
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目の前のテオドシウス城壁の『外城壁』の『歩廊』のうえに、ワラキア国の旗があがった。そこへ十字軍の旗が続いて、翻りはじめる。
「おぉぉぉ、ついにイスタンブールを……落とした……」
ハンガリーのマーチャーシュ公がことばを詰まらせた。モルダヴィアのシュテファン公が駆け寄り、感極まるマーチャーシュ公の背中に手をやった。
「ヴラド、きみは本当の英雄だ」
シュテファン公がふりむいてヴラドに祝福のことばをかけた。ヴラドは顔色ひとつ変えることなく泰然自若とした様で、ゆっくりと前に進み出ると腕をつきあげ宣言した。
「キリスト教が、いや、『東方正教会』が、首都コンスタンティノープルを奪還したぞ!」
戦場の各所からおおきな歓声が沸き起こった。そのおおくは吸血鬼化したモンスターばかりだったので、牙をむきだし雄叫びをあげたり、凶暴な本能そのままに咆哮じみた声をあげて暴れ回ったりしていた。
シュテファン公とマーチャーシュ公はヴラドの元に近づくと、嬉しそうを満面に讚えながら交互に抱きあって、ともに喜びをわかちあった。
レオンはその勝利に酔いしれる君主たちの姿を見ながら胸がいっぱいになった。
だがロルフはまったく表情も変えずに、テオドシウスの城壁のほうを見ていた。
城壁は『蝙蝠の怪物』による杭打ち攻撃に、されるがままにあちこちが崩れおちていた。
地上では『吸血鬼』へ変貌した兵士たちが跋扈していた。不死からくる蛮勇に、狂気が加わり、もはや不死身の殺し屋集団と化していた。
トルコ兵たちは勇気を振り絞り、化物と戦っていたが、しょせん人間では立ちうちできなかった。吸血鬼集団は次々と兵を飲みこんでいくと、トルコ兵をも吸血鬼へと変貌させてつき従わせた。
こうなるとトルコ兵の数の優位も、経験の多さも、練度の高さも意味をなさなかった。
「殿。悪魔の手助けでイスタンブールを陥落させたのに、そんなに誇らしいのですか」
ロルフがヴラドにむかって鋭い視線をくれた。
「あぁ。結果こそがすべてだ。手助けしてくれるのなら、別に誰だってかまわんのだよ。それが、ストイカの悪魔だろうが、そなた、ロルフという名の悪魔であってもな」
「心外ですね。私をそこの三流悪魔と一緒くたにされてはね」
「あーーら。ロルフさん、でもその三流悪魔のあたくしに、先を超されたんじゃないのかしらねぇ」
「おぉぉぉ、ついにイスタンブールを……落とした……」
ハンガリーのマーチャーシュ公がことばを詰まらせた。モルダヴィアのシュテファン公が駆け寄り、感極まるマーチャーシュ公の背中に手をやった。
「ヴラド、きみは本当の英雄だ」
シュテファン公がふりむいてヴラドに祝福のことばをかけた。ヴラドは顔色ひとつ変えることなく泰然自若とした様で、ゆっくりと前に進み出ると腕をつきあげ宣言した。
「キリスト教が、いや、『東方正教会』が、首都コンスタンティノープルを奪還したぞ!」
戦場の各所からおおきな歓声が沸き起こった。そのおおくは吸血鬼化したモンスターばかりだったので、牙をむきだし雄叫びをあげたり、凶暴な本能そのままに咆哮じみた声をあげて暴れ回ったりしていた。
シュテファン公とマーチャーシュ公はヴラドの元に近づくと、嬉しそうを満面に讚えながら交互に抱きあって、ともに喜びをわかちあった。
レオンはその勝利に酔いしれる君主たちの姿を見ながら胸がいっぱいになった。
だがロルフはまったく表情も変えずに、テオドシウスの城壁のほうを見ていた。
城壁は『蝙蝠の怪物』による杭打ち攻撃に、されるがままにあちこちが崩れおちていた。
地上では『吸血鬼』へ変貌した兵士たちが跋扈していた。不死からくる蛮勇に、狂気が加わり、もはや不死身の殺し屋集団と化していた。
トルコ兵たちは勇気を振り絞り、化物と戦っていたが、しょせん人間では立ちうちできなかった。吸血鬼集団は次々と兵を飲みこんでいくと、トルコ兵をも吸血鬼へと変貌させてつき従わせた。
こうなるとトルコ兵の数の優位も、経験の多さも、練度の高さも意味をなさなかった。
「殿。悪魔の手助けでイスタンブールを陥落させたのに、そんなに誇らしいのですか」
ロルフがヴラドにむかって鋭い視線をくれた。
「あぁ。結果こそがすべてだ。手助けしてくれるのなら、別に誰だってかまわんのだよ。それが、ストイカの悪魔だろうが、そなた、ロルフという名の悪魔であってもな」
「心外ですね。私をそこの三流悪魔と一緒くたにされてはね」
「あーーら。ロルフさん、でもその三流悪魔のあたくしに、先を超されたんじゃないのかしらねぇ」
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