439 / 935
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
第87話 あのスピードの剣先を受けとめられるとはね
しおりを挟む
「あのスピードの剣先を受けとめられるとはね、まいったよ」
マリアは剣と剣の隙間から、ロルフを見あげながらにっこり笑った。
「哀れなロルフ。あなたの剣には致命傷があるのよ」
「致命傷?。そんなものがあるはずが……」
「風を感じるの。切っ先が届くより先に、風があたしの頬をなでるの」
それを聞いてロルフが、目を大きく見開いた。
「おどろいたな。今までだれにも見破られたことなどなかったのに。まさか……」
「ロルフ。みんな知ってたと思うわ。でもその剣を受けきれなかっただけ」
「だけどマリアちゃんはそれを受けきった」
「そりゃそうよ」
マリアはロルフと剣をまじえたまま、柄(ヒルト)に力をこめた
その瞬間、剣の幅が横におおきく広がった。マリアが手にしているのは、刃の幅が10cm程度もある幅広の「ブロードソード」だったが、それが一瞬で30cm以上の幅に広がり、厚みも一気に増して、分厚くなった。
「なるほどね。自在に剣を変えられるのか。まるで断頭台のギロチンの刃かと思ったよ」
「受ける必要がないの。瞬時に盾になってくれるから」
ロルフは額に手をやり、まいったという仕草をしながら苦笑した。
「きみが銃弾や矢を防ぎながら、いっぺんに何人もひとを斬れるのはそういうことか……」
「まわりから残影にしか見えないでしょうけどね」
「さすがだ。きみがぼくらのチームにいないのが至極残念で仕方がない」
「あなたが、揚引揚者を助けるなら、いまからでもチームになれると思うわ。ロルフ。ねぇ、レオン」
マリアはロルフのうしろにいるレオンにおざなりに声をかけた。レオンはヴラド・ドラキュラの前に盾になって立ちはだかっていた。レオンはこちらを睨みつけて言った。
「そうはいかないのさ。マリア」
「なにがよ!」
「残念だけどね、マリアちゃん……」
ロルフはマリアに哀れむような目をむけて言った。
「バチカンから『ダイバーズ・オブ・ゴッド』にくだされた命令はそうではないんだ」
「どういうこと?。人の命を救うこと以上に、ただしい命令なんてはないと思うわ」
「いいや、あるのさ。キリスト教の神に仕えるものとしてね……」
ロルフは威風堂々とした顔つきで言った。
「イスラムとの戦いに勝てと!」
マリアは剣と剣の隙間から、ロルフを見あげながらにっこり笑った。
「哀れなロルフ。あなたの剣には致命傷があるのよ」
「致命傷?。そんなものがあるはずが……」
「風を感じるの。切っ先が届くより先に、風があたしの頬をなでるの」
それを聞いてロルフが、目を大きく見開いた。
「おどろいたな。今までだれにも見破られたことなどなかったのに。まさか……」
「ロルフ。みんな知ってたと思うわ。でもその剣を受けきれなかっただけ」
「だけどマリアちゃんはそれを受けきった」
「そりゃそうよ」
マリアはロルフと剣をまじえたまま、柄(ヒルト)に力をこめた
その瞬間、剣の幅が横におおきく広がった。マリアが手にしているのは、刃の幅が10cm程度もある幅広の「ブロードソード」だったが、それが一瞬で30cm以上の幅に広がり、厚みも一気に増して、分厚くなった。
「なるほどね。自在に剣を変えられるのか。まるで断頭台のギロチンの刃かと思ったよ」
「受ける必要がないの。瞬時に盾になってくれるから」
ロルフは額に手をやり、まいったという仕草をしながら苦笑した。
「きみが銃弾や矢を防ぎながら、いっぺんに何人もひとを斬れるのはそういうことか……」
「まわりから残影にしか見えないでしょうけどね」
「さすがだ。きみがぼくらのチームにいないのが至極残念で仕方がない」
「あなたが、揚引揚者を助けるなら、いまからでもチームになれると思うわ。ロルフ。ねぇ、レオン」
マリアはロルフのうしろにいるレオンにおざなりに声をかけた。レオンはヴラド・ドラキュラの前に盾になって立ちはだかっていた。レオンはこちらを睨みつけて言った。
「そうはいかないのさ。マリア」
「なにがよ!」
「残念だけどね、マリアちゃん……」
ロルフはマリアに哀れむような目をむけて言った。
「バチカンから『ダイバーズ・オブ・ゴッド』にくだされた命令はそうではないんだ」
「どういうこと?。人の命を救うこと以上に、ただしい命令なんてはないと思うわ」
「いいや、あるのさ。キリスト教の神に仕えるものとしてね……」
ロルフは威風堂々とした顔つきで言った。
「イスラムとの戦いに勝てと!」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる